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ブランドコンサル会社が使う「ブランドの人格を視覚化するブランドアーキタイプ」とは

こんにちは。B&H Inc.でストラテジックプランナーとディレクター・プロジェクトマネージャーをやっております金山です。第2回目の投稿です。

前回は、こちら記事で弊社のビジュアルがアウトプットされるまでのフローを記事にしてみました。まだの方はこちらもぜひ。

今回は弊社がブランドデザインを行うにおいて、とても大切にしている「12種類のアーキタイプ」という人格分析(ブランドパーソナリティ分析)として使用するフレームワークをご紹介します。


アーキタイプとは何か。

Archetype(アーキタイプ)は、スイスの心理学者であるカール・グスタフ・ユングによって発展させた人間が夢に見る象徴やイメージをつくりだす「元型」と呼ばれるものです。弊社はブランドの人格(ブランドパーソナリティ)を分析する際に、ユングの12の人格元型を活用します。

この12種類の元型は、様々な人格を象徴する行動パターンを示しています。また、集合的無意識に存在する文化的象徴やイメージでもあります。企業やブランドの人格は、この「12の人格元型」の組み合わせによって読み解くことができます。

人格は、意思決定の軸にもなる根本の考えと考えています。また、株主・創業者・社員・採用・顧客など、全てのステークホルダーの人格を統一することで、より強固な企業やブランドを構築することができると考えています。



実際どのように使っているのか。

弊社はこのアーキタイプを使って、現状の企業やブランドの人格を探ったり、企業ルーティン(注1)の中でどのようなアーキタイプが存在するのかを探ったり、ペルソナを設計に使用したり、競合や好きなブランドのポジショニングを探ったり、今後加えていきたいアーキタイプなどを探ったりと、様々な分析に用いています。ざっくりいうと弊社が作る全ての設計にアーキタイプは超重要な役割を果たしてくれています。あと、おそらくこの「アーキタイプ」をブランド設計に使用した最初のブランドコンサル会社は弊社だと思います。

注1)
企業ルーティンとは、その企業独自の「価値を創出するための業務進行フロー」のこと


では、早速12種類のアーキタイプについて、一つ一つMood Boardと一緒に見ていきましょう。


01. Innocent

まずは「Innocent(イノセント)」と呼ばれるアーキタイプです。

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このアーキタイプは、楽観的、純粋、無邪気、平和、希望、シンプル、信頼、夢想家、ナイーブ、ロマンティスト、ノスタルジックなどの印象が含まれています。ピュアで誠実に物事に取り組む企業などが該当すると考えています。Patagoniaはこのアーキタイプを強く感じる企業だと個人的には思っています。



02. Explorer

続いて「Explorer(エクスプローラー)」です。

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こちらは、自由、冒険、向上心、独立心、好奇心、 独創性、新天地、探求者、冒険者、放浪者、個人主義者、旅人などの印象が含まれています。次々と新しい分野に取り組む企業やブランドなどが該当します。TOYOTAやNASAなどはExplorerを強く感じますね。



03. Sage

続いて「Sage(セージ)」です。

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こちらは、叡智、豊富な知識、洞察、専門性、聡明、 公平、冷静、客観的 エキスパート、学者、教師、メンター、アドバイザー、 リサーチャー哲学者、評論家、探偵、職人などの印象が含まれています。例えばデータを取り扱う企業や、専門知識を必要とする企業などが該当し、テクノロジー系やシンクタンク・大手コンサルなどからは特に感じます。マッキンゼー、BCG、Dysonなどは該当しそうですね。



04. Hero

次は「Hero(ヒーロー)」です。

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こちらは、パワフル、強い、ダイナミック、 勇気のある、挑戦的な、機敏な、 決断力のある、 不屈な、信念をもった、決然とした、競争力のある、 効率的な、規律を守る、 正義感が強いなど。 戦士、兵士、活動家、 勝利するアスリート、社会運動家 救済者、忙しく働くビジネスパーソンなどの印象が含まれています。力強く物事を推し進める姿勢などが感じられる企業が該当します。例えば、adidas、Google、UBERなどは該当しそうですね。



05. Outlaw

続いて「Outlaw(アウトロー)」です。

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こちらは、革新、反抗、因習打破、野生的、破壊、 反抗的な、破壊的な、無法な、挑発的な、 規制を破る 反体制文化、 反逆者、 革命児などの印象が含まれています。既成概念を覆すような取り組みを行う企業やブランドなどが該当します。例えば、Nike、Redbull、Teslaなどでしょうか。



06. Magician

続いては「Magician(マジシャン)」です。

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こちらは、変化、変容、魔法、奇跡、神秘、不思議、ビジョン、夢、先見の明のある、カリスマ性などの印象が含まれています。誰もが驚くようなことを実行したり、期待させてくれるような企業が該当します。一昔前のAppleやSonyなどはまさにといったような感じですね。(悪口ではありません、、)



