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忘れられないひと 2


前回の続きです。
これまた長くなりそうなので時間があるときに読んでもらえるとうれしいです。

高校を卒業してから彼は地元に就職、私は隣の県の大学に入学しました。
3ヶ月くらい経ってから、ふと今何してるんだろうと思って私から連絡しました。
最後に私が告白してから時間が経ってお互いに環境もガラッと変わっていたので話すことはたくさんあって、高校生の頃のようにまた連絡を取るようになりました。

全く話さなくなってからも私は彼のことが好きでした。
当時はInstagramのストーリー機能なんてなかったしTwitterのアカウントは知っていたけどお互い投稿しないので、何しているのかとか全然知らなかった。
高校生の頃は彼の部活が忙しかったので連絡も頻繁にはとってなかったけど、社会人と大学生になって時間に余裕ができてからはLINEもすぐ返ってきて、前よりさらに距離が縮まりました。
そこから1ヶ月が経って、私、人生2回目の告白。

前より振られる怖さは正直なかったけど、それでもなかなか送信ボタンは押せなかった。でも今回はちゃんと付き合ってくださいって言いました。
彼からの返信は数時間後で、「俺も好きです。付き合ってください。」って言ってくれた。その後電話でもう1回伝えてくれた。
え、彼女ってこと?彼女ってことでいいの?って何度も聞く私に、
彼は笑いながら「彼女だよ」って言ってくれました。
出逢ってから3年半、ようやく私は好きな人の彼女になりました。

そこからはもう毎日ルンルンですよね。
お互い名字が珍しいので二人だけのあだ名で呼び合っていたけど名前で呼ぼうってなって初めて呼んでみたり。
彼しか呼ばない変なあだ名も好きだったけど、名前で呼ばれるのはそれ以上にドキドキした。
実家から持ってきてたアザラシのぬいぐるみを抱きしめながら、どうやってデートに誘えばいいかな、とか毎日考えていました。

初デートは8/29、お互い実家に帰省したタイミングで彼の地元の駅まで電車で行って、そこに彼が車で迎えにきてくれました。
私は彼のことを見たことがあるけど、彼は私とちゃんと会うのは初めてだったので、人生で一番緊張した。前日全然眠れなかった。
それなのに急に車で二人きりなのはやばいよ〜と思いながら電車に揺られて会いに行きました。
駅について彼に会ったら緊張がピークに達したけど、坊主の彼しか知らなかったから髪の毛めっちゃ伸びてるの見てちょっとほぐれた。

なんか変な感じだねって二人で笑いながらドライブデートに出発。
彼は音楽を聞かない人だったので、車内は無音でした。
頼むから今日だけはなんか流してくれ、と思いながらも好きな人の助手席に乗れたことが嬉しくてドキドキしてた。
女の人はお母さんしか乗せたことないから緊張する、安全運転しなきゃって言ってた。
高校生の頃に好きな人とかいなかったの?って聞いたら、相手に好きって言われて俺も好きかもと思ったことはあったけど、そもそも恋愛に全く興味なかったし女の人と話すの苦手だしめんどくさくなっちゃって結局何もなかったって言っていました。
そんな人の彼女になれたのめっちゃ奇跡。神様ありがとう。

私たちの地元には有名な海があってそこがデートにぴったりの場所なんです。私が行きたいって言ったら彼が連れて行ってくれました。
お昼ご飯にうどんを食べて、その後に海を見に行って、食べてるソフトクリームがどんどん溶けてきて手がベタベタになってる私を見てめっちゃ笑ってた。
デートってこんなに楽しいの?ずっと好きだった人と二人で海とか見にきちゃってるんだって、その日はずっと浮かれてました。

