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試験の仕上げは思い癖を取ること。

最近は一日のうちで,共通テストの話をしない日がないような日々を送っています。

生徒さん側からはあまり気づきにくいお話をしてあげるのが私の仕事の一部だと思っていて,それも様々な側面からお話をします。

わかりやすい例ですと,「生徒さんは基本的に自分の答案しか見ない」が,「講師は様々な生徒さんの答案を見ている」ので,その側面から見えることを話すことがあります。

多くの生徒さんを見ていると,例えば「必ず大問で1つずつミスをする」パターンだったり,「何度同じ形式で練習しても同じぐらいの点数になってしまう」パターンだったりがあります。
しかもこれはどれも一定数いる場合が多いんですね。

ある程度の共通項があると,これは何かあるな…と思う性格ですので,一応考えてみることにしています。

昨日も個別で見ている生徒さんと共通テストの問題を解いていました。

その生徒さんは7割の壁がどうしても越えられない生徒さんでした。

半年ほど同じ形式の問題を解いているにもかかわらず,正答率が6割程度に留まってしまっている。

こういう場合,以下の3つの観点から原因分析をすることにしています。

①学力的なブレ
②解き方のブレ
③精神的なブレ

の3つです。

①は,単純に知識不足であったり,英語であれば文章に読み慣れていなかったりと,学校や塾,予備校などでケアされる部分です。

②は,形式がある程度わかっているのなら,それを解くアプローチ方法を身につけ,同じパターンなら同じやり方で解き,その習熟度にブレがないかを見ます。
①と密接に関連しており,そもそもの学力が足りなければ解き方を知っていてもブレが出やすくなります。

③は,もっと根本的なもので,生活環境や,そこから形成される本人の性格などが関わってきます。

間違えた問題があった場合には,これらの観点から見るようにしています。

先の生徒さんの答案を見ていたところ,比較的解きやすい問題でミスが出ているのを発見し,「これはどうしてこっちの選択肢を選んだの?」と聞いてみました。

その問題は選択肢が4つあり,そのうち2つは誤りであるとわかっている。
残りの2つで迷っていたんですね。

そのうちの1つには,わからない単語が1つ含まれていました。こちらをAとしましょう。
もう一方はしっかり理解できていました。こちらをBとしましょう。

本文もある程度読めている様子で,書いてある通り素直に考えると,答えはBになるのですが,なぜかAを選んで間違えていました。


本人は「今考えると完全にBが答えですね…なんでAを選んだんだろう」と自分でも不思議に思っています。

実はこの生徒さんに限らず,自分でなんでその答えを選んだのかわからないというケースは多いんですよね。

学力的にも解き方的にも,話を聞いてみると問題ない。
だから,精神的なブレかなと思い,

「お母さんに『勉強しなさい』って言われて,自分でもやった方が良いのは分かってるけど,やらずにゲームかなんかして,テストで悪い点とって,『ほらやっとけばよかったじゃない』とか言われたことない?」

と聞いてみたんです。そうしたら,

「うわー!めっちゃあります!まじであれ嫌なんですよねー!」

と笑いながら言っていました。

その返答から,選んだ方が良いとわかっている選択肢でも,未知の単語に対する不安から,それを選ばなかったときに,「やっぱり選んでおけばよかった…」と後悔することを嫌がっている可能性があるなと思ったのです。

だから素直に考えれば合う方を選べなくなってしまったんですね。これはほぼ無意識で行われていると思います。
だから本人もなぜその答えを選んだのかがわからない。

一応言っておきますが,お母さんは何も悪くありませんよ。


上に書いたことが100%当たりだと言うつもりはありません。
ですが,問題は身体で解いているわけで,状況は違えど,脳にとっては,もしくは身体の記憶にとっては,同じ構造の問題として認識されている可能性があります。

だからその問題も考慮して,可能性として伝えておきたい。

本人には,今後,今のような状況があったら,どんなに不安でもその時点で考えたことを信じよう。知らない表現が含まれているときは基本それを選ばないようにと伝えました。

その後,最終確認ということで全体の問題のうち6割ほどをやってもらったのですが,いろいろと自分の思い癖がわかって安心したのか,見事その時点で8割の正答率を出すことができました。

残った問題はまた明日に解くことになっています。
私の最後の仕事は,残りの問題できっちり8割取らせ切ることとなりました。


自分のメンタルブロックのようなものを理解できて,本人は大笑いしていましたが,こういうふうに問題が解決されることも多くあります。

試験は総合的なものだなあと改めて感じる出来事でした。

(サムネイル:AIの「悩み」。ずいぶん病んでいるようだ。わかりやすく精神的にブレている。まずはしっかり寝てほしい。)

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