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One of a kind 
〜インドご当地料理からみえる世界〜


久々に「パンダラ・ラッサ」というカレーを作ってみた。約10年前に友達を引き連れ西インドを旅したあと、一緒に行ったイラストレーターの山崎杉夫さんが思い出を絵にして個展を開いた際に作ったカレーである。我々が旅をしたのはグジャラート州のスーラットという町を中心にその近辺だが、この「パンダラ・ラッサ」は西インドでもムンバイよりもっと南のコラプールという町のご当地カレーである。赤いのと白いのがあるが白いココナッツが入ったチキンカレーは独特の香りとコクがあり多くの人たちに喜ばれた。

 それぞれの旅で思い出の味と出会うことが多く、東インドのコルカタでは様々な甘いスイーツたち、特に白い「ラスゴーラ」は口が溶けるほどでああった。ベンガルはバングラデッシュはマスタードをビシッと効かせたフィッシュカレー。北インドのパンジャーブ州のアムリットサルで食べた、からし菜で作ったカレーとトウモロコシ粉で作ったパンを一緒に食べるサルソン・カ・サーグとマキキロティ。ハイデラバードのビリヤニは味も見た目も美しかった。デリーのニハリは深い歴史が詰まった味がした。コーチンで海を見ながら食べたフィッシュフライとビールは永遠にこの時間が続けば良いのにと思った。チェンナイのイドゥリとサンバルは最高の朝ごはんである。

 よくインドの町を歩いていると小さな店でなんでも売っているようなキオスクを見かける。そしてその隣も同じようなキオスクが並んでいることが多く、何軒も似たような店が並んでいる景色が多く存在する。不思議に思って友人にそのことを聞いたら、大体の人は誰かが成功すると同じことをすぐに始めるんだよ。と話してくれた。確かに宝石屋さんは宝石屋さん、薬屋は薬屋で集まっていることが多く、それがお互いを刺激しあってより良いものを作ったり、販売したりすることにつながるのかもしれない。ハイデラバードで出会ったラム・キ・バンディというドーサはすでに同じような店が何軒もできていた。ムンバイのストリートハンバーガー、ヴァダ・パウも同じなのであろう。

 二つや三つではあまり力を発揮しないが、たくさんになるとすごいパワーになることもある。スイミーみたいに。一つでユニークだから良いこともある。

 スパイスも一つ際立たせるのか、たくさんを一緒にするのかで出来上がりはだいぶ変わってくる。料理も同じ興味を持っている人たちが集まると刺激し合い、よりパワフルになるのではないだろうか、などと思い最近は「作る人を増やす」クラブ活動に力を注いでいる。

 一人で戦う場所とみんなで刺激し合う場所があって良い。インドのご当地カレーと同じような店が並ぶインドのキオスクを思い出しながらそんなことを考えてみた。

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