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凱旋門賞への挑戦は、無謀なのか? 問題。

夢、またもや散る。


昨日、パリ・ロンシャン競馬場で国際レース・凱旋門賞が行われた。
日本からは過去最多の四頭が出走を果たすも、最高着順がタイトルホルダーの11着で、他の三頭は14,18,19着と上位争いにまったく加われず。

日本陣営、初勝利の夢は儚く散った。

1969年、スピードシンボリという当時の日本最強馬の挑戦からすでに50年以上が過ぎた。

この間、日本から挑戦した馬は、多くが各時代の日本における最強クラスの馬たち。。

ディープインパクト、オルフェーヴル、エルコンドルパサー、クロノジェネシス、ゴールドシップ、フィエールマン、メイショウサムソンなどなど。。

Wikipediaによると、既に延べ33頭が挑戦。4回の2着が最高成績で、未だ未勝利。。


この挑戦は、無謀なのか?


昨日のような散々たる結果を目の当たりにすると、まず考えてしまうのが、「この挑戦は、無謀なのではないか?」というもの。

一昔前、2010年・ナカヤマフェスタ、2012年と2013年のオルフェーヴルが、立て続けに2着となった時期は、日本ファンの誰もが「あと一歩。もう初優勝は近い。」と思ったはず。

しかし、ここ数年は大苦戦が続いている。
2014年以降は、17頭が挑戦した中で、最高着順はハープスターの6着。
17頭中、二桁着順が12頭。

一度近づいた夢が、また大きく遠のいてしまった印象。


大きな原因は、多くの識者が指摘する通り、「馬場の違い」なのだと思う。
元騎手の田原成貴氏は、「日本とは別の競馬なんだから、大目標にしなくてもいい。」と述べている。


日本で行われている競馬と「別物」である欧州の競馬に、安くない登録費用を掛け、輸送のリスクを負い、日本国内の世界最高水準の賞金を蹴ってまで参戦することにどれほどの意味があるのか。

上位争いに加われるならまだしも。。

少なくとも、このような結果が続くようだと、「無謀」と思えてしまう。
何も、日本のトップホースたちがこぞって参戦しなくても・・と思ってしまう。


とはいえ、挑戦は続けて欲しい。

とはいえ、「あともう一歩」というところまでいった実績はあるのだし、挑戦は続けて欲しいし、引き続き日本のホースマンたちは凱旋門賞に挑戦するのだと思う。

そんな中で、東スポの藤井記者が、「エルコンドルパサーやオルフェーヴルなどのスーパーホースの出現を待つほかに、適性重視の挑戦も見てみたい!例えば函館記念を勝ったハヤヤッコとか・・」とTwitterで発言しており、面白いと思った。

ハヤヤッコは日本ではトップレベルの馬ではないものの、重馬場適性が高く、時計の掛かる傾向が強い欧州競馬に合うだろう、という見解だと思う。

他にも、エルコンドルパサーのように欧州に長期滞在して、走法から欧州の馬場向きのものに変えていくべき、という意見もある。

私が思いついたのは、”ドイツのディープインパクト”と言われ、去年の凱旋門賞馬であり、今年も3着に入ったトルカータータッソの父であるアドラーフルーク(Adlerflug)が遺した産駒を買い取ったり、あるいは、アドラーフルークの血を引く繁殖牝馬に日本の種牡馬をつけ産駒を欧州で走らせたらどうか、などとも思う。

競馬は多様だからこそ面白い。

今回参戦したタイトルホルダーの生産者である岡田牧雄代表は、そもそも「凱旋門賞が世界最高峰のレース」とは思っておらず、早いところ凱旋門賞を勝って「この狂想曲に終止符を打ちたい。」とレース前に語っていた。

その思いは残念ながら通じなかった。レース後、タイトルホルダーの栗田徹調教師は、「まったく別のタイプの馬を連れてこないとしんどいかもしれない。」とコメントを残しており、どうやらタイトルホルダーの来年の挑戦はなさそう。

19着に終わったドウデュースにしても、レース前には「勝っても負けても来年も挑戦する。」と二年連続出走の意思を表明していたが、今年の結果を受けてさて来年どうするだろう。

少なくとも、今年のような馬場であれば、どんなに馬の調子が良くても、好走は厳しいだろう。

実際に挑戦を続ける日本のホースマンたちは大変だと思うが、いち競馬ファンとしては、他のスポーツは多様なアスリートが同じ条件で戦える環境を作っていくことが当たり前であることに対し、競馬はこの多様性こそ面白いのだと思う。

ああ、世界にはこんな競馬があるんだ。
日本の馬はどうしたら通用するのだろう?

不確定要素が強い中で、ひょっとしたら今年は勝てるかもしれない?というワクワク感は、なかなか味わえないもの。

来年の凱旋門賞に挑戦するのは、どの馬だろう?
本当にハヤヤッコが出走して勝ったりしたら、数々の名実況で有名な杉本アナからはどんなフレーズが飛び出すだろう?

「ハヤヤッコだ! スピードシンボリが、エルコンドルパサーが、ディープが、オルフェが繋いだタスキを受け取って日本の夢を叶えたのは、なんとハヤヤッコであります!!」

なんてね。

2008年、ロンシャンにいた杉本さん。


(10/4正午追記)
私の記事にしてはめずらしくコメントをお寄せいただいております、ありがとうございます!やはり、みなさん注目のレースだったのでしょうか。そして、今回の敗戦にうけたショックも大きいのかも?

今さっき、こんなツイートも。

不屈の闘志に感動します。

まずはしっかり疲れを癒して無事に帰国を!

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