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研修会レポート:水防対応力向上研修@宮城県

今回は、2023年5月に宮城県河川課主催で行われた「水防対応力向上研修」についてレポートします!

研修のテーマは、「ナッジを活用した防災」。
当日は、ポリシーナッジデザイン合同会社の植竹が講師を務め、宮城県及び県内各市町村から、事務職員・技術職員・消防職員等多岐にわたる職種の職員の皆様、合計23名が参加されました。


研修が行われた宮城県自治会館

研修の前半では、ナッジの定義や活用の現状、そして活用の意義について概要をご紹介したのち、具体的に防災分野でナッジを活用していただくために、ナッジの4つのポイント「EAST」の分類に基づいて、国内外の防災事例を整理してご紹介しました(概要はこちらのYoutubeからもご覧いただけます)。

また、国内におけるケーススタディーとして、広島県で行われた調査・研究結果に基づく避難呼びかけメッセージについても紹介いたしました。


研修の様子


研修の後半では、ワークショップを行いました。

ワークショップのテーマは、「ハザードマップ活用を促すためのイベントに参加してもらうには?」としました。

自治体の発行するハザードマップは、浸水が予想されるエリアやその浸水規模が地図上に色分けされて示されており、住民の皆さんに、自分の住むエリアでの避難の必要性や避難経路を考える際にぜひ活用してもらいたいアイテムです。しかし、実際はじっくり見る機会があまりないという住民の方も多いようです。そこで、住民の方により親しんでハザードマップを活用してもらうために自治体としてどのようなアプローチが考えられるのか、数人ずつのグループとなり、検討していただきました。

ワークショップの様子

全体共有では、行動プロセスと各行動の阻害要因・促進要因を検討したうえで、阻害要因を解消するような方策(ナッジ)の提案をそれぞれ発表していただきました。

・「面倒」「大変」といったボトルネックを解消するため、手ぶらで来られるようにする、学校や保育園などの既存イベント(授業参観など)と抱き合わせで行う
・周囲の人と誘い合わせて参加できるように、学校単位や主婦サークル単位など小さな単位での周知や、そういった場に出向いて説明する
・子どもに人気のキャラクターを活用して、家族全員で参加してもらうことを狙う
・まち全体をイベント会場として、避難経路の確認のためのスタンプラリーを行い、各ポイントには珍しい消防車などを出動させる

など、具体的かつ現場での実現可能性をふまえたたくさんの意欲的な方策が各グループから提案されました。

今回のナッジ講座の感想として、次のようなお声をいただきました。

「規制などを使わずに自らの意志で行動を促すことができることを知れた」
「実施に防災のイベントや講座の案内を行う上で、低コストで活用できるものと感じた」
「防災の基本は自助であるため、人の行動に基づくナッジは有効だと感じた」
「今後の防災訓練など、イベントや活動で人の行動や心理を考えて活発な業務展開をしたい」


これに関連して、宮城県気仙沼市では、新たな津波ハザードマップ作成にあたって地域住民の声を取り入れるべく、住民ワークショップが開催されています。

"県が昨年5月に公表した最大級の津波浸水想定を受け、気仙沼市は23日、市内15地区の津波ハザードマップ作成に向けた住民ワークショップを始めた。地域の声を聞きながら避難場所や避難ルートを見直す。"

出典:河北新報2023年5月25日

このように、今後、ナッジの知見も取り入れた防災の事例が増えることを期待しています!

(後記)

この記事では、講師として参加させていただいた宮城県での「水防対応力向上研修」についてご紹介しました。

私が行動科学やナッジに関心を持ったきっかけの1つに、東日本大震災があります。避難行動を促すアナウンスはもとより、震災に伴って生じたさまざまな政策課題(電力不足対策や風評被害の抑止)において、「住民の方に向けてどのようなコミュニケーションをとればより効果的なのだろうか?」との問題意識を持つようになりました。その後、そのためのアプローチの1つとしてナッジに出会い、現在はさまざまな政策分野での応用に取り組んでいます。

今回は、限られた時間ではありましたが、防災分野におけるナッジの応用についてご紹介することができ、また早速実践に移していただけたことにとても感激しました。宮城県の皆様にこのような大変貴重な機会をいただけたこと、心より感謝申し上げます。

宮城県は、職員有志によって行動科学の活用やEBPMの取り組みを行う職員有志のチーム(MyBiT)が活躍されているなど、非常に活発に行動科学やEBPMに取り組まれている自治体の1つです。

MyBiT事例:避難者向け意向確認書の改善事例 
出典:ナッジシェア

今後も行動科学の知見を活かした素晴らしい取り組みの実践を祈念しております!

(文責:ポリシーナッジデザイン合同会社 植竹香織)
(写真提供:宮城県河川課)


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