そろそろ帰る時間になってきて、私は電車で帰ろうと思ってたんだけど私の実家まで高速乗って送り届けてくれた。めっちゃ遠いのに。
あんまり遅くなると親御さん心配するよねってずっと気にかけてくれていて、こんな優しい人この世にいるんだって本気で思いました。
実家に着いたのは確か22時過ぎで、車を停めてからも私がまだバイバイしたくないとかなんとか言ってゴネまくって時間伸ばしてた。
その流れで初めてキスをしました。

夜で助かった。
昼だったら茹でダコぐらい真っ赤になった顔を見て引かれてたと思う。
一瞬街灯に照らされた彼の耳も真っ赤になっているのが見えたけど、
気づいてないフリをしてその日は解散しました。
ベットに入ってからも何度も思い出して余韻で全然寝付けなかったな。
お母さんが起きてきて、あんた誰に送ってもらったの〜?って聞いてきたから、友達〜って言ったけどあれ実は彼氏です。
彼が家に着いたのは3時を超えてて、眠眠打破を飲んで運転してたんだけど途中コンビニで車停めてちょっと寝たって言ってた。まじごめん。

夏休みが終わって大学が始まってからもその日の余韻はずっと抜けなかった。二人で撮った写真を授業中に見てニヤニヤしてた。
高校の頃ずっと背中を押してくれた友達には全てを話していて、私以上に喜んでくれました。優しいね。

彼は仕事が土日休みで、私は土日どっちかはバイトに入らないといけなかったのであまり予定が合いませんでした。
彼は友達が多いので休みの日もよく家に誰か泊まりにきたりしてた。
初デートからさらに1ヶ月後、私も彼のお家に遊びに行くことになりました。

また彼の地元の駅まで電車で会いに行って、彼の車でお家に向かいました。
その日の夜、一緒にハンバーグとポテサラを作って食べた。
もうこれ新婚生活じゃんみたいな時間を過ごして、幸せだったのを覚えています。
でも完成したハンバーグ、岩食ってんのかと思うぐらい固かった。
岩とポテサラを食べた後は、一つの布団にくるまって「本当にあった怖い話」を二人でキャーキャー言いながら見ました。
まじでナイスタイミングな放送。怖いテレビじゃなきゃくっつけなかったしね。
その後はお風呂に入って、二人で手を繋いで寝ました。
キスはしたけど、それ以上のことをする勇気はなかった。
彼も楽しそうにしてくれてて、この人の彼女になれてよかったなと改めて思いながらその日は眠りました。

次の日は私が夜からバイトだったので、バイト先まで車で送り届けてくれました。彼の家から隣の県のバイト先まではこの前よりさらに遠いのに、
送らせてって言ってくれた。彼女特典もらいまくり。
その日のバイトはもちろん浮かれすぎて色々ミスしまくった。

でもその日を境に大学もバイトも忙しくなってきて、彼と会える時間もなくなっていました。
遠距離というほどではないけどまあまあな距離あるし、会えないのはしょうがないけどずっと寂しくて。
彼はもともと恋愛に興味ないって言ってたし、私と会えなくても別に寂しそうではなかったけど、それが悲しくて冷たくしちゃったりしていました。
会えなくても私は声が聞きたいのに、仕事で疲れて寝ちゃった彼に対して
電話もしてくれないの?とか言ってしまったり。
やっと好きだった人の彼女になれたのに、バカですよね。
それから数週間が経って、フラれてしまいました。

「別れよう。」とだけ連絡がきて、どれだけ理由を聞いても教えてくれませんでした。電話もできない、もう会えない、ごめんって。
付き合って3ヶ月ちょっとで、私の長年の恋が終わってしまいました。

