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【これを読めばだいたい"国内eスポーツ"がわかる】 すべては"目的を失った男"と"品川センター職員"がピザ屋で出会うことから始まった。(後編)

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(写真は2019 ePARA より )

※この記事は特定の団体、企業、選手を貶める目的は一切ございません。僕は、もっとめちゃくちゃeスポーツを盛り上げたい。eスポーツで、業界で、食える選手をもっと増やしたい。そのために書いているポジティブな記事になります。他意はございません。

前編 を読んでない方は、こちらを!


突然ですが、成年後見制度 を皆さんはご存知でしょうか?

ざっくりと申し上げますと、認知症などで財産管理能力を喪失した者の財産を保護するための制度です。ただこれだけでは足りないので詳細は厚生労働省のサイトをご確認くださいませ。→リンク

それがeスポーツとなんの関係が?っていう話なんですけれども、実は前編で話した通り、よしもと、ベンチャーを離れ、単発ではeスポーツのお仕事も何軒かお手伝いはさせて頂いてたのですが、なかなかパワーをフル投入できる環境がなかったのも事実でした。(起業をしていたタイミングでもありましたし。)



yentaからピザ屋。シルバーeスポーツチーム企画の話へ。

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(画像はSiLVER SNiPERS / オフィシャルホームページより)

そんな中、ビジネスマッチングアプリのyentaで、市民後見支援協会理事の方(NPO団体)から"eスポーツ"に興味があり、ぜひお話を伺いたいとご連絡が。人とお話しすることにすごく力を入れていた時期だったのもあり、大井町のおすすめされたピザ屋さんへ。

そして、すごーく話が盛り上がった。これが、のちに障がい者eスポーツ団体"ePARA"の代表になる"加藤"さん(@koken_3)との出会いです。お会いしたことがある方はわかると思うのですが、カラッとしていて、裏表がなく、想いがあり、エンジンが強い方。実はこの時の話は"成年後見制度"をなんとかeスポーツを絡めた広報活動で認知を広げたい!という話でした。もともと司法で、裁判所書記官をやられていた加藤さんから、成年後見制度の実態を伺い、自分もお婆ちゃんっ子、母親が介護の仕事をしていたのもあり、なにか力になれれば!と共感し、企画を動かしたのが最初です。

その企画というのが、スウェーデンの平均年齢73歳のeスポーツチーム と、日本でもシルバーeスポーツチームを結成し、国交を掲げた交流戦をやろう!という企画でした。早速企画や内容は私、外回りは加藤さんという風に企画を当てていったのですが、非常に手触りがよかった。面白いですね!といった感じで。が、結局はこの企画は約半年実施できず、結局は棚上げされたままになります。

その際たる理由がチーム結成の難易度が高かったこと。
FPSゲーム(kill game)への65歳以上ゲーマーの方の抵抗感がすごく、またスウェーデンのチームがPCゲーが主戦場ということもあり、とにかくハードルが高かった。実はゲーム会社の方にも当たっていたりしていたのですが、それもなかなか形にできず、地団駄を踏んだまま、半年が流れたのでした。

"このままではだめだ。別城さん、もうイベントやっちゃいましょう!"
"最終的に市民後見制度の認知が広がればいいから、まずはアクションを"
"障がい者雇用の現実が多々ある。ここをeスポーツで切り込めないですか?別城さん"

連日のfacebookメッセンジャーでの電話でこんな会話をよくしていた気がします。いわゆるゴリゴリのサラリーマンというよりは公務員、職員という出で立ちの加藤さんが、なぜかバキバキのベンチャー企業家やbiz-devをやられているような方に見えてきて、面白いな、この人!と毎回お話しして感じたことを覚えております。

よく冗談で"加藤さんはポルシェのエンジンに、チョロQのボディ"のような方だ、と例えるのですが、気付いたら、会場、スポンサー、ざっくりとした企画だけが決まっていて障がい者雇用支援、機会創出を目的としたepara2019の企画はスタートしました。
人望、そしてこの時代に、どぶ板的にガンガン人とお会いし、身の丈を、熱で共感を産むこと。それが出来る、出来すぎる加藤さんを密かに尊敬しております。

昔、イベント業界その道何十年の方がおっしゃっていたのですが、「ベッキー、場所と人、理由さえあれば、なんとかなるのよ、イベントって。たとえ時間や潤沢なリソースとかがなくてもね。」ふと、イベント当日はそんなことを思い出した気がします。スポンサードをしてくださった、SPARK 社さま(UnityやUE対応のハイクオリティVFXエフェクトエンジン SPARK GEARなどのミドルウェア開発会社/メーカーさんです)には、今でも感謝しております。クラウドファンディングでご協力頂いた方にも非常に感謝しております。当たり前なのですが参加された方みなさんに御礼申し上げます。このタイミングで改めてにはなっちゃいますけれど。。

