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エレガントなガラムマサラ

ガラムマサラ。

ガラムとは暑いや熱いといった意味がある。マサラはスパイスやスパイスが混ぜられたものをさすことが多い。ガラムマサラはスパイスミックスの一つだが自分で作る場合はそれぞれのスパイスをローストして香りに深みや香ばしさを増させてからそれぞれをパウダー状にしてブレンドすることが多い。この深い香りがするスパイスミックスをカレーの仕上げに加えると美味しさがグッと引き締まり、上品な仕上がりになる。

アナンのカレーパウダーが誕生したあとに3種類のスパイスミックスが登場した。コリアンダークミンミックスとレッドホットミックスとガラムマサラだ。それぞれがカレーパウダーを何かしらの形でさらに良くしてくれる役割を持っている。世の中には様々なガラムマサラがあるがアナンのガラムマサラはとてもエレガントだと思う。シナモン、カルダモン、ジンジャーなどといった爽やかな香りの中にクローブなナツメグといった深みのある香りが混じり、ピリッとブラックペッパーの辛味がそれぞれの香りを引き締めてくれている。ちょうど良い具合に6種類のスパイスがブレンドしている。どれか一つ欠けてもエレガントではない。

カレーパウダー、もしくは単体のスパイスでカレーを作っていく。塩加減、水分量などを間違えなければまず美味しいカレーがスパイスから誰でも作ることができる。ただシンプルに作ったカレーはどこか素朴なところがある。そこでガラムマサラの登場である。具材にしっかりと火が通り一煮立ちさせたら火を消しガラムマサラを耳かき一杯ほど加え軽く混ぜ合わせ、蓋をして少しおいておく。2、3分経ったころにもう一度蓋を開けてみるとそこにはさっきまで荒々しく無骨だったカレーが上品で華やかに仕上がっているのである。これこそがアナンのガラムマサラの技だと思う。力などは使わず、少ない量で優しく、ふわっとカレーのレベルを何段も上げてくれる。

約7、8年前にスパイスをさらに5種類ほど増やし、深み、辛味、パンチを増した「スペシャルガラムマサラ」というブレンドも作った。こちらは割と力技でカレーを美味しくしてくれる印象がある。40年以上前に誕生したガラムマサラはエレガントで上品。7、8年前に誕生したスペシャルガラムマサラはダンディーでパワフルといった印象であろうか。

使い分けると料理の幅はどんどんと広がっていく。

しかしカレーを、インド料理を、そして様々な料理を作れば作るほどエレガントなガラムマサラの凄さがわかってきたような気がする。

まだまだ私だけではエレガントにもダンディーにも慣れないのでもうしばらく両ガラムマサラの力を借りていこうと思う。

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