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プロボノでUXリサーチをやってみた

この記事は、UXリサーチ/デザインリサーチ Advent Calendar 2022参加記事です。

はじめまして。IT系事業会社でWebディレクター兼リサーチャーをしているBera(@miyo_bexx)です。
この記事では、育児休業中の新米ママがリサーチ力向上のためにプロボノに挑戦して見えてきたことについてお伝えします。
役立つTipsをまとめた記事ではなく、苦悩と失敗を通じた成長記録(?)です。note初心者で粗末な文ですが、温かい目で見ていただけると幸いです。

プロボノに参加した背景

育児休業中に「今後のキャリアを考える経験を積みたい」「専門性(UXリサーチ)を会社以外のフィールドで試してみたい」という気持ちがあるなか、具体的な行動に移せず、育児に忙殺される日々を過ごしていました。
そんな時、育児休業中にプロボノ活動に参加した方の記事を読み「ママボノ」の存在を知ります。

ママボノとは育休中や離職中の子育て女性たちが、仕事復帰に向けたウォーミングアップと同時に社会貢献活動を行える場。認定NPO法人サービスグラントが運営しています。

https://www.servicegrant.or.jp/about/newstyle/mamabono/

約2ヶ月間で多様なバックグラウンドを持つメンバーとともに社会活動の最前線にいる団体の支援を行います。過去支援実績を見ると、WEBサイトの作成から課題整理まで多岐に渡ります。打ち合わせはオンライン中心なので、まさに子育てしながらチャレンジできる環境!と思い、参加を決めます。調整の結果、ある地域団体の組織・業務課題やニーズ調査を支援することになりました。

組織課題とUXリサーチ

UXリサーチと聞くと、プロダクト開発の現場で取り上げられることが多いですが「デザインリサーチの教科書」によると組織やチームをある種のプロダクトと捉えることもできるとのこと。

ユーザーが何を考え、何を大切にし、どのように行動しているかを理解すべく調査に取り組む点では、プロダクトを改善するためのデザインリサーチと大きく変わらない。(P093)

出典:デザインリサーチの教科書

実際取り組んでみると、対象物が人・組織に変わったからといってリサーチプロセスに大きな変化はなかったと思います。団体関係者の年齢層がひと回りもふた回りも違うことから、いつも以上にインタビューの進め方や口調、質問の投げかけ方などを相手に応じて工夫することは意識しました。

はじめましてのメンバーとUXリサーチ

プロジェクトの中でUXリサーチを取り入れる機会は2度ありました。

プロジェクトの前半:現状理解・課題の把握を目的とした探索のリサーチ
プロジェクトの中〜後半:解決のアイディアが実行可能か確認することを目的とした検証のリサーチ

参考:はじめてのUXリサーチ

参加当初は私が中心になってUXリサーチに取り組むんだ!と意気込んでいましたが、子どもを横で抱えながらインタビューも全部やって・・・うん、重労働すぎる。私にはキャパオーバーでした^^
お互いの得意なことも十分理解しきれていない、リサーチ経験の有無もバラバラな状態でメンバーを巻き込んでいく方法を模索し、ざっくり以下の流れを提案し進めていくことにしました。

①リサーチの可能性を伝える(狙い:プロジェクトにどう役立つかを理解してもらう)
②テンプレとガイドの作成(調査企画書・インタビュースクリプト・インタビューメモ)(狙い:フォーマットを用意することで、抜け漏れを減らせる。他の人の書き方等を真似して進めることができる)
③インタビューのやり方を見せる&サポートする(狙い:雰囲気を知り、できるかもと思ってもらう)
④各メンバーで実践

一貫して「UXリサーチ」という単語は一切使わず、相手の目線で伝えることを意識していました。チームとしてUXリサーチを行うことが目標ではなく、プロジェクトにとって正しい解決策を見出せるかが重要だからです。
完全に主観ですが、リサーチ前後で以下のような変化があったように感じます。

①リサーチを通じ、メンバー同士で共通言語が生まれ、課題に対する解像度が高くなった
②フォーマットを活用することで、横串でターゲット別の聴取結果を分析することができた
③インタビュー経験ないメンバーでも数を重ねるごとに問いの精度が高くなっていった

「これまでのバックグラウンドに関わらず、段階を踏んでいけば、さまざまな環境でリサーチを取り入れられるのでは」とリサーチの大きな可能性を感じています。

予想外な出来事をUXリサーチ観点で振り返る

突然ですが以下のやりとりを聞いて、皆さんはどのようなイメージを持ちますか?

シニア世代とのワンシーン(例)
Aさん:「あんまりスマホは使わないんだよね。LINEよりメールとか電話のほうが楽かな」
Bさん:「タブレットって触ったことがなくて、苦手なんだよね」

上記のやりとりを踏まえ「ああ、デジタルデバイスは苦手意識を抱いている人が多そうだな。事前情報通りだ。→ステークホルダーの年齢層は幅広いから、参加障壁が少ない解決策を考えよう。例えば、パソコンでアイデアを書いてもらうよりも、付箋に書き出してもらうほうが良さそうだな」と考えます。
いざ試してみると

Bさん:「手書きは手が痛むので、パソコンを使うほうが楽ですね」

想定外の結果に。。。
振り返ると、無意識のうちに背景情報から先行してアウトプット・イメージ像(例:シニア世代だからデジタルデバイスは苦手だろう)を創り上げてしまっていた。だから言っていることをそのまま受け入れてしまったと感じます。
ファクトをまとめることに意識が向いて、見聞きした情報の裏側や本質に隠れている部分を丁寧に分析できていなかったと考えます。
とはいえ、どうすれば良いかは明確な答えがある訳ではないので、皆さんの考えや経験などをぜひ聞かせてください!

おわりに

プロボノに参加した感想は想像以上に有意義な時間となりました。
UXリサーチに関しては、
会社以外のフィールドでもUXリサーチは実践できる
誰でもリサーチは小さく始められる
とUXリサーチの可能性の大きさを感じることができました。

プロボノに関しては、
自分にはない経験やスキルを持ったメンバーとの交流が刺激になった
社会課題の最前線で活動する団体の現状に触れたことで、視野が広がった
特に②については、一足飛びに社会課題の解決策を目指すというよりは、出来ることからスモールステップで行動にうつすことの大切さを感じました。(これは長くなるのでまた別の機会に綴りたいと思います)

来年以降も引き続き会社外でUXリサーチに携わる機会を増やし、視野や経験を深めていきたいです。
何かできそうなことがあれば、お声がけください^^

参考


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