Street
割れた酒瓶のかけら、一つ一つに
引きずられた哀しみが映っている。
ドブの蓋にぶちまけられた吐瀉物が
喧噪の街に滲んでいる。
銭湯帰りの少女の、黒髪の滴に
海のまえに拡がる夜景が映っている。
古物商のショー・ウィンドーは
今夜も妖しくひしめき合っている。
ああ、遊歩道の上で俺は不具、
それゆえ銀色のダイスに嘲笑されている。
五月の雨が疲れた暗渠を潤すまで、
俺は黄金の大八車を曳きつづけるのだ。
ああ、駐車場の傍で俺は不能、
あるいは落下するベッドルームの花。
肉欲は路上で踏みにじられたまま、
狭い路地で眠りこける老教師。
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