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この秋は、何色に一目惚れするのでしょう。

アイスブルーのワンピースに一目惚れした、5月。
今年の夏は、暖色好きのわたしには珍しく寒色に惹かれやすくなっていて、ブルーのワンピースばかり身にまとって生活していた。
おそらくイエベ春(イエローベース・春)だろうわたしには、きっとアイスブルーは似合わないのだろうけど、着たいものを着ると決めているので、あまり気にせず頻繁に着ている。



季節がふたつほど過ぎて、秋。
秋冬は、毎年赤い服ばかり目に入る。
真っ赤も良いし、ボルドーやワインレッドも良い。気づいたら、クローゼットが赤やピンクだらけになっていることがある。
学生の頃は、それこそ本当に赤ばかり着ていたせいで、「まりちゃん、今日も赤いね~」と言われたりしていた。(1回生の頃、真っ赤なコートとか着てた…若かった…)

眠たくて憂鬱な日の朝には、すきな色を身にまとって家を出るしかないでしょう。赤は、わたしの戦闘色。



先日、そんな赤がだいすきなわたしにとって衝撃的だった展示会へ、足を運んできました。


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『魂がふるえる展』(森美術館)


紅い、どこまでも紅い無数の糸が張り巡らされている、この展示。
"魂がふるえる"どころの騒ぎではなく、気を抜くと魂を吸い込まれそうな空間だった。

光の当て方や、糸の重ね方、巡らせ方によって濃淡が表現されていて、不思議な圧迫感がある。

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黒い糸が張り巡らされている空間(「不在」が強調されているらしい)もあったのだけれど、こちらの方が幾分落ち着いて、「わたしたちはやっぱり、はつらつとした赤より陰の世界の方が落ち着くね」などと言い合った。




展示を見ながら、2013年の深夜ラジオでちょうど『絶対少女』というアルバムをリリースしたばかりの大森靖子さんが話していた「ピンク」についてのエピソードを思い出していた。

「ピンクって、一見"カワイイ"色だと思われがちで。最近だと、"ゆめかわいい" みたいな。だけど、胃とか内蔵とか内側を見れば臓器だって真っ赤なピンクじゃないですか。ピンクって、可愛さと闇を内包した色だなと思うんです」

今回の展示を見て、色の二面性というか、色の持つ強い意志みたいなものを感じた。

運命の赤い糸やハートを表す、慈愛に満ち溢れた情熱の色である一方で、血管や血液を表す生命力みなぎる色でもある。そして、少しおぞましさを感じる色でもある。

張り巡らされた赤い糸の束は、しばしば毛細血管を想起させ、身体のどこを切っても血が出るのは正常に毛細血管が張り巡らされている証拠だよな、などと思ったりした。

だからこんなに吸い取られそうな感覚があったんだな。まるで張り巡らされた血管の中に、ひとりぽつんと取り残されたようで。



会期は明日、27日(日)まで。
興味のある方はぜひ、一度足を運んでこのおぞましさを体感してみてください。

『塩田千春展:魂がふるえる』
2019年6月20日(木)~10月27日(日)
森美術館六本木ヒルズ森タワー51F





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