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忘れられないひと 1


高校生のころ、他校の野球部の男の子に恋をしていました。
私が初めてお付き合いをした人。
記憶が薄れていくのが寂しいのでここに書いておこうと思います。

私の高校は夏になったら1年生全員で野球部の応援に行きます。
ルールもよくわかってないまま連れて行かれるんだけど、
普段教室でふざけ倒してる同級生たちが泥だらけになってボールを追いかける姿がめちゃくちゃかっこよくて、野球ってこんなに面白いんだってみんな感動してたのを覚えています。
それがきっかけで恋愛に発展してる子もたくさんいたな。
そこから野球のルールをちょっと勉強して、地元の球場によく試合を見にいくようになりました。
そこで出会ったのが彼です。

私の高校と彼の高校は離れていて、試合をすることは滅多にありませんでした。だから本当にたまたまその日見に行った試合で彼を見つけた。
1年生なのに先輩に混ざって試合に出ていて、上手な人なんだろうな〜ぐらいに思って見ていたんだけど、本当にヒット打ちまくってた。
3塁からホームに走ってくる彼を見て、恋に落ちてしまいました。
一目惚れってあるわけないと思っていたけど全然あった。

家に帰ってSNSで彼の名前を検索したら出てきて、でもどうしてもフォローをする勇気がなくて。
何日も画面を見つめてもじもじしていたけどようやく勇気を出してフォローしたら彼も返してくれて、そこから連絡先を聞いて友達になりました。

親友の話、家族の話、好きなムーミンのキャラ、いろんなことを話すうちにどんどん彼のことを好きになっていました。
お兄ちゃんの影響で小学生から野球をやっていたけど本当は野球が嫌いで早く引退したいんだよねって言ってた。
あんなにバコバコ打ちよったのに嫌いなんかい。
はじめて「電話しない?」って彼が誘ってくれて、夜23時半すぎ、お互い家族に聞こえないように小声でお話ししたのを覚えています。
もうすぐ日付変わるね、とか明日の1限なに?とかそんな話。
心臓バクバクで着信がきても出るのに時間がかかったけど、優しくて落ち着く声だった。

よく小説とか少女漫画で、恋をすると世界がキラキラして見えるって言うじゃないですか。あれ本当にそうで、苦手な早起きも大嫌いな勉強も全部頑張れた。
野球部って私が思っているより練習が忙しくて、帰ってきても疲れてすぐ寝ちゃうし朝練も早いから連絡は頻繁には取れなかったけど時間がある時は電話したり、彼の試合を見に行ってはかっこよかったよ〜って連絡したりする関係が2年間続きました。

高3になってからは私は受験勉強、彼は引退にむけてさらに厳しい練習とそれに加えて就活もしていたので、徐々に連絡が減っていきました。
7月、地元の高校野球の予選をテレビ中継で見ていたら真っ黒に日焼けした彼が映ってて、9回ツーアウトランナーなしのピンチでヒット打ってた。
まじでヒーロー。球場大盛り上がりしてたし私もさすがに画面越しに叫んだ。結局負けてしまったけど、彼が一番大活躍していました。
一緒に見ていた家族は、自分の高校でもないのになんでこんなに応援してるんだ?って思ってたと思う。彼が映るたびに「これ!!私の好きな人!!」と言いたくなる気持ちを必死に抑えて応援していました。


彼のことを考えて勉強が手につかないときもあって、いっそのこと告白してしまおうと思ったことは何度もありました。
二人で会って話したこともないのに好きとか言われても困るよなとか、気まずくなって疎遠になったらどうしようとか思っているうちに2年も経ってしまった。でもテレビ中継を見ていたとき、きっと伝えないと後悔すると思って告白することにしました。

10月、文章を何日もかけて考えて、友達も背中を押してくれて、
やっと彼に想いを伝えました。
初めて試合を見に行った日に一目惚れしたこと、優しい声も、ちょっと抜けてる性格も、この2年半ずっと好きだったことを超長い文章で送っちゃった。
でも、付き合ってくださいって言えなかった。
ごめんなさいって言われるのが怖くてどうしても言えませんでした。
本当にただ伝えただけ。笑
これには彼も相当困ったと思います。
既読がついてからしばらく経って、「そんな風に思ってくれていたの知らなかった、ありがとう。これからも仲良くしてくれると嬉しい。」的な文章が返ってきた。
彼と連絡を取り始めてから過去一長い文章で返してくれました。
付き合ってって言われてないんだから、そりゃありがとうしか言えないだろうよって感じだけど、真剣に考えて返してくれたのが伝わってきてうれしかった。
でも彼から俺も好きですとは言われなかったので、結局振られたんだなと思ってその日はわんわん泣いたのを覚えています。
後悔はしてないけど何となくやっぱりお互い気まずくて、そこから連絡を取ることはなくなりました。
そしてその後も何もないまま高校を卒業しました。

切ない。
私の高校生活、大好きな友達とたくさん思い出を作って超充実してた。
好きな人がいて、本当に毎日キラキラしていました。

彼との話には続きがあって、それは次の投稿に書くことにします。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
おやすみなさい


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