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「春」と「祝い」のブレンドスパイス


春の訪れが近いと喜びと命に溢れるのかインドでも様々なお祭りが開かれる。春の訪れや、繁栄や幸福を祈る色のお祭り「ホーリー」が各地で開かれたり、「偉大なシヴァの夜」という意味を持ち13夜14日お祈りをし続けることでも知られている、無知と暗黒からの夜明けを祝う「マハシヴラトリ」がインド各地で祝われている。シヴァ神のお祭りは毎月開催されているが毎年2月か3月に祝われる春の祭りはその中でも一番大事なものであるらしい。この日にシヴァ神がパールヴァティー神と結婚したともいわれているし、シヴァ神の化身ナタラージャが想像・維持・破壊の調和を踊った宇宙を表すダンスを踊った日だともいわれている。世の中の大きなミルクを攪拌したら純粋なものが出来上がったが、同時に悪いものも出てきてしまったので、その悪いものをシヴァ神が飲み込み世界を救ったともいわれている。その悪いものが喉につまりシヴァ神は青くなったとか、なんだとか。故にシヴァ神のお祭りではミルクで作られたものが欠かせない。マハシヴラトリではミルクでシヴァ神の像を洗う光景が様々な寺院で見られる。そしてシヴァ神に捧げられた様々なミルクで作られたスイーツは神からの贈り物、プラサードとして人々にも振舞われる。

長い冬から春に変わる季節というのもあり、病気になったり体調を崩しやすいのでミルクと組み合わせるスパイスもそのために調合されたものがある。その中でも北インドを中心に紀元前1,000年前から飲まれている飲み物がある。タンダイ(Thandai)といわれているアーモンド、ピスタチオやカシューナッツなどナッツ類とフェンネル、ブラックペッパー、クローブ、カルダモンなどのスパイスとローズ、サフランなどの花をブレンドしたスパイスミックスを使って作るものである。カルダモン、フェンネルやピスタチオの鮮やかなグリーンにブラックペッパーやクローブ、シナモンの落ち着いた色合い、ローズのピンク色、サフランの黄色が綺麗に混ざり合い、それはまさしく「春」のようである。そのブレンドをミルクなどと合わせて甘みを加え冷たくして飲むことが多い。ラッシーにしたり、ヨーグルトに合わせたりと使い方は様々である。フェンネルの酸化防止効果、お腹のガス抜き効果、ローズの身体を冷やしてくれる効果、アーモンドの豊富なビタミンなどが気温が上がってくるインドの春にはぴったりな訳である。お祭りではタンダイにバング(大麻)などを合わせて飲むこともあるようだが、これはシヴァ神をリラックスさせるためともいわれている。

その昔から伝わるスパイスミックスを調べていくとその土地の歴史や神話、風土が見えてくる。

日本の春のブレンドを作ったらどんなものになるのであろう。考えるだけでワクワクしてくる。


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