トラブルを10個ぐらい抱え、前日、当日、翌日(後片付け)は走り回りながらもePARA2019は終了いたしました。

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手応えだけが確かにあった。

※かなり正直に書きます。が、他意はないです。
正直なところ、最初、障がい者の方と深くイベント、eスポーツを行うことはかなり、ハードルが高いだろうな、と考えていた。私の親戚に知的障害者の子がいて、彼女が自立して働くのは厳しいだろうし、ハードルの高さや溝みたいなのを漠然と10代の頃から感じていた。そういうリアルがePARA2019まで私の中にあったのは事実です。

実は、乙武さんのジョークでめちゃくちゃ緊張が溶けたんです。
大ベストセラーの五体不満足は勿論私が小学生の頃に読んでましたし、快くイベント出演してくださったのも感謝していたのですが、とにかくユーモアのある方で、ご自身で四肢がないことをジョークとして発言されて会場やリハーサルで場を沸かせるんです。すごいと思いました。本当にこれは。
なんというか、自分の価値観がぶっ壊れたぐらいの体験でした。
あ、乙武さんがいっちゃうんだ、それ。って。いわゆる"不謹慎"とかないんですよ、そこに。それって僕ら側の勝手な壁なんだって。(勿論傷つけるようなことはだめですよ!) 中良い友達が太りすぎたり、色黒だったりして、いや誰が○○やねん!みたいな。ほんとそれぐらいのノリなんです。

車椅子YouTuberの寺田ユースケさん(24時間テレビにも最近出られてます!すごい!) もめちゃくちゃ気さくでジョークを言われるんですね。

正直な感想が、なんてことはない。壁を作ってるのは自分の方だ。
すごーく楽になりました。車椅子乗ってようが、ナンパする人はするし、どこか不自由だろうが、余裕でゲームは自分より鬼うまいし。めちゃくちゃ気が合って友達になれる人もいるし、お互いに相性が、、って難しそうな人もいる。一緒にお酒を飲めば、ほんとになんてことはない。なんなら、今まで会ってきた方たちでもっとキツイ性格とか言動/思想の方の方がたくさんいたわ。っていう。誰しもサラリーマンしてたらありますよね。

結局、知らないから、交流がないから、わからないから、怖いし、なんかよくわかんない優しさで"自分"を守ろうとしてるんだな。って。
私が、小学生の頃、Fくんという知的障がい者の子と定期的に交流するプログラムがあったんですけど、ずーっとそれが疑問だったんです。なんだこれって。Fくんを囲んでみんなで、話しかけよう!簡単なゲームしよう!って。いや、Fくん喋れへんし、恥ずかしいやろうし、意味わからんやろ。って。で感想を送る。なんだこれ。。って。そして私はFくんはやりたくなさそうだった。この授業が怖い。とか正直に書いて、教師に怒られる。という。。いまなら断言できるんですけど、もっとやり方あったな、って。教師も一緒なんだな。って。(批判とかじゃないですよ!まぁ生意気な生徒でしたね・・・。) 

線を引いて触れ合うのってやっぱ溝深まるだけなんだと個人的に思うんです。お互いに"無理"しまくると、よくわかんないニコニコで埋めあって、ハリボテの社会作っちゃう感じじゃないですか?。って。そんな"うまく"も"よく"も出来てないですからね、人間って。健常者"も"当然のように。

・・・すみません、余談でした。とにかくその線をとっぱらうツールとして、真のバリアフリー競技である"eスポーツ"に手応えを強く感じたのがepara2019でした。

懇親会でまたやろう!ってホント10人が10人、みんながおっしゃっていたのを覚えています。それは、さっきの"場""理由"を彼らも望んでいたんだな、って。つながったんです。彼らも線の無いコミュニティと自己実現、ひいては活躍の場を求めているな。って。だし残念ながら、私は本当に凡人でして。ましてや善人でもない。ビジネス的にもこれは面白い、というのを本当に予感しました。(売り上げないと大きい活動も出来ないですからね。。)

もし、eスポーツでいま、全力で投球するなら、これだな、とピースが私の中でハマった感じもしました。
それぐらい社会にインパクトもあって、新しいこと、楽しいことをやっている(やりがい)感じがしたんですよね。

