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カレーパウダー物語

”グローバルと呼ばれるに値する料理があるとしたらそれは「カレー」である”

そんなことが書かれている一文を目にしたことがる。

紀元前2000年、インダス文明の頃にはナスをターメリックとジンジャー,ガーリックで炒めていたそうである。これが人類が発見した最初のカレーと呼ばれているらしい。

その後、マスタード、フェネグリーク、コリアンダーなど様々なスパイスがインドの料理を色鮮やかに豊かにしていった。

16世紀ごろには船に乗って多くの人々がヨーロッパからやってきた。最初にやってきたのはポルトガルの人々らしい。これがよく歴史に出てくる大航海時代。彼らはアメリカからトマト、じゃがいもそしてレッドペッパーなども持ってきたので今までのインド料理にそれらが加わり、今現在のインド料理のベースになったと言われている。それからまもなくイギリスもインドにやってきてあれよこれよとやっているうちに東インド会社を経てインドを植民地にしてしまった。大英帝国全盛期の時代である。18世紀にはイギリスでカレーと呼ばれる料理がレシピとして紹介されていたらしい。このカレーで使われていたのがいわゆる「カレーパウダー」の元祖である。もともとスパイスを調理するときに一つ一つ加えていたものを混ぜて紹介したのである。ターメリック、クミン、コリアンダー、レッドペッパー、フェネグリークなどインドの様々な料理に使われるスパイスを具合よくブレンドしたものである。「日が沈まない大英帝国」はカレーパウダーをアメリカにも持って行ったし、日本にも持ってきた。日本やアメリカに伝えられたカレーはシチューのようなもので、今現在イギリスで愛されているチキンティッカマサラとはまた違ったものらしい。このシチューのようなカレーが日本にも海軍を通じて紹介されたときにカレーパウダーも一緒にやってきた。この海軍で紹介されたカレーは全国の若い男たちが食べ、作り方を教わったそうで男たちは海軍から田舎に帰ったときに何人かはカレー屋を開いたらしい。明治の終わりころの話である。男たちが開いたカレー屋は大衆食として人気になったが、蕎麦屋にカレー南蛮として吸収されていったとかなんとか。極秘だったカレーパウダーの配合も試行錯誤で似たようなものが出来上がったのもこのころで大衆料理だったカレーはカレーパウダーが日本で作られるようになって家庭料理になっていった。その後インド料理が日本にも紹介されていくがカレーパウダーからカレールゥと形を変えながら日本の家庭料理の代表みたいな顔で今でも食卓に日々だされている。

それぞれの個性をブレンドしてイギリス人が作ったカレーパウダーは様々な国や地域に渡り「カレー」という謎の言葉とともに世界中に広がっていった。

このような「カレーパウダー物語」はイギリスはもちろん、アメリカやジャマイカ、中国や東南アジアにもあるのであろう。カレーというインドの言葉ではないインド由来の言葉が大航海時代、大英帝国時代と言うグローバル化にのり世界中に広がっていたのである。

カレーという正体がわからないものが生んだカレーパウダーはその芳醇な香りで人々を魅了し虜にしていったのかと思うとこれからのカレーパウダー物語も楽しみである。

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