賃借人の規約違反行為につき賃貸人・区分所有者は責任を負うのか?【判例2】
判例シリーズ第2弾です。
できれば遭遇したくないお話し。
(東京地方裁判所 平成11年1月13日判決)
①事件の概要
賃借人Aが管理員室等に執拗に電話をかけたり訪問する等して管理組合役員や管理員等に対し、
同人らの生命身体に危害を加える旨告知して脅迫
バタフライナイフを振り回す
火災警報の非常ボタンを何度も押す等
の行為を繰り返したため、管理組合Xは賃貸人・区分所有者Yに対し、Aを退去させるよう要請した。
しかしYは自分には責任がないとしてこれを放置した。
XはYに対しXが余儀なく警報機の断線工事をした費用、及びAが玄関扉をバットで叩き破損した費用相当額を請求した。
なお、Xの役員は遠方に居住するAの親を説得し、Aを実家に連れ帰らせた。
②問題点
①Aの行為につきYは責任を負うか
③裁判所の判断
Yの責任を認め、損害賠償を命じた。
① について
管理規約には
「区分所有者はその専有部分を貸与する場合は、この規約及び使用細則をその当該者に提示し、それが定める事項を遵守させなけれ ばならない」
「区分所有者はこの違反により生じた損害について全責任を負い、管理組合が請求する損害賠償及び損害排除のための経費の負担に応じなければならない」
「区分所有者又は占有者が 管理組合の共同の利益に反する行為及び規約違反を行った場合、必要な措置によって生ずる費用は当該区分所有者が負担するものとする。また、その行為のために損害が生じた場合、管理組合は当該区分所有者に対し損害賠償を求めることができる」
と定められている。
また使用細則には、区分所有者又は賃借人等の占有者の禁止事項として
「他の居住者に迷惑、危害を及ぼす行為」
が規定されている。
Aがむやみに警報機を鳴らしたり、玄関扉をバットで叩いたりする行為は上記管理規約及び使用細則に反するものであり、Yは賃借入に管理規約及び使用細則の定める事項を遵守させなかったのであるから、管理規約の現定に基づき損害賠償責任を負う。
ざっくりまとめると
区分所有者が責任放棄して危険人物である賃借人をのさばらせた罪は重い!
共同住宅である以上、近隣の事も考える必要は当然あるので管理組合も規則に則り当然の損害賠償請求をした。
と言う話しですね。
借りる人も貸す人も責任はありますのでお忘れなき様。
ではまた!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?