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ご機嫌な趣味は人それぞれ。「孤高の人」を読んでいる。〜摘読日記_59

こちらを読んでいるところです。

上巻まで読み終わりました。


社会人登山の道を切り拓いた、大正から昭和期にかけ実在した人物、加藤文太郎の山行さんこうに賭けた生涯を描いた小説。

ひとこと感想を書くなら・・

いやー、Mなんですか?

と言ったら失礼だとは承知なのですが・・。

命懸けの山行さんこう。猛吹雪、猛嵐、落雷、孤独。。
とにかく、壮絶。
苦行のようです。

雪中でのビバークとか、辛すぎる・・。

ビバークとは、山中で緊急時にやむを得ず手持ちの装備だけで一夜を越すこと、だそうです。

週末、有給休暇、すべて登山とそれに向けての準備と鍛錬に費やす日々。

人づきあいが決して得意ではない加藤文太郎、いつの間にか周りから「単独行の加藤」と仕立て上げられてしまった面もあり、時にはパーティに参加したいのに、拒絶されてしまうのが何とも切ない・・。

機動性重視の食事、両ポケットに甘納豆と干し小魚を仕込んでおき、適宜ポリポリ。ストイック過ぎる・・。


なんて趣味なんだ・・と読み進めていたら、こんな一節があり、ハッとしました。

山へ行っているあいだはご機嫌なんだ。


「競馬好きと同様に、おれは山が好きなのだ。」


ここを読み、「競馬が好き」という一節から勝手に読み換えてみました。

競馬をやっているあいだはご機嫌なんだ。パドックでほのかに馬糞の匂いの混じる空気を吸い、馬の息遣いを聞き、いななきを聞くと気分がなごむから競馬場へ行くのだ。要するに、競馬が好きなんだ。
・・・おれは競馬が好きなのだ。それだけで、他にはなにもない。

加藤文太郎の「山好き」と比べると、だいぶ平和だな、、

私は競馬という平和でご機嫌な趣味があってよかった。


他にも、加藤文太郎が知人と「なぜ、山に登るのか」という素朴な疑問について会話を交わすシーンもありました。

そこもそのまま、「山」を「競馬」に置き換えられるな、と思ったり。

「競馬へ行くと、うるさい女房の顔を見ないですむからな」
「理屈なんかじゃあない。その答えは競馬へ年期を入れていると自然に競馬が教えてくれるものだ。だが、競馬という奴は、ひどくけちんぼうでな。一度にそれを教えてはくれないのだ。おそらく一生涯かかっても、なぜ競馬をやるかということが、ほんとうに分からないで死ぬ人が多いのじゃあないかと思う」

ここは、「山好き」、「競馬好き」、確かに共通かもと思いました。


だいぶ引き込まれて読んでいます。

漫画化もされているようです。

これも読んでみたいです。

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