就活どう?
本日、わたし松浦が出演する、
いいへんじ二本立て公演
『器』/『薬をもらいにいく薬』が
こまばアゴラ劇場にて、初日を迎える。
迎えた、か!!
(これを書いてるのは更新日の5日前です)
3月の寒い季節に緩やかに稽古が始まり
6月の蒸し暑い季節まで
共に歩んできた2つの作品は、
4月の新しいことを始めるエネルギーやソワソワと、
5月の外に出る気持ちよさを感じられる
素敵な演劇になった。
そんなソワソワや気持ちいい天気が終わり、
ムッシムシの6月。
6月の、6月っぽい記憶があまりないのは、
雨の匂いや夏の匂いなど、
季節の匂いに無自覚に生きているからかしら。
昔のことを思い出すときは
あのときなんの舞台やってたっけ〜を思い出すところから始めるが、
大学に入ってからなんの本番も稽古もやってなかった6月は、2020年くらいかもしれない。
2020年6月、私は大学5年生。2回目の就活、内定。
大学4年生のときの1回目の就活では、
エントリーシートの後の面接でほとんど落ちていた。
落ちていた理由は、質問に対する答えを用意していなかったからだと思っている。
お芝居するとき、よく
「目の前の相手に反応して!」とか
「そのとき感じたことを表現して!」とか
言われるのだけれど、
私はそういう方法が苦手。
苦手だから、どうやったらできるようになるのか考えていた。
このときの私は、
何も用意せず、心を空っぽにしておくことが
大事ってことだろうと思っていたので、
「そのとき感じたことを、その場で言語化して答えよう!」
としていた。
就活でも。(演劇大好きね)
質問に「ああ………そうですね(上を見上げる)」
なーんて答えていたので、評価が良くなかったのは当然だ。
おそらく学歴に助けられて飲食関係の会社で内定が出たが、その年の夏に私の留年が決まったので、辞退をした。なんだか少しワクワクした。
2020年は、正直、就活をしないつもりだった。
留年したことで自他ともに、私は会社員にはならないのだろうと思っていたし、
演劇の予定がたくさんあって、このまま卒業してもなんとかなるだろうな、と思っていた。
それでも就活をしたのは、
暇になってしまったからだ。
3月にアルバイトしてたホテルが休業して、大学の授業がオンラインになって、3月の演劇公演がなくなって、4月に緊急事態宣言が出て、5月と7月の演劇公演もなくなって、
どうやら私は暇が続くと、
「生産的なこと」「結果がすぐ出ること」に飛びついてしまうらしい。
2020年の就活は、2回目なだけあってとても順調に進んだ。
前年の反省を活かし、準備をしてみた。
インターネットに書いてある"就活のための準備"は、ほんとうに、やればやるほど、手応えがあった。
突っ込まれそうな経歴や志望理由を先回りして掘り下げておく、
エピソード同士の時系列や因果関係を言葉にしておく、
面接官にも/誰にでも分かる
ちょうどいい言葉とちょうどいい情報だけで、
自分を説明すること。
これは、暇だからできた。
半袖の季節になる前に就活を終えられたので、
真っ黒のジャケットを着てても暑くなかった。
2022年6月。
二本立て公演のうちのひとつ、『器』では、
2020年に新入社員になった女性を演じる。
タイトルの「就活どう?」は、『器』に出てくる台詞のひとつである。
台本を読むのに煮詰まって、外に出て、ファミマとマイバスケットどっちに行こうかな〜って歩いてると、2020年の自分のことを思い出す。
マスクやトイレットペーパーが売り切れていたこと、帰ったら手洗いうがいをするようになったこと、入社したてで在宅の友達と、入社したてで毎日出勤する友達と、オンライン飲み会をしたこと。
あ、ホットサンドメーカーを買って、毎朝ホットサンドを作っていたな。バナナとスライスチーズとミックスナッツの。
立つ→ブリッジ→起き上がる ができるようになったな
コイントスはできるようにならなかった、
あれむずい
オンライン授業がすごく楽しかったな
知らない人といろんな戯曲を読み合わせしたな
80年代アイドルにはまったな
どうやら私は暇が続くと、
「生産的なこと」「結果がすぐ出ること」に飛びついてしまうらしい
と書いたが、
そんなことないか。
それだけじゃなかったか。
松浦みるの記事はこちらから。
https://note.com/beyond_it_all/m/md4021287af87
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