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魅力的で効果のある気候変動コミュニケーションのための8つのポイント

今日は、イギリスの環境保護団体rareが提唱する、

「魅力的で効果のある気候変動コミュニケーションのための8つのポイント」

をご紹介します。


気候変動や温暖化対策のコミュニケーションによくあるのが、

「北極の氷が溶けて、シロクマが住めなくなる」といった遠い場所でのイメージや、

「地球環境は悪化の一途を辿っている」「もう取り返しがつかない」といったネガティブ面を強調するアプローチ。


このようなコミュニケーションは、

・自分には関係ない

・自分が何をしても無駄だ

などと思わせてしまう危険性があると言われています。


サステナビリティやSDGsのコミュニケーションは、本来、「一人ひとりのコミットと行動」を目的としているものなのに、そうなってしまっては逆効果ですよね。

では、どういったコミュニケーションを取れば、より効果的に人々を巻き込めるのでしょうか?

そのヒントが、今回ご紹介する8つのポイントに詰まっています。

ナッジのベースである行動科学の知見に基づいて作成された8つのポイント、早速見ていきましょう。


ポイント1:自分ごとにできるように 

  • 地球ではなく、人にフォーカスすることが必要です。北極などの遠くの場所や、遠い将来の話ではなく、「今」、「ここ」で直面しうる問題を、「具体的に」話すことが重要です。(「クーラー代が上がる」、「子供が外で遊べなくなる」など、自分たちの住む地域に合わせた、身近で想像できる影響を伝えます)

  • 環境的なメリットだけでなく、個人的なメリット(例えば「健康になれる」「節約できる」「格好いい」など)に触れることも効果的です。


<事例:環境省「2100年の天気予報」>

見慣れた天気予報画面に、現在よりもだいぶ高い気温が当たり前のように表示されているのがわかります。

2100年は遠い将来とはいえど、今年生まれた子どもが80代近くになる頃と考えれば、今と地続き。なじみのある画面を通じて、自分たちの住む地域での温暖化の影響が想像可能な形で効果的に表現されています。

2100年 未来の天気予報 夏 https://www.youtube.com/watch?v=XYgyDIDa8H0&t=89s


ポイント2:理解しやすい言葉で 

  • 専門用語や統計的数字ではなく、誰もが理解できる言葉遣いで話しましょう。

  • 地球温暖化、気候変動、排出量といった言葉よりも、オーバーヒート、異常気象、大気汚染といった、すでに多くの人に馴染んでいる言葉をうまく使って、イメージしてもらいやすくします。


ポイント3:自信を持たせる

  • 人は、悲観的な情報やネガティブ情報にさらされると、不安やストレス・恐怖・罪悪感によって、無力感を持つことが知られています。

  • 問題点を強調するよりも、解決策を示すことで、ポジティブな将来を想像できるようにしましょう。


ポイント4:実行可能だと思ってもらえるように

  • 情報の受け手に主体性を持たせることが重要です。自己効力感(自分には行動を起こす能力があるという信念)や反応効力感(自分の行動が変化をもたらすという信念)が高い人は、低い人よりも、気候変動対策に取り組む可能性が高いと言われています。

  • 環境に対する意識や行動の現在地は人それぞれ。急に大きく変わることは難しいので、各々の位置に合わせ、少しずつ行動を起こせるようにしましょう。


ポイント5: 誰かの問題ではなく、 「自分たち」の問題に 

  • 特定の個人の責任を追求するのではなく、自分は大きな集団の一員で、集団として変化をもたらすことができるのだと考えてもらえるようにしましょう。


ポイント6: 「当たり前」を伝える

  • 社会科学の研究によれば、ある行動を「社会的に普通」だと感じると、人はその行動を取りやすくなります。

  • 他の人がすでに行っている環境配慮行動を取り上げましょう。「こんなに少ない」「まだまだ不足している」といったネガティブなトーンの情報や統計の数字を共有するのは逆効果です。


ポイント7: 信頼されるような人から 

  • 人が最も影響を受けるのは、「自分と同じような人」からのメッセージです。

  • ある調査によると、気候変動に関するメッセージの伝え手として最も信頼されているのは、気候変動を研究する科学者とその家族です。有名人、スポーツ選手、インフルエンサーなどは、専門家としてではなく、聞き手・一緒に学ぶ役など、一般の人々のモデルとして位置付けるのが望ましいでしょう。


ポイント8:あらゆる人のために 

  • あらゆる人を気候変動対策に巻き込むには、意見や立場の違いではなく、共通点に注目することが重要です。

  • どういった切り口なら多くの人の共感を集められるか考えてみましょう。


8つのポイント、いかがでしたでしょうか?

頭ではわかっていても、なかなか行動に移せないのが気候変動対策。

効果的なコミュニケーションにより、少しでも「自分たちごと」として「自分にも何かできる」「解決に寄与できる」と感じてもらい、その人の現在地に合わせた一歩を確実に実行に移せるよう、後押ししたいものです。

ぜひ、8つのポイントのうち、活用できそうなものから試してみてください!

より詳しく知りたい方はこちらから
Rare "Eight Principles for Effective and Inviting Climate Communication"


(文責:ポリシーナッジデザイン合同会社 植竹香織)

この記事は、ポリシーナッジデザイン合同会社のBlogを一部修正したものです。

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