何がダメだったんだろうって自分の言動を何度も振り返って毎日涙が枯れるまで泣きました。
彼は優しい人だったので、別れる理由を言うと傷つけてしまうと思っていたんだろうけど、それがキツかった。
クリスマスはユニバに行こうとか、寒くなったら鍋をしようとか、
これからの話をたくさんしていたのに。
あんなに楽しそうにしてたのに、あんなに私のことを好きだと言ってくれたのに。
本当は無理をさせてしまっていて、楽しいと思っていたのは私だけだったのかな、とか。
会えなくて寂しい、もっと話したいっていう私の気持ちが恋愛をめんどくさいと思っていた彼には相当重かったんだと思います。
やっぱりめんどくさいなって思わせてしまった。
彼は私をずっと幸せな気持ちにしてくれていたのに私は何もしてあげられてなかったということに、彼を失ってから初めて気づきました。

それから全く連絡を取らなくなって1年以上経っても彼のことがずっと忘れられませんでした。これが19歳の時のお話。


そこから5年経った24歳の冬、またふと彼を思い出す機会があって。
あれから1回も連絡を取ってなかったからもしかしたらブロックされてるかもと思ったけど思い切って連絡してみました。
そしたら普通に返ってきてびっくり。
そして彼から「嫌じゃなければ電話で話さない?」と言われてさらにびっくり。
仕事終わりに1時間ほど電話で話しました。

ずっと気になってたこと、なんであの時振ったの?って。もう時効だしね。
正直めんどくさかったって言われると思っていたのに、「嫌なところなんて一つもなかった、俺が子どもだったんだよ。あの時は本当にごめんね」って言われました。
笑い話にできるくらい時間は経っているし本当のことを言ってくれてもいいのに、優しいんですよね。
どう考えても子どもだったのは私の方なのに。
付き合っていたときに話した家族のことや親友の名前まで、全部全部覚えてくれていました。
妹ちゃんは元気?とか初めて会ったときはこうだったよね、とか。
彼がとても大事にしていたワンちゃんが亡くなったときは人生で一番泣いたけど、釣ってきたイカが死んだときは全然泣かなかった。バターで炒めて食った、とか。それ一番美味い食い方や。

私は彼のそういうところが大好きでした。
やっぱり私にはもったいないぐらい素敵な人だった。
あと私と別れてから5年間、彼女できてないらしい。
手を繋いだのもキスをしたのも助手席に乗せたのも私が初めてで
そこからずっと止まってるって言ってた。
ちょっと嬉しかった。
電話を切ってから、なんとも言えない気持ちになって
宇多田ヒカルのFirst Loveを聴きながら月9のヒロインみたいな顔で
無駄に家の周りを散歩したりした。

そこからもう2年経ちましたが、それ以来連絡は取っていません。
今でもたまに元気にしてるかな〜と思うことはあるけど、連絡しようとは思いません。
彼が結婚したら多分めっちゃ落ち込むけど、お互いSNSを知らないので
結婚したかどうかも分からないね。
それでいいんです。

彼と付き合っているとき、家族で行った水族館でお土産にイルカのキーホルダーを買ったんですけど結局渡す前にフラれてしまったので
未だに実家の勉強机の引き出しにしまってあります。
帰省してそのキーホルダーを見るたびにこれまでのことを思い出してちょっと胸がチクッとする。
そんな人に出逢えてよかったなと今は思います。

「忘れられない」のは未練があるからということではなく、人を好きになる気持ちや、失恋の苦しさを最初に教えてくれた人だからです。
もう会うことはないけれど、彼にはずっと幸せでいて欲しいと思います。

恋人がいる方の中でも、実は忘れられない人がいるよって方もいますよね。
同じ名字の駅名を見たときとか、たまたま時計を見たらその人の誕生日の時間だったときとか、ふとした瞬間に思い出す人。
思い出は過去の二人だけのものだから、大事に取っておいていいと私は思います。恋人を傷つけたりしなければ。


以上、私の忘れられない人のお話でした。
書いていてこんなに鮮明に覚えていることに驚きました。
初デートの日も、会話の内容も。
でも忘れたくないからよかった。


読んでくださった方、ありがとうございました。
恋人とハンバーグを作るときは、材料も時間もちゃんとレシピ通りに作ることをお勧めします。

おやすみなさい


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