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アナンのカレーパウダー

 生まれは日本なので幼い頃から日本で育った。10代の頃に南インドの学校にいたが、言語は英語だったのでインドの言葉を習わずに今に至ってしまった。最近になって故郷の言葉を習っている。母国語は日本語になるが、インドの母国語はヒンディー語ではなく主に西インドはグジャラート州で話されているグジャラート語である。何度も訪れた土地なので聞いたことがある言葉や単語はいくつかあるが文法などを習ったことがないのでとても面白いし、話せるようになってくると新しい扉がまた開けるのではないかとワクワクしている。

 「アナン」という会社はそもそもはスパイスを販売してはいなかったが、日本でスパイスを販売し始めだんだんと人気が出て今に至る。インド人だったため有名なレストランやホテルなどにインドのカレーパウダーを持ってこれないかと言われインドでブレンドしたスパイスミックス(カレーパウダー)を輸入しレストランなどにおろし始めたのが徐々に人気になり、オリジナルのカレーパウダーを瓶などに詰めて販売し始めたたのが今から約50年前である。

 様々なブレンドを作り、それぞれをナンバリングしていき、数多くあるサンプルから厳選されたのが現在の「カレーパウダー」である。現在でも商品名は「カレーパウダーN21B」としているのはたくさんのサンプルから選ばれたものとして当時のナンバリングをそのまま商品名にしている。どちらかというと爽やかさがあり、気軽に使えるが上品な香りと味わいが人気なところなんだと思う。華やかな香りが普段のカレーを一層美味しくしてくれるし、これだけで様々なスパイスカレーを作ることができる。爽やかで上品な香りだけではなく、深みのスパイスもベースに入っているため作った料理に安定感を与えてくれる。誰が使っても美味しいものを作り出せることができるが、腕の良い料理人の手に渡るとたちまち魔法のように新しい世界を見せてくれる。

 私は様々なところでアナンのカレーパウダーが愛されているのを知っている。そしてその秘密も知っている。使えば使うほど愛おしくなり、使えば使うほど料理の世界が広がっていく。

 インドでの学生時代を終えたのちはスイスに渡り、イギリス、スペイン、アメリカなどにも滞在したり勉強をしたりした。その度に各地のカレーパウダーを試してきた。どれも個性的でとても美味しい。作り手の思いや背景が見えてくる。香港、シンガポール、マレーシアでもカレーパウダーを試してみた。地域によったり、食べられているものが違ってくるとブレンドにも特徴が出てくる。
そして自信を持って言える。

「カレーパウダーN21B」が世界No.1だ。

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