07. EveryPerson

次は「EveryPerson(エブリパーソン)」です。

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こちらは、堅実な、現実的な、平凡な、普通の、素朴な、平等な、 庶民的な、 親しみやすい、友好的な、共感できる、 順応力のある、協力的な、相互扶助の、 隣人、現実主義者、 労働者、サラリーマン、堅実な市民、 人付き合いのいい人などの印象が含まれます。例えば、UNIQLO、MUJI、ニトリなどは親しみやすく庶民的なブランドだなと感じますよね。



08. Lover

続いて「Lover(ラバー)」です。

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こちらは、情熱、ロマン、親密、熱烈、至福、快楽的、官能的、豊潤、 審美性、エレガント、 洗練、魅惑などの印象が含まれています。洗練されていてエレガントな印象を感じる企業やブランドが持つアーキタイプです。例えば、サンローランやディオールなど。弊社のアーキタイプにもLoverが含まれていると思います。



09. Jester

続いて「Jester(ジェスター)」です。

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こちらは、楽しい、ユーモアのある、愉快な、遊び心いっぱいの、冗談が好きな、いたずら好きなエンターテイナー、ひょうきん者、刹那的な、衝動的ななどの印象が含まれています。人を楽しませるのが好きなイメージのこのアーキタイプは、Starbacks、Disney、Universal Studio Japanなどが該当しますね。



10. CareTaker

続いて「CareTaker(ケアテイカー)」です。

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こちらは、寛容な、博愛的な、思いやり深い、献身的な、人を育てる、世話好きな、親切な、利他愛のなどの印象が含まれています。献身的で優しさを感じる印象のケアテイカーは、hims、JAL、リッツ・カールトンなどのサービスから感じることができそうです。



11. Creator

続いて「Creator(クリエイター)」です。

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こちらは、創造性のある、芸術的な、審美的な、 独創性のある、趣のある、技巧のすぐれた、 想像力のある、趣のある技巧のすぐれた、 想像力に富んだ 革新的な、刷新的な、 自己表現や永遠に続く価値を懸命に追い求めているなどの印象が含まれています。クリエイティブ企業にはもちろんこのアーキタイプが多かれ少なかれ含まれていると思います。もちろん弊社にも。



12. Ruler

最後に「Ruler(ルーラー)」です。

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こちらは、威信のある、ステータスのある、 コントロールする、力強い、秩序のある、 安定感のある、迫力のある 影響力のあるなどの印象が含まれています。例えば、HERMES、Mercedes Benz、Lexusなどからは強く感じられるイメージがありますね。


以上、12種類のアーキタイプのご紹介でした。



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次に具体的な例を挙げてみます。先ほど一昔前のAppleが出てきましたが、わかりやすい例としてスティーブ・ジョブズがどのようなアーキタイプで形成されているかを見ていきます。そして一体どのようにそれらはAppleのアウトプットに反映されているでしょうか。

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禅・アニミズム・ヒッピーなど多様な思想に触れ、インドに渡ったり、日本が好きでソニーに感銘を受けたり、三宅一生の服を好んだり、ビートルズが好きだったり、AppleではThink Differentを掲げたりと、ジョブズの生涯についてはみなさん承知の通りかと思いますが、人格というのは、以下のWhen,Where,Whoによって形成されます。

When - いつの時代、どんな時代を生きてきたか
Where - どこで生まれ、どこで育ち、どこで暮らしてきたか
Who - 誰と出会い、どんな影響を受けてきたか

これらを踏まえ、弊社ではジョブズ(Apple)が持つアーキタイプは以下の配合であると考えています。

Outlaw 30% / Magician 20% / Creator 20% / Every Person 10%
Ruler 5% / Jester 5% / Lover 5% / Innocent 5%

あえて言語化するならば、
革新的で創造的。シンプルで親しみやすいが洗練されたイメージを感じる。さらにユーモアさと影響力も兼ね備えている。
といったイメージでしょうか。

そして、生み出してきた数々のアウトプットはまさにこれらのアーキタイプが感じられるものになっています。

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終わり

さて、ここまで12種類のアーキタイプの説明と具体例を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。

アーキタイプの使い方や応用方法は、各々の手腕に委ねられますが、間違いなく言えるのは、企業・ブランド・人の人格は必ずアウトプットに影響するということです。

クリエイターであれば誰しもアウトプットを一回で認めて欲しいもの。
ですが、例え自分がどれだけ優れたデザインを作っても、クライアントが必ず気にいるとは限りません。それはクライアントのアーキタイプを理解できていないことが1番の原因だと考えています。クライアントの趣味趣向は人格と関連しています。

デザインが通らなくて沼にハマっている人、これからブランドデザインを考える人、デザインの視野を広げたい人、そんなみなさんは、一度このアーキタイプを使ってみてはいかがでしょうか。

では、この辺りで。また次回(あれば)


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