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「こうして、じっくり話を聞いてくれるだけで嬉しい」

手話を使う、聴覚障がい者さんに
初めて対面でお話しした時に言われた言葉です。

カフェや集いの場で手話でワイワイ
お話しするのも役に立つようです。

一方でこんなエピソードもあります。

【とあるエピソード】
ろうのご夫婦に赤ちゃんが生まれた。
深夜、赤ちゃんの具合が悪くなり、救急車を呼ばねばならない状況に。

※スマホのない時代の話
※現在は「Net119緊急通報システム」というものがあります

が、導入率は全国で100%ではありません。

手話が解る人が周囲にもいません。 どうしますか?

どんな世界が必要でしょうか?

カフェや集いでワイワイ楽しく
難聴・ろう者さんと手話べりするのもいいでしょう。

その、手話の技術や知識をどう生かしますか?

難聴・ろう者さんの周りにいる人
通りすがりの人
全ての人に 手話を覚えてもらうのは不可能です。

「手話」を見せても
「手話歌」を見せても
残念ながら、殆どの聴者は
手話や、難聴ろう者さんに興味を持ってくれないのが事実です。

その「現実」に目を向けて何が出来るかを一緒に考えていきましょう。

カラーバス効果が働いている

手話に少しでも興味があったり、手話に携ったり
難聴・ろう者さんが周囲にいる場合、

つまり「手話」や「難聴ろう者さん」に縁があった人は
当たり前に、手話や関連する事が
カラーバス効果で意識に入ってきますが

世の中の殆どの人が「手話」に縁がありません。
一度、手話や難聴ろう者さんに関わったみなさんには、
信じられない事でしょうが、それが現実なんです。

【カラーバス効果】…脳の働きや心理学用語
「茶色、茶色」と意識を向けていると
普段意識しなかった「茶色」が目につくようになる、という働きの事。
犬を飼っていると、同じ犬種が目に入り易くなる
妊娠した途端に、ベビーカーを赤ちゃんやベビーグッズの情報が
自然に入ってくるようになるような事です

これが言霊の科学。ネガティブな事や、人様の嫌なところばかり目についてしまう人と、
幸せな事や、人様の良いところばかりに目を向ける人とで、人生変わってくる。

そんな私も、
周囲に難聴ろう者さんや 手話をやっている人が一人もいなかったので
大人になり、結婚して子がある程度大きくなるまで何十年間も
家族や親せき、友人知人、学校や職場で「手話」が話題になった事は
本当に、たったの一度もありませんでした。

そういう人が、世の中の殆どであるところに、課題を感じます。

だからみなさん、一生懸命、手話っていいよ、手話楽しいよ!
難聴やろう者にはこんな大変な事があるんだよ!
って、発信をされているんだと思います。
頭の下がる思いです。

そこから「なぜ、当たり前に聞こえない人がいるという事に、気付かなかったんだろう?」
と思い「手話そのもの」というよりも
「手話をやっている人」や「手話の世界」に興味を持ち
今、手話キャリアカウンセリングをするに至ります。

ここが課題!
10年後、手話通訳者は増える?減る?

ネイティブな手話が出来る人
手話通訳が出来る人が足りない、
高齢化が進んでいる、という現状の中

新しくネイティブになれる人を増やすと同時に
もっと先に行わなければならない事があったと、
「手話に対するカラーバス効果のなかった私」は考えています。

前出のエピソードのような、命を守る為に
手話ネイティブや、医療手話などは必要不可欠でしょう。

でも、カラーバス効果が働いていない、つまり
「手話にアンテナの周波数を当ててない聴者」には
いくら、手話が必要だよ、気付いて、手話楽しいよ
といっても、視界にすら入っていない

「手話」という単語すら、聴者への認知の邪魔になってしまっています。

99.7%の聴者が「意識出来ていない」のが現状です。
一旦アンテナのチューニングを「手話」に合わせた人は
そこを忘れがちです。

これが、手話に携る人がなかなか信じてくれない現実です。

あのBTSが手話をダンスに取り入れても

手話民が思うほど 手話って、
知られていないし、興味を持たれていない。

一旦、「手話メガネ」を外して、世の中を見てみましょう。

現実を見て、それを受け入れて、何が必要かを
一緒に考えていきましょう。

あのBTSが世界一のヒットを飛ばした
「Permission to Dance」で振付に手話を取り入れても
それがきっかけで手話を習い始めた、という人に出会った事がありません。
そのくらい「へ~。手話いいね」だけで終わってしまうのです。

どうしたらいいと思いますか?

いろんな課題がありますよね
「ろう者に伝わる手話が広まらない」とか
「そもそも難ろうの事が理解されていない」とか。

ここでいう「本当に必要な手話を広めるには」
というテーマで言うと
一生懸命
「手話は日本手話をやろうよ、伝わる手話が大事だよ」
と声を上げる人も、もちろん必要だと思います。

だけど、母数を増やさないとならない。

つまり、今はまだ、手話や難ろう知識に対して真っさらな人を
増やさないとならない。
今、既に手話に携っている人や
今までのスピードで「手話に興味を持つ人」を増やすのでは
10年後、ろう文化がなくなってしまうのでは、と心配になります。

手話や難ろうを知らない人に、知ってもらう事。
先ずは「ネイティブを目指す」より「気付いてもらう事」。

他にも必要な事はあるかもしれませんが、
手話がネイティブではない私たちに出来る事はなんだろう?
と一生懸命考えた結果、「気付いてもらう事」なら
何かしら、出来そうな気がしました。

全員の人の手をネイティブにするのは難しくても
一人でも多くの人の意識を向けさせることなら、出来るかもしれない。

手話の花を咲かせる前に
土を耕して行きましょう。

役割分担をしましょう。
ネイティブを育てる人と、土を耕す人と。

そういう事がしたくて
私たちは、手話歌を入口とし「手話歌専門」と謳う
コミュニティを作りました。



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