話は戻って・・・。主題の国内eスポーツについて。

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ePARAの今後については、メディアもありまして、障がい者eスポーツに関するニュースサイト → ePARAメディア もありますので、よければ覗いてみてください! (ePARA 2020 も完全オンラインで大盛況で終了いたしました!)
光と闇。光の部分を話したい。 
手前味噌にはなってしまいますが、ePARAはマネタイズに成功している団体です。ここに私はめちゃくちゃePARAのバリューを感じております。

そして、いま国内eスポーツは地方が熱いです。
東京にいると、どうしても、採算性やパブリシティ、諸々の絡みで"全国"、"世界"という文脈でイベントや大会、事業をスタートしがちです。
(私自身もその気はあります。。正直。)
地方からすると、結局東京が勝手にやってるだけだ、と思われちゃうことも多く、温度差が均等ではないんですね。これがひずみになって、eスポーツの盛り上がりに空洞を産んでる気がします。
例えばですが、近所の兄ちゃん、姉ちゃん、近所の飲食店のおっちゃん、が地元の体育館で行われた大会で優勝されて、メディアに取り上げられたり、東京の大会に出場する。そういう身近なシンデレラストーリーだったり、体験が揺さぶるんだと思うんですよね。興味のないスポーツの試合も自分のよく知る人がでるなら応援すると思うんです。
私以外の方も提唱されていると思いますが、そのデッカイ受け皿として、東京があればいんじゃないかな、と。いや、むしろ世界大会の決勝を日本のどこかデッカイ体育館や競技場でやってもいいんですよね。今記事を読まれている方でもし、地方でeスポーツを仕掛けたい方いらしゃいましたら、何か響いていらっしゃると嬉しいです。私でよければ、ぜひお気軽にご相談してくださいませ!(テレカンで30分でも) ePARAは勿論いろいろと企画を進めていくのですが、私個人の力では限界があります。
ぜひお手伝いさせてください!
ご連絡 はこちらまで! bekki@kanagu-inc.com (メール)
Twitter : @betsushiro3

それに、各県で、各市町村でeスポーツのイベントを行おうとしている
団体、協力会社、事業会社さんが非常に増えてきてまして、とにかくこの流れがよいと思っております。追い風ですね。最終的には個性を残しつつ、わかりやすいように時間をかけて一本化していき、地方での盛り上がり → エリア → 西/東日本 → 全国 という階段ができれば、かなり大きな渦になるでは、と考えています。(選手としてのキャリアパスにもなりますし!)

なので、ePARA2019 に関して現場の記事を頭に書いたのもそうなのですが、本当にこの"草の根"の第一歩が大事なんです。これが光になります。

みんなで盛り上げていこう!という言葉の裏には、具体的な指針と行動が勿論セットになります。そしてめちゃくちゃ最初は泥臭いです。でもそれがいずれ華やかなステージに繋がったり、誰かの人生、地方活性化のきっかけになるかもしれない。って考えたら、めちゃイノベーティブで面白そうな市場だと思いませんか?

まとめると、国内eスポーツ市場の盛り上がりは、地方の団体/イベント/人が鍵を握っている。これはオンラインイベントの普及と需要が加速する今日。間違い無いと思います。

事業者 / 団体だけの話、記事では勿論ない。

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この記事を読んでくださってる方で、なんとなく興味はあるけど、あまり自分には関係なさそうだなーっと感じてる方も多いと思います。
ですが、せめてビューワーシップについて書かせていただければ、と思います。

ビューワーシップって?
聴き馴染みの無い言葉かもしれませんが、これは私が"PUBG MOBILE"の国内ロンチプロモーションをプランナーとして従事していた際にPUBG社が公言している非常に大事にしたい考え方。ブランドポリシーです。

PUBGは、プレイヤーだけでなく、第三者がプレイを視聴することを楽しむゲームとしても親しまれており、「ゲームメーカー」「プレイヤー」「視聴者」によって成り立つ「ビューワーシップ」という概念をもとに開発、サービスが行われています。PUBGの熱狂的なストリーマー(プレイ動画を動画共有サービスに配信する人)に、「PUBG パートナーシップ」としてゲームルーム作成の権限などを与えることで、「プレイヤー」はより楽しんでプレイ動画を公開し、「視聴者」も特別なプレイを見ることができます。
(ファミ通記事より抜粋)

eスポーツに関して、"観る"ことがコンテンツとして成り立ち、それがコミュニティや市場の発展に繋がるということですね。フリーミアム型のゲームが今でこそ主流になってきてますが、息の長いゲームはLTVもCSも非常に高く、その発展、マーケの基礎を支えているのは、やっぱりストリーマーだったりします。そこをゲームメーカーが支える、という形ですね。
現にプライベートルームや、カスタムマッチ権限などを公認ストリーマー/団体が与えてもらうことも最近ではよく見かけますよね?

