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またいつか会いましょう。


高校1年生の冬。どうしても写真が撮りたくて親に一眼が欲しいと頼んだ。昔から写真を撮ったり、見たりすることは好きで、当時持っていたスマートフォンでもたくさん写真を撮っていた。それを知ってか知らずか、父親は近くに控えた定期試験の成績学年10位以内という条件と引き換えに一眼レフカメラの購入を約束してくれた。それからの数週間は鼻先に人参をぶらさげられた馬の如し。って感じ。進学校でもなかったので、無事ノルマを達成した自分のもとに入門機のカメラが届いた。夢中で色んなものを撮った。時には部活までさぼって、海まで自転車を漕いだなあ。


それから4年。ふと昔に撮った写真を見たくなり昔のデータを夜通し確認していて、はっとした。今よりも遥かに純粋にただ撮りたいと思った写真を真っ直ぐに撮っている自分を見つけたからだ。過去の自分が撮りたいという衝動に駆られ、シャッターを切らされた風景。何者にも影響されず過去の自分が肯定した世界。見られ方とか評価とかそういったものを取っ払った、自分のための写真。ある意味で写真の本質の部分。

そうすると今の自分に要らないモノ。また逆に、最低限兼ね備えねばならないものが見えてきた気がする。今このタイミングで過去の自分との邂逅を果たせたことが何より嬉しい。また、いつか大事なものを確認させてもらいにいく。それは何処の自分なのか今はわからないから。一枚一枚を大切に、でも縛られずにシャッターを切ろうと思う。その時まで!

「またいつか会いましょう」


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