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3.自治体におけるSDGsの意義について。(1200~1500字相当)

SDGs(エスディージーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略称だ。2015年の国連サミットで採択され、持続可能でよりよい世界を実現するため、2030年までに達成されるべき17の国際目標が定められている。その目標は、健康、福祉、環境保全、経済成長、町づくりまで多岐にわたっているが、ほとんどは自治体が取り組むべき分野でもある。それゆえわたしは、自治体は地方創生を実現するための仕組みとして、SDGsを最大限に活用するべきだと考える。以下、その理由を人、物、金、技術、情報といった観点から述べる。まず人だが、社会を変えるためには、人々の意識の変革、行動の変革が求められる。これについては、SDGsがすでに国民的ムーヴメントとして認知されていることが大きな利点となる。市民の意識の高まりは、行政への協力、ボランティアへの参加、NGOや地元企業との協働といった行動につながり、職員不足や財政難に悩む自治体にとって大きな助けとなるはずだ。次に物だが、SDGsの活用によって地元の特産品や観光名所、企業製品などの掘り起こしが可能となる。地元の強みを再認識することは、地域の活性化に役立つはずだ。そして金だが、政府は2018年度より、「SDGs未来都市」や「自治体SDGsモデル事業」の選定を行い、選ばれた自治体には補助金を交付している。それはSDGsの意義を全国の自治体に浸透させる効果があるし、取り組みへのモチベーションを高めることにもなるはずだ。政府は、これらのモデル事業を毎年公開しているが、そこにはSDGsの先導事例の情報が豊富に見られる。たとえば、ある自治体は高齢者と地域をつなぐコミュニケーションツールとしてAIロボットを活用している。また、ある自治体は配水池設置型の小水力発電事業により、大規模施設に頼らない再生可能エネルギーを実現している。さらには、地元の自然遺産であるサンゴの保護を企業協賛事業として展開している自治体もある。それらに共通するのは、工夫された仕組みづくりだ。人、物、金、技術をうまく組み合わせ、付加価値、相乗効果を生み出そうとしている。自治体は、そうした自らの取り組みを情報として他の自治体や国、国際社会へと発信していくべきだ。SDGsにおいては、どの自治体も世界の先駆者になり得る。先導事例を作り出す自治体が増えることが、誰一人取り残さない、よりよい社会の実現につながっていくはずだ。(1024字)制作2022.5/29

※ヒモノカシテジョージ(人、物、金、仕組み、テクノロジー、情報、時間)を意識し、構成してみました。
※上記の小論文に載せた事例。
「自治体SDGsモデル事業」 令和元年度 沖縄県恩納村(№157)、令和2年度 宮城県石巻市(№159)、大阪府富田林市(№165)

小論文弁当のレシピ(調理の流れ)
①SDGsは、よりよい世界を実現するための目標だが、自治体の目ざすところとも重なっている。だから自治体は地方創生に向けた仕組みとして活用するべきだ。以下、その理由を人、物、金、情報などの観点から述べる。
②まず人だが、SDGsは人の意識、行動の変革を促す。
③次に物だが、SDGsは地域の強みの掘り起こしに使える。
④そして情報だが、政府が選定しているモデル事業に豊富な事例が見られる。
その人、物、金、技術が工夫された仕組みは他の自治体の参考となる。
④そうした先進事例を多くの自治体が情報として発信することが、SDGsの実現につながっていくはずだ。

別案:自治体はSDGsにどのように取り組むべきか。(1200~1500字相当)

わたしは、自治体は地方創生に向け、リーダーシップとパートナーシップをもってSDGsに取り組むべきだと考える。今日の自治体は少子高齢化を始めとして多くの問題を抱え、職員や施設、財源の不足に悩んでいる。そうした人、物、金が慢性的に不足した現状に対処するには、問題解決のための新たな仕組みが求められる。その仕組みとして注目されているのが、国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)だ。その内容は、福祉、環境保全、経済成長、町づくりまで多岐にわたっているが、その多くは自治体が果たすべき役割と合致している。つまり、SDGsへの取り組みは、地方創生に向けた取り組みでもあるのだ。日本政府は国連の採択を受け、2018年度より「SDGs未来都市」や「自治体SDGsモデル事業」の選定を行うなど積極的な施策を展開している。それらは先導事例として、自治体がリーダーシップを発揮するうえで有益な情報を提供してくれる。たとえば、ある自治体はゴミ焼却施設の余熱利用で健康増進施設を運営し、災害時にはそこを防災拠点としている。これなどは、省エネ、省予算、防災といった自治体が抱える課題に効率的に対処している例だろう。また、別の自治体はふるさと納税の返礼品を地元の特産品とし、その送付の宛名書きや梱包を障がいを持つ人達に依頼している。そうすることで、新たな雇用の創出やノーマライゼーションの普及も図っているわけだ。さらには、森林の育成をファンド化することで、環境保全と地域経済の活性化を実現している事例なども見られる。それらの取り組みに共通しているのは、工夫された仕組みづくりだ。一つの課題に一つの施策で取り組もうとするのではなく、地域の独自性に配慮した付加価値や相乗効果を生み出そうとしている。また、そうした施策の実施にあたっては、自治体がいかにパートナーシップを発揮するかも重要だ。行政サービスの質を維持・向上するためには、地域住民やボランティアの協力、NGOや地元企業との協働が欠かせない。また、他の自治体との情報共有、国との密な連携がSDGsへの活動を強靭で、スピード感があるものにするはずだ。SDGsへの取り組みにおいては、どの自治体も国際社会のパートナーであり、世界をよい方向へと導く先駆者ともなり得る。そうした意識を共有する自治体が増えることが、持続可能で、誰一人取り残さない社会の実現につながっていくはずだ。(1004字)

※上記の小論文に載せた事例は、
「SDGs未来都市」令和元年度 岩手県陸前高田市(№37)
「自治体SDGsモデル事業」令和元年度 岡山県西粟倉村(№154)、熊本県熊本市(№155)
※事例については、「SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業事例集」で検索してみてください。受験される自治体のものがあるかもしれないのでチェックのこと。
※リーダーシップについては、2016年に採択された「わが国のSDGs実施方針」に以下の文言があります。「持続可能で、強靭、そして誰一人取り残さない経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」
※パートナーシップはSDGsの17番目の意欲目標。リーダーシップ、パートナーシップと語呂がいいので覚えやすいかも。

小論文弁当のレシピ(調理の流れ)
①自治体はSDGsに積極的に(リーダーシップとパートナーシップを持って)取り組むべきだ。
②なぜなら、SDGsへの取り組みは、地方創生への取り組みでもあるからだ。
③政府も、自治体の先導事例を選定するなど、SDGsに積極的に取り組んでいる。その先導事例には工夫された仕組みが多く見られ、自治体がリーダーシップを発揮するうえで有益な情報を提供してくれる。
④また、SDGsの達成にはパートナーシップも重要だ。住民や企業、他の自治体や国との連携が取り組みをより力強いものにしてくれる。
⑤リーダーシップとパートナーシップを発揮する自治体が増えることで、世界はよりよい方向へ変わっていくはずだ。

別案:自治体はSDGsにどのように取り組むべきか。(1200~1500字相当)

わたしは、自治体は地方再生に向けたアクションプログラムとしてSDGsを最大限に活用するべきだと考える。SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年の国連サミットで採択された、世界を変革するための「持続可能な開発目標」だ。17のゴール(意欲目標)、169のターゲット(行動目標)、そして達成度を評価するための232のインディケーター(指標)で構成されている。この「意欲」、「行動」、「評価」という構成は、自治体がSDGsの達成に向けて取るべきアクションの流れでもある。まず第一に「意欲」についてだが、自治体は住民に対してSDGsの意義の啓蒙、周知をこれまで以上に積極的に行うべきだ。なぜなら、SDGsの目標の多くは自治体が取り組むべき課題と重なっているからだ。SDGsへの人々の意欲が高まれば、ボランティアやNGO、地元企業とのさらなる協働が期待できる。それは少子高齢化などにより負担が増大している自治体にとって、大きな助けとなるだろう。そして二番目の「行動」についてだが、自治体の役割はグローバルな目標であるSDGsをローカルな住民の行動に落とし込むことだ。たとえばSDGsの意欲目標の一つに「住み続けられる町づくりを」というものがある。これに関わる行動目標は、災害リスクの管理、環境への配慮、高齢者や障がい者にやさしい町づくりといった抽象的なものだ。それらを具体化し、地域の特性に合った施策として実践するのが自治体の役割だ。その際、参考となるのは、日本政府が2018年度より選定を行っている「SDGs未来都市」や「自治体SDGsモデル事業」だろう。そこにはSDGs達成に向けた先導事例が豊富に見られる。たとえば、ある自治体は高齢者と地域をつなぐコミュニケーションツールとしてAIロボットを活用している。また、ある自治体は配水池設置型の小水力発電事業により、大規模施設に頼らない再生可能エネルギーを実現している。さらには、地元の自然遺産であるサンゴの保護を企業協賛事業として展開している自治体もある。それらに共通するのは、工夫された仕組みづくりだ。人、物、金、技術をうまく組み合わせ、付加価値、相乗効果を生み出そうとしている。そして自治体が三番目のアクションとして行うべきなのが実践の後の「評価」だ。取り組みの達成度を客観的に評価し、修正することで、活動は強靭さや持続性を増していく。そうした一連のアクションを自治体は情報として他の自治体や国、国際社会へと発信していくべきだ。SDGsにおいては、どの自治体も世界の先駆者になり得る。先導事例を作り出す自治体が増えることが、誰一人取り残さない、よりよい社会の実現につながっていくはずだ。(1137字)

※意欲、目標、評価という流れにすると、分かりやすいかと思いましたが、かえって面倒くさくなってしまったかも。ただ、SDGsについては教養試験の英文理解で出題される可能性もあるので、流れは理解しておいた方がいいと思います。
※232の指標については、約230とする表記もあります。数字の覚え方は、「17の目標を広く(169)、兄さんに(232)」。
※「意欲目標」、「行動目標」という言葉は、ウィキペディアなどには載っていません。「自治体にとってのSDGs」などで検索してみてください。
※上記の小論文は2022年5月に制作しました。事例はやがて古くなるので、新しいものと差し替えてください。SDGsは2030年までの目標なので、それまでは出題されるかも。 

小論文弁当のレシピ(調理の流れ)
①自治体はSDGSをアクションプログラムとして利用するべきだ。SDGsは意欲、行動、評価という流れで構成されている。
②まず「意欲」だが、自治体はSDGsに対する市民の意欲を喚起するべきだ。SDGsの目標は、自治体の目標でもあるから、市民が協力してくれれば自治体は助かる。
③次に「行動」だが、SDGsの抽象的な目標を市民の具体的な行動に落とし込むのが自治体の役割だ。その際、先導事例として参考となるのが、政府が選定しているモデル事業だ。その具体例を示す。
④最後に「評価」だが、それを行うことでSDGsへの活動は強靭なものになる。自治体はそうした一連のアクションを世界へ発信するべきだ。先導事例を発信する自治体が増えれば、世界は変革できる。


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