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医学部再受験を決めた夏にまずやったこと【ラジカル&インセーン】

こんにちは。お世話になっております、バトルフェイス木村です。

今回は、医学部再受験を決意して、開始した一番最初の時期について、なにを実際自分がしたかを書きます。このように書き残す理由として、再現性のある学習方法というのは無いのですが、自身が再受験していた頃に再受験生がそもそも何をしてどう合格にいたったかのパスだけでも知りたかったことがあります。インターネットでは受験の結果から逆算したような体験記が多く、過程から緻密に書いてみようという試みです。

なお、河合塾の全統偏差値60前後の方にそれなりに刺さる内容だと思われます。難関の医学部志望の方にはあまり参考にならないと思います。それはひとえに自身が難関大学を卒業したこともなければ、難関医学部を目指したこともないからです。とにかく国立医学部ならどこでもいい、そういう戦略の人間が何をしたか、という話です。

なお、大学受験指導の塾講師などやったことはなく、正真正銘6年ぶりの大学受験でした。

最終合格

共通テスト88%
山形大(前期)
東京慈恵会医科大
産業医科大B(共通併用)
東北医科薬科大A(地域枠)

【過去の合格校】
センター試験803点(2018年度)
早稲田大学(先進理工学部応用物理学科)
慶應義塾大学(理工学部学門1)
東京理科大学(理学部物理学科)
大阪大学(工学部地球総合工学科)


経歴

中高一貫校→大阪大学工学研究科M1.明文化されたコアタイムは無いがホワイトではない。物理工学系。5月に論文の提出(卒論ではない)と、7-8月に学会あり。

やったこと一覧

A→Fの順に進行

A:大前提(〜5月中旬)

①本当に医学部再受験するべきか検討する
②5日間だけ死物狂いで勉強する

B:計画立て(3月〜4月第2週)

①スケジュールをすべて書き出し、チェックする
②おおまかな最終目標を立てる
③8月頃までの中期の目標を立てる
④3月から8月まで月ごとの目標を立てる(→都度③に戻る)
⑤1日の予定を平日/土日でパターン化し、勉強時間の見積もりを立てる(→都度③,④に戻る)
⑥★を元に、月間目標を達成するための勉強量を科目ごとに見積もる
⑦⑥で計算した勉強量を週ごとに配分する
8勉強量を達成するために必要な勉強時間を測定する(A②をもとに)
⑨各科目の勉強時間の見積もりが週間ごとに立つので、7で割って1日の勉強時間が決まる。実行不能な場合③に戻る

C.周知
①研究室のメンバー全員に再受験することを表明

D.仲間探し
①再受験アカウント作成
②再受験経験者(成功者)にコンタクト

E.勉強法と参考書の研究
①予備校・塾の無料相談
②塾講や家庭教師をやっていた同級生に質問

F.生活習慣の改善
①食事の最適化の研究
②運動のデールーティン決定
③起床&就寝時間の固定と、固定が外れる日の指定
④メンタル維持の研究

やったことの詳細

A.
①とにかく悩んだほうが良い。生存バイアスに違いないが、再受験して成功してから悩んだり辛く思ったりするひとは一定数いる。くくり方が大きいが、特に早慶、難関国立の学生さんや、すでにきちんとした職歴のある人は本当によく考えたほうが良いと思う。ただ悩みがあるまま進むとうまくいかないように思われるので、自分は初めの全統記述模試が返却されるまでは勉強することとして、国立医学部の判定がC判定以下ならば就職しようと考えた。これは一般論ではなく、どこで損切りをするかというのは人それぞれである。しかし、医師もこの先安泰ではなく(このご時世に安定な仕事など存在しないのだが)中短期での収入を考えればそれなりのキャリアがある私の場合は、何年もかけて医学部再受験をするのは損であると考えた。受かるなら一年きっかりで受かると決める。男の決断である。

②計画立ては大事である。努力は正しい方向をしていないと中々報われない。しかし、とにかく我武者羅に勉強できるだけしてみるというのは、一見根性論のようで大事なのである。特に再受験生は顕著である。たしかにそれなりに腕前に自信がある方は良いかもしれないが、僕のように阪大理系と医学部に受かるには心もとない経歴で、「できる」と「わかる」のギャップが多い人種については、とにかく手と脳を集中的に動かすことが一度は必要な気がした。

B.
計画作成のプロトコルをあらかじめ準備し、後は機械的に毎回作成できるようにした。3週間1スパンで予定を作成し、サイクルを回すことを大事にした。PDCAなんて名前は高級だが、できるだけPの部分が肥大化しないように(つまりよくある計画だけ絵に描いた餅にならないように)DとCを分厚くすることを心がけた。

C.
これはひとによるが、やはり隠しながら何かを進めるというのは精神的に苦しいものがある。僕は同期たちと気の置けない関係だと信じていたので(違ったらごめんなさい)医学部再受験を本当に実行に移すときにはきちんと丁寧に再受験する理由と心情を話した。しかし、これはまったく人によるのだと思う。

