アヤと言う女の子 16頁
アヤがiPhoneを見つめている ちょっと難しい顔
「どうした?」
「どうしよう、うちのお母さんなんだけど」
「ん?」
「牡蠣が大量に来る」
SMSを見せられた 一斗缶の写真
「お? この缶、全部牡蠣?」
「十数キロ在ると想う」
アヒージョ、オイスターチャウダー、牡蠣フライ、生牡蠣、コキールかグラタン えっと
「スモークしちゃおうか?」
一斗缶を細工したら燻製器に使える、チップはリンゴにするか、粒の大きいのを選んでスモークをかければ暫く楽しめる
「じゃあ、楽しみにしてるって返しておく」
アヤは嬉しそうな顔でフリックