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1.高齢化問題における自治体の役割について。(1200~1500字相当)

2025年には、わが国の人口の4分の1以上を75歳以上の後期高齢者が占めるとされている。こうした超高齢化社会において問題となるのは、労働力減少による経済規模の縮小であり、医療や介護分野における人手不足だ。では、こうした問題に自治体はどのように対処していくべきだろうか。わたしは、ある問題の対処にあたって重要なのは、人、物、金、仕組み、情報を効率よく活用することだと考える。自治体は、これらの要素をうまく組み合わせ、国との連携を図りながら、地域の実情に即した取り組みをするべきだ。この考えに基づくと、高齢化問題の場合、まず望まれるのは人(人材、スタッフ、人手)の確保だ。国は現在、「地域包括ケアシステム」において、高齢者の医療・介護・生活支援を地域で一体的に行おうとしている。これは高齢者に住み慣れた地域で、自分らしい生活を最後までおくってもらうことを目ざしたものだ。だが、医療や介護スタッフ、行政職員の人手が足りていない現状がある。今後、高齢者の数はさらに増加するのだから、医療従事者の招へい、外国人スタッフの雇用、地域ボランティアの育成などに積極的に取り組むべきだ。次に物(施設・設備)、金(予算・補助金)、仕組み(制度・システム)だが、自治体は高齢者施設の新設・増設において賢い金の使い方を工夫するべきだ。たとえば高齢者向けの総合福祉施設を新設する場合、そこに診療所やデイ・サービスセンター、いきがい・生産施設などを隣接させることで、省予算、省スタッフ、行政サービスの効率化が期待できる。その施設にノーマライゼーション思想に基づいたユニーバーサルデザインを導入すれば、障がい者問題への対応ともなる。また、ある自治体は環境省の補助金制度を利用して、二酸化炭素を排出しない電動カート(グリーンスローモビリティ)をコミュニティの交通手段として採用している。そして、それを高齢者の買い物支援の乗り物としても活用しているのだ。これなどは地域の実情を把握したうえで地球温暖化、高齢化という二つの問題に対処した賢い金の使い方だろう。自治体はこうした自身の多様な取り組みの情報を個々の住民に分かりやすく伝えていくべきだ。同時に先導事例の情報は自治体同士での共有が望まれる。地域の実情が類似している自治体がその成果を参考とすることで、同様の問題の解決が早まるはずだ。そうした自治体が増えることで、国全体の公共サービスの質が向上していくだろう。わたしたち若者もやがては老人になるのだから、高齢者問題は決して他人事ではない。加齢による身体や認知機能の低下を特別なことと受け止めるのではなく、誰もが住み慣れた地域でQOL(生活の質)を保てる共生社会の実現を目指すべきだ。そうしたメッセージを発信していくことも自治体の重要な役割だと考える。(1159字)制作2022.3/15

※文字数が多い場合は、太字の部分は不要。
※この小論文も、人、物、金、仕組み、情報を要素に構成してみました。
※検索ワードは「地方自治体における今後の高齢化社会対策の方向」
※「グリーンスローモビリティ」については、「環境省 ミライアイズ」で検索。「地域包括ケアシステム」、「QOL」についても調べてみてください。

小論文弁当のレシピ(調理の流れ)
①高齢化問題とは、こういうことだ。
②その問題に対処するためには、人、物、金、仕組み、情報を効率よく活用するべきだ。
③まず「人」についての具体例を示す。次に「物」、「金」、「仕組み」についての先導的事例。
④自治体は、自らの取り組みについての「情報」を住民や他の自治体に発信していくべきだ。そうした自治体が増えることで公共サービスの質は向上する
⑤また高齢化はわたしたち自身の問題であり、共生社会実現の問題でもある。そうしたメッセージを発信していくことも自治体の役割だ。

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