D.
ツイッター大好き人間なので、再受験アカウント、つまりバトルフェイス木村を始めた。馴れ合いをするのは23歳だしもう年相応でもない、、、ということで真面目に勉強を記録し、考えたことや感情の吐露をする場として使っていた。今でこそそれなりの数の方にフォローしてもらっているのだが、小さい規模で粛々と長らく続けていた。総じてツイッターを作ったことはプラスに働いたのだが、やはり直前期になるとタイムラインも自分の心も殺伐としていて…あまり良くはなかった。特に国際医療福祉大学に思い入れがあってよくそのツイートをしていた。が、国福に落ちたあとに結構マシュマロを中心に荒れてしまって、その後の受験に非常によくない影響を与えた。特定の大学についての投稿はどんなに気をつけていても受験中は角が立つので、避けたほうが良いのだと思う。また、マシュマロも、もし受験期に戻れるなら絶対にやらなかったと思う。

E.
我武者羅に腕を振るフェーズは終わり、仲間探しも仲間への周知も終わった。さすれば次にやるべきことは野球でいえば正しい投球フォームを身に着けることである。一人での学習は詰みがちだが、詰む理由は勉強の内容そのものの理解度が低いからではなく、勉強の方針や大枠のとらえ方がおかしいからであると考えた。そこで、学習の方針についてとにかく調べつくした。また、実際に足や人脈を使って、再受験経験者や予備校の無料受験相談と沢山お話しさせてもらった。具体的には、

薬学部中退関西地方の医学部(仮面)
京大卒国立医学部(再受験)
阪大中退国立医学部(仮面)
IT職→国立医学部(再受験)
旧帝医(四浪)
阪大の同期(五浪)
河合塾大阪校
武田塾大阪校
pispis
ポラリスアカデミア
etc.

など、医学部に限らず過年度数が多い受験経験をした人に沢山話を聞き、学習の方針やメンタルの維持方法に当たりをつけた。実際話すことで自身のおかしさに気付くこともできたし、非常に勇気づけられた。色々なひとと話すことは意識高い系みたいではばかられるが、とても大事なことだと思う。
武田塾の無料相談は非常に良いものであった。実際担当していただいた大阪校の校舎長の方が良い方だったということもあるが、入塾の意思がほとんどないにもかかわらず参考書ルートや再受験の寛容さについても教えてもらえてよい経験だった。反面、講習を申し込みに行ったついでに受験指導を仰いだ河合塾大阪校の方は冷たく、特にデータを持ってきていただけることもなかった。講習を実際に受けていたのは神戸校で、神戸校では講師職員ともに大変よく教えていただいたので、そういった違いはあるかもしれない。大阪校のスタッフのネガキャンというわけではないので注意されたい。

F.生活習慣の改善
①食事の最適化の研究
自分は一人暮らしで自炊を基本としていたので、自炊の時間をミニマムにすることが大事であった。しかしデリバリーや外食は経済性が悪いので、当然ナッシュといったものも注文できない。悩んだところだが、コメと納豆とキムチ、栄養サプリメントを中心とする食事を延々と続けていた。もはや寺の僧侶である。実際この食事が健康的で脳をよく働かせるかは謎なのだが、重要なのは食事すらもルーティン化し、学習に使える時間を最大限投入できるようにするということである。こうしたストイックさは、限られた時間かつ低いポテンシャルでの合格を導いたと思う。

②運動のデールーティン決定
受験は体力が肝要である。実際の筋力や体力があれば最高だが、それはともかく学習できる体力、つまり気力に近いようなものを養う必要はあるだろう。机にずっと座っていると驚くほど体力が落ちる。そこで、自分は週に3回早朝のラン、残り4日間は30分のウォーキングをすることとした。直前期の12月から二次試験までは、試験日以外ほぼ欠かすことなく続けたはずである。朝から日を浴びた運動はメンタルもよくする。メンズコーチみたいで恐縮だが、受験生は動こう。

③起床&就寝時間の固定と、固定が外れる日の指定
過年度生の受験生、特に仮面浪人で多いのは生活リズムが悪いことである。実際生活リズムの悪い、夜型の天才タイプの人間がインターネット受験生には多く存在し、彼らは東大京大や医学部に合格してしまうので、どうしても夜遅くまでTwitterをして難問に取り組んでみたり議論してみたり…なんて姿に憧れてしまう。あれはあれで一つの姿なのだが、僕のような凡夫でポテンシャルも低い人間には、生活リズムは命取りだった。そこで、常に受験本番期のような生活をすることを目標とした。具体的には、朝6時半に起床し、夜は1時まで眠る、ただそれだけである。この生活習慣を固定化することで、浜学園の「常在戦場」ではないが常に受験を意識して生活し、勉強時間もしっかりと確保しながら固定することができた。昨日は頑張ったけど今日はダメだった…という波が、生活リズムの固定化により無くなった。また、精神衛生も機械のように過ごすことで(人間的に良いか悪いかはおいておいて)特に気を病むこともなかった。しかし、大学院で研究している以上どうしてもこの時間で動くことは不可能である。そこで、どうしても固定が外れてしまう日はその日はその日で「はずれ」のスケジュールを組んでおいた。それでもどうにもならない日というのもあるが、その時はきっぱりとあきらめる。例えば研究や学会の出張日である。そういう日は勉強時間をゼロにしないことを最も大事にして、ノートを10分でも見返すとか、単語帳の復習をするだとかミニマムな勉強に努めていた。

総括

以上を粛々と進めた結果、最終的に国立医学部の合格という結果がやってきました。ひとや環境、20歳あまりにしてたまたま事業がうまくいきひとより水の泡のような銭でも手にした好機があってこそで、一般化できるプロトコルではないと考えます。しかし、誰かの目に留まり、何かしら誰かのお役に立てれば、それは大変に幸せなことだと考えます。暑い日々が続きますが、みなさんお元気で。

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