著者に聞く『過去のStudy Routine教えてください!』
第1回:恵比須大輔先生
Q1:典型的な1日を教えてください。
ワーホリ時代、オーストラリアのクイーンズランド州、ゴールドコースト郊外にある山のレストランで住み込み勤務していた頃、そのレストランがツアー観光会社と提携していたので、ランチタイムのキッチンスタッフ、ブッシュキャンプファイヤーや山の中のナイトウォークなどのアテンドをしていました。
Q2:最も勉強していた時期にどういう学習をしていましたか?また、それにどのくらい時間をかけていましたか?
25、6歳頃、TOEIC満点を目指していた時が量的には一番本格的に学習していました。仕事をしていたので1日4〜6時間程度だったと思います。
当時使用していたのが、以下の2冊です。2冊で900ページ近くもある英文法(表現・語彙含む)問題集です。英文法と語彙を短期集中で習得した後は、多くの英文に触れて経験値を上げることを考えていました。
『TOEIC文法 鉄則大攻略』 長本 吉斉 (著)
『TOEIC(R) TEST文法急所総攻撃』 長本 吉斉 (著)
※現在は改訂版が出ています。
上記の本はTOEICの点数だけを伸ばすためだけの解説ではなく、英語力自体を上げてくれるような、実際に使用することを前提にした解説が当時としては斬新で良書でした。テンポの良い解説で、2、3周を半年程度かけてやったと思います。
ただ、自分の英語力のベースになっているのは、結局のところ2回のワーキングホリデーで経験した現地の人たちとのコミュニケーションでした。
Q3:学習のきっかけとなる目標はありましたか?どんなものでしたか?
大きく英語を学ぶ方向にシフトをしたのは、大学卒業と同時にワーキングホリデーで渡豪すると決めた瞬間です。
当時は、日本の社会に期待が持てず、新しい価値観を得たいと考えていた時にワーキングホリデー制度を知りました(自分のことを知らずに生涯の仕事を在学中に決めることに抵抗があったというのも理由の一つでした)。
日本を一度出て、客観的に日本の良さを改めて知るには、他国の人や異文化に触れる必要があり、自然と英語を学ぶようになっていきました。英語はあくまでもコミュニケーションの道具だと考えています。
Q4:ご自身の学習においてもっとも役立った1冊を教えてください。
『THE GRAMMAR BOOK』(出版社:Heinle & Heinle Pub)
ワーホリ時代は基本的に参考書の類は持っていませんでしたが、帰国しTOEIC対策を終えた後に、この本でどっぷりと英文法の世界に浸りました。
どちらかと言えば、英語教員、大学・大学院で認知言語学を研究する学生を対象にしたレファレンス本です。ハードカバーで、分厚く重い本で持ち運びは不便でしたが、辞書を片手にどっしりと構えて、好きなテーマを興味の赴くままに読み漁っていました。
Q5:学習をサボりたくなった時、どうしていましたか?
基本的にサボりたくなる感覚は、当時なかったと思います。価値あるものはやってみたいと思うのが人間ですから、英語学習はサボりたいと思う対象でないような位置付けでした。むしろ、「自分の知らない情報を得たい」という知的好奇心が強かったです。
Q6:英語学習以外に大事なRoutineはありますか?
映画鑑賞です。昔は『フレンズ』をよく観ていました。
他にもBrad Pitt主演の『MONEYBALL』と、Matt Damon主演の『GOOD WILL HUNTING』はもう何十回と観ています。
Q7:学生時代、英語は得意でしたか?
元々は理系でしたが、高1の終わり頃に、欠点ギリギリの成績を取ったことを同級生に鼻で笑われたのをきっかけに一念発起し、まずは1、2ヶ月と期間を定めて集中的に英文法だけに取り組みました(旺文社さんの『基礎英文法問題精講』)。
理系頭だったこともあり、英文法を理屈で整理することにハマった記憶があります。
それをキッカケに高2からは英語に関して、特に定期考査前などは真面目に取り組むようになり、得意科目になっていきました。
Q8:座右の銘もしくは好きな言葉を教えてください。
「何とかなる!絶対に諦めるな」が私の中高時代の母親の口癖でした。この詩はそんな母から聞いたもので、今でも大切にしています。
近い英訳として、Where there’s a will, there’s a way.(意思あるところに道あり)があります。
Q9:尊敬する人物は誰ですか?
ソフトバンクグループ創設者の孫正義氏です。
かなりビジネスライクされている実業家・投資家ですので、人によって好き嫌いがとても分かれると思うのですが、間違いなく同じ人間はいないと感じさせる圧倒的なカリスマ性、実行力の強さに昔から惹かれます。
感銘を受けた孫正義氏の言葉に「最初にあったのは夢と根拠のない自信だけ」があります。
あれこれ悩まずにやりたいことがあるのであればやってみれば良いと、思えるようになりました。現在でも教室を経営する上で、色々な局面で思い出す名言です。
Q10:英語学習者にアドバイスをお願いします。
英語を学習する目的の価値をどこまで高く置けるかが大切です。
学習のモチベーションが上がらない時(下がってしまっている時)は、皆さんが目標とする英語力が得られた後の、プラス効果や結果を具体的に書き出してみましょう。
また、英語学習が習慣化するまでは、最初から無理な学習設定をして息切れしないようにしてください。ただし、ダラダラと長期的な学習計画をしないことも重要です。まずは適当な文法力と語彙力を得ることに注力しましょう。
オススメの学習の流れは、拙著『Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル』(アルク)から、『Mr. Evineの英語塾 コア英文法』(ベレ出版)を2、3ヶ月で完了し、その後はこの2冊を復習しながら、英検準2級レベルの長文問題(過去問でOK)で英文にたくさん触れて、経験値を高めていく作業を進めましょう。これを3ヶ月程度行なえば、かなり頑丈な英語力のベースが出来上がります。
全ての学習過程で、学んだ英文法や語彙を自分でどのように使うか、そのシーンのイメージをすることと、音声を参考にしながら音読を基礎トレーニングとし、オーバーラッピングとリピーティングを繰り返すること、この2点で発信力は確実に向上します。
※プロ通訳の専門家を目指している方を除き、シャドーイングは個人的にはお勧めしません。