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「自分の本当の気持ちを口に出す」                     森上いろはのコーチング談義⑧

このページでは、ライター森上いろはが、
コーチングについて好き放題、語る特集です。

操作さんからの学びをシェアします

コーチングしない、コーチングの人、「山の中で暮らすおじさん」こと「あやなりさん」と言う人の暮らしの姿勢から「自分を生きる」を感じ取っているライター、森上いろはと申します。

今回は、あやなりさんとクライアントさんの女性との公開のやり取りで、おおお!と言うことに気づいたのでシェアさせていただきます。

「伝えてはならない」と思っている、自分の思い。

あやなりさんのリアルな声が伝わるラジオ番組の撮影に立ち会いました。
クライアント役となった女性は、20代。
今の仕事にお悩みがあるようで、その相談でした。

「今の仕事、やりたくない」。
どうやら、そう思っている自分が嫌なよう。
やりたくないけれど、やらなきゃいけない。
自分がやる意味がわからないけれど、やらなきゃいけない。

そう言う思いを胸に、日々仕事をしているそう。
だから、なかなか思うような結果が出ない。
ありますよね。
特に会社に入りたては、「やりたくない仕事もやらなきゃいけない」とともかく考えて、がむしゃらにやらなきゃ!と思うんだけど、力も気持ちも入らない。

20代会社員あるある、です。
あなたも、心当たりがあるかもしれません。

「上司に言ってみたことある?」

そんな彼女に、
あやなりコーチは、さらっと言います。「上司に言ってみたことある?」
えええ?
言えない。
言えない。

20代女子、即答です。
言えないよ、言えないですよ。
やりたくないです、こんな仕事、なんて本音。
あやなりコーチ、無茶振り!

と思ったのですが、まぁ、上司も本人が「やりたいか。やりたくないか」までは想像もしたことがないかもしれないなぁと、横で聞いていて思ったのでした。

上司の言うことは、「絶対、聞かなければならないこと」

上司の言うこと=聞かなきゃならないこと。
上司の言うこと=自分の意見を挟んではいけないこと。
生真面目な若い人は、そう思ってしまうことがあるかもしれない。

でも、その女性は、上司側の感情も自分で想像して、特に「上司の理想の部下」をやらないといけないと、思い込んでいるような印象を受けました。

理想の娘、理想の生徒、理想の学生、理想の○○、、、
上手にやってきた優等生は特に、会社に入っても優等生でなければならない、と思う。
だけど、会社って、優等生が優等生でなかなかいられない場所のようにも感じます。「勉強」ではなくて、得意不得意の分野が仕事によって大きく分かれる。
「生真面目」がうまく結果が出せる職種もあるけれど、そうではない職種もたくさんあるから。
教育機関の中での優等生が、社会に出るとなかなかそうは行かない。対人の営業は特にそうなんじゃないかな、と思います。

上司の「理想」を勝手に想像してしまってはないか?
上司を理想化しすぎてないか?

上司はもしかしたら、今の彼女の頑張りで、十分だと思っているかもしれない。
もしかしたらノルマをかけすぎだと思っているかもしれない。
だけど、「理想の部下」を演じないといけないと思っていると、上司が見せない心の揺れも見えてこなくなりますよね。

上司が彼女にその仕事を任せている理由は、なんらかの考えがあってのことかもしれない。もしくは、彼女がこの仕事に向いていると思っているかもしれないし、
なんなら、その仕事を好きでやっていると思っているかもしれない。

色々と想像できますが、
まずは自分の思いを丁寧に上司に表現してみないことには、コミュニケーションは、始まらない。
その上司にも「察して」は通じませんよね。
私も自分の20代を思い出しながら、上司のことを勝手に「なんでもできる理想の組織人」もしくは「絶対に逆らってはならない権威」みたいに思い込んで苦しんでいた時期があったなぁと思い出しました。

正論を言えば、状態を打開するには、自分から動く必要がある。
だけど、そんなもん、簡単に上司に言えるなら、こんなに悩んではいない!(笑)

うんうん。簡単には上司には「この仕事やりたくない」なんて言えない!
彼女の反応も、こうでした。
私も、分かるー!言えない!と思いながら聞いておりました。

上司に言えないと言う彼女に、あやなりさんは意外な返事。

上司に言えないと主張し続ける彼女。
次にあやなりさんは、どう答えるか?聞くか?
あなたなら、どう答えるでしょうか?聞くでしょう?

