見出し画像

カレー作りのフローチャート

和食は削ぎ落としていくように作っていくのに対して洋食は積み上げていくように作っていくと和食と洋食の違いを説明する人の話を聞いて、なるほど。と頷いたことがる。確かに余計なものを省いて作る美学が和食にはあるような気がする。インド料理を見てみると香りを重ねていくように作っているので和食の美学とは対にあるようなものである。

春も過ぎ、梅の実がたわわになってくるとカレーをスパイスから作りたい人が増えるのか料理教室や講座を開催することが増えてくる。

料理教室や講座の中でも長くやっているのは自由大学だ。キャンパスがあってないような、大学のような大学でないような、大人たちが興味を持ったものを学んでいく学び場である。約10年くらい定期的に「インドに学ぶスパイス学」という講座でスパイスの講座を開催している。スパイスの歴史や効能などうんちくをひたすら喋ったあとは、実際に「どのようにスパイスからカレーを作っていくのであろう」ということをフローチャートを埋めるように書いていく。

一番上の枠に入るのは「油」である。そして「ホールスパイス」、「玉ねぎ」、「ニンニク・生姜」、「パウダースパイス」、「塩」などなどとフローチャートは下に進んでいく。それらが埋まると「スパイスからカレーが作れるフローチャート」が出来上がる。便利なフローチャートで好きなものを足して骨格みたいなものに肉付けして自分好みのカレーに仕上げていくことができる。例えばバターチキンみたいな濃厚でオイリーなカレーを作ろうとすると油の部分をバターに変えたり、水分の部分を生クリームに変えたりする。それから「ホールスパイス」や「パウダースパイス」の部分も埋めていき、バターチキンカレーが作れるフローチャートの完成である。

基本の骨格みたいなものがある、人間でいうと骨だけの骸骨であろう。それに肉付けしていくようにスパイスや具材、油や塩を足していく。油や具材だけでも様々な種類があるように作りたいカレーによって自由に様々なものをくっつけることができる。がっしりした体格だが繊細な人のようなカレーが出来上がったり、見た目をひょろっとしているが芯がぶれないカレーが出来上がったりと、人によってどのようにフローチャートを肉付けしていくかで個性が出てとても面白い。

ホワイトボードにフローチャートを書いているのがどことなく大学っぽく。誰でも好きなようにカレーがアレンジできるフローチャートがスパイスの自由さをより強調してくれているのも気に入っていて。なんだか「自由大学」にぴったりなんじゃないかと思っている。

引き算の美しさと足し算の華やかさ。

どちらも欲しいのはちょっと贅沢なんだな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?