クライアントからアウトソーサーに求めること

私はコールセンターをアウトソーシングする側(クライアント)とされる側(テレマーケティング/アウトソーサー)の両方の企業に勤めたことがあります。

新卒で、テレマーケティングの会社(アウトソーサー)に入社して、その後、事業会社(クライアント)に転職しました。

転職後、立場が変わってクライアントの目線になってから、それまでアウトソーサーにいた数年間にクライアントから言われていたことの真意や、なにが求められていたのかを、はじめてわかったような気がしました。

クライアント絶対主義は求めていない

アウトソーサーで、本社の上司から現場がよく言われるのが「クライアントのために」とか「自社の利益よりも、クライアントの利益が優先」というようなクライアント第一主義のようなことです。

これは、意味をあわせて伝えないと、行動がずれてしまう気がします。現場で起きがちなのは「クライアント絶対主義」と解釈してしまっているケースです。「クライアントから言われたから」とか「クライアントに言われそうだから」など、理由になっていない理由で判断してしまうことがあります。

ちなみに私は、クライアント側の立場として、アウトソーサーと話をするときに、私の発言が絶対となってしまう相手は、とてもやりにくいです。ちょっとした相談や、状況把握をしたくてヒアリングしただけなのに、ままならないです。

ザックリとした現場感で答えてくれればと思うのですが、わざわざ「上司から正式にお答えします」とか「調べてから回答させてください」は、ビジネスパートナーとして残念すぎます。これは、私の関係構築がうまくなくて、時間がかかっているのかもしれませんが、この程度の関係性ですら時間がかかってしまうほどのクライアント絶対主義はむしろ有害です。

求めるものはなにか

アウトソーサーには、当社の社員であるという感覚を持ってほしいです。業務委託なので、実際には当社の社員ではなくアウトソーサーの社員ですが、当社の社名を名乗って業務をしてもらっているので、同じ感覚を持ってほしいです。

その感覚とは、当社のお客様を第一とする感覚です。この感覚がないアウトソーサーの特徴が2点あります。それは、①自社の責任逃れを優先する②クライアントに意見を言えない、です。

例えば、お客様対応の相談時に、お客様のことを優先せず、応対者(アウトソーサーの社員)を守る意識が先行してしまい、いかにルール通りに対応していたかを説明される場合があります。まずはお客様がどういう状況なのか、どうすることがお客様にとって良いことなのかを判断することが先であるという感覚が乏しいです。

クライアント側としては、アウトソーサーに責任を問う事や、評価の話は二の次で、まずはお客様に対してどうすることがいいのかを考えたいです。そして、それがわからないアウトソーサーは結果として評価もあがらないです。

また、当社のお客様を第一として考える感覚を持ってくれていれば、クライアントに対しても遠慮なく提案や指摘をしてくれるはずです。できれば、社内の上司に意見を言う感覚で、お客様にとって良い事はこれだ、という意見をあげてほしいと思っています。

Win-Winであろうとする姿勢

アウトソーサーにとっても、自社の利益確保はビジネスなので、あたりまえに意識してもらいたいです。「クライアントに言われたから」「クライアントに言いにくいから」と、コストを持ち出しで利益率が低い状態で運営されては、現場に負の影響が出てモチベーションが下がり、品質があがらないということになりかねません。

そうなるくらいなら、必要以上に安価である必要はないので、しっかりとした品質確保のための金額を提示してもらえるほうが、ありがたいです。

とはいえ、しっかりやりきれるのかはシビアに見ます。品質が上がらず、コストを抑える事を重視して、改善も進まないアウトソーサーもいます。それでは、クライアントから搾取しているだけの「taker(テイカー)」です。無理をして「giver(ギバー)」であろうとしてほしいと思いませんが、「taker(テイカー)」はダメです。

あくまでもWin-Winの関係となるには、どうすればいいかを、当社の社員になりきったつもりで、一緒に考えられればと思います。

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