頑なに、上司には言えない、という彼女。
いや、そうだろうな、とは思うけれど、
果たして、あやなりさんは、次の一言を、どう出すのか?
ドキドキしながら聞いておりますと、、、

「今、口に出して大きな声で叫んでみたら?」

「声に出したことある?」
「今、口に出してみたらどうだろう?”この仕事、やりたくない!”って」

え、そうなの?
そこなの?
と私は拍子抜けしたわけです。

ところが。
彼女は、躊躇います。
「言えない」
え、
言うだけなら、タダじゃない?
ここには、上司はいないよ?

だけど「言えない」。

これってどう言う状態だろう?と私は想像したのです。
上司本人が目の前にいない安全な場でも、「この仕事をやりたくない」と言えないって?

彼女は続けました。
「自分が維持できなくなる、決壊してしまう」と言うようなことを。

自分の本当の気持ちを、口にして、外に出す、と言うことは、
それが安全な場であっても、
抑圧した本当の気持ちであればあるほど、言えないんだ、と私はこの時、感じたのです。

そういえば、
私自身も、本気でやりたくないことも口にしないし、
本気でやりたいことも口にしたことは、ほとんどないかもしれないなぁと聞いていて思いました。

それくらい、自分の本当の気持ちにつながることは、人間にとっては恐怖なんだ、と私は気づいたわけです。

しばらく、あやなりさんは、待ちます。
ごくん、と私は唾を飲み込んでしまいました。
彼女が決意する時間が、本当に貴重なものに思えたから。

しばらくの沈黙の後、彼女は大きな声で言ったのです。

「この仕事、やりたくない!」

目の前に上司はいない。
だけど、その後の彼女の声はとてもスッキリしていました。
まるで、上司に直接言ったみたいに。

それは、彼女が自分に繋がった瞬間だったのではないかと思います。
小さなことかもしれないけれど、
人が決意するって大きなことだ。
彼女の世界が、切り替わるから。

彼女の人生が少し切り替わった瞬間に立ち会えたと言う感動が、私の中に、じわじわと広がります。
おお、コーチをする醍醐味ってこう言うことなのか、と言うことも、ちょっとだけ分かりました。
気づきを待つって、好きだなぁ。
私は、なかなか待てない性分だけど、こういうキャッチボールって好きだなぁと感じた時間でした。

「自分の感情につながる」は人生を変える

「自分が、何を感じているか?」
それを言葉にして、人に伝えるのは、簡単なようで、簡単ではない。
だって、自分自身も本当の気持ちを知らないから。
今回の彼女は「今の仕事をやりたくない」というとっかかりではありましたが、きっとその言葉をきっかけに、優等生としての彼女から、彼女らしい彼女へ進化していくんだろうな、という予感を、聞いていて感じました。

自分の感情を、口にして、大切に自分のものとしてあげること。
感情をないものにしないこと。
これだけでも、コツコツ続けていくと、かなり前に向けるんだなと感じます。

クライアントが、内発的動機で動くきっかけは、自分の感情に繋がること

「クライアントが自分の本当の感情に繋がること」が、クライアント自身が前に進む原動力を生むと、あやなりさんは知っているんだな、と後から分かりました。

クライアントが自分の奥の自分に真に繋がることができれば、あとはクライアントの自走が始まるんだ!ということが分かってきました。

まずは、このやりとりができるには、
コーチ自身が自分に繋がっていることや、
自分の奥につながって前に進んだ体験があってのことだな、とも思います。
だからこそ、コーチ自身が自分に向き合い続けることは大事だ、ということなんですね。きっと。

さて、今回も、問いかけで終わります。

過去のあなたは、あなたを生きてきましたか?
今のあなたは、あなたを生きていますか?

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