なので、もしあなたが毎日気兼ねなく好きなeスポーツ選手や、チーム、選手じゃなくてもストリーマーの配信を見ているのなら、それはeスポーツの発展に実は寄与しているんです。もしその人が大会にでる、コミュニティイベントを主催するなどの機会があればぜひ応援してあげてください。非常に大事です。サポーター、とまでは言わないですけれど、配信を観る(参加)することは非常に大事なことなんです。例えばですけど、視聴者数というのは一つのイベントのバロメータとして使われることが多いです。コメントの多さや、いわゆる同説の多さですね。イベントが盛り上がっても、やはり数字が薄いと例えばレポートを出した時にマイナスに映る場面はあります。

でも、例えばTwitterでRTする。(imp的には引用RTの方がいいと言われております。) facebookでシェアする。インスタで投稿/ストーリーにあげる。など、その拡散行為が非常に運営者や選手、ストリーマーにとって価値あるアクションだったりします。ぜひ応援する気持ちがあるなら、身近な方を広めてあげてください! これもビューワーシップで大事なことです。

noteで記事書きませんか?

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最後に、もしeスポーツに興味がある、事業をやられている、マーケやブランディングを行っている、思うことがある。という方はぜひ記事を書いてみませんか? 私はいま障がい者eスポーツの最前線にはいるのですが、海外のeスポーツ等はまだ疎く、大小問わず、国内のeスポーツチームや選手状況全てを網羅しているわけではないです。でもそういう方が書く、現場の記事って本当にいいと思うんです。

残念ながら、私はまだカッコをつけるフェーズじゃないと思うんです。つらい、とかではなく、こういう想いで、こういう目的のため活動をしている。それを読んだ誰かが、あぁeスポーツはわからんけど、彼、彼女は本気でやってるんだな、それなら。となるかもしれない。

あるいは、場所だったら貸してあげれるよ、とか。機材なら貸せるよ、とかパートナーの出現だってありえるかもしれない。そもそも知らないのですから、想いや何に困っているか、なんのために、何をしたいのか。それを知ってもらうところにエネルギーを書くことが個人レベルだと大事だと思うんです。(だから私も記事を書いてます! 私の場合は地方のそういう想いの方と知り合いたい!ナレッジないけど、イベントやりたい!ゲーム好きだ!みたいな方。)

一番怖いのは、eスポーツ、eスポーツ言われなくなった日、みんなが盛り上がったね。よかったね。だけで終わっちゃう日。それは避けないといけない。とある国内強豪eスポーツの代表の方がおっしゃっていたのですが、
僕らは8年前から、eスポーツって単語がまだなかったぐらいのところから、チーム立てて海外の大会出てるからね笑 やることは今も昔も変わらないよ。」年季が違う。って言葉があるじゃないですか、あれよりも深いところで"あなたたちと、わたしたちは違うから"って言われた気もしたんですよね。正直。かっこいいとすら思いました。
まだまだ当たり前ですが、ePARAもその域までは到底いってないです。が、いずれは障がい者eスポーツの国内トップ団体として、社会問題にもチャレンジしながら、海外の団体と交流戦をやりたいな。というのが私の密かな野望です。だってそれ、もう国際大会みたいなものじゃないですか。

今の仲間やお世話になっている方々とそこまでいけたら、本当に前編で書いてた悔しい思いを払拭できると思うんですよね。自分で自分を褒めてあげれるといいますか。本当にスタートはなんでもいいと思うんです。100人いたら、100人がeスポーツ業界に飛び込んだ理由があると思いますので。

忙しい中だとは思いますが、noteのPF内をまずはeスポーツの現場の記事で埋めませんか?だって、その体験(記事)があれば、トライアンドエラーの財産で。誰かがそれを参考にすれば、もっと面白いチャレンジが出来る可能性が広がると思うのです。

最後に・・・。

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そんなこんなでとりとめのない内容も多々ありましたが、前編、後編いかがだったでしょうか?
前編では、私のエピソードやざっくりとした市況感、様々な現状を。
後編では、ePARAの発足と、みなさんにぜひ興味があればトライして欲しい内容を書いてみました。

なんとなく、現場ってこんな感じなんだ。とか、へーって読んでくださっただけで超嬉しいです。

お付き合いいただきありがとうございました。

どこか熱気のある空間で、あなたとお酒を飲める日を心待ちにしております。


ePARA プロデューサー / 株式会社カナグ 代表取締役
別城 翔  (BEKKI TSUBASA)
Twitter : @betsushiro

株式会社カナグ https://kanagu-inc.jp/ 別城 Twitter https://twitter.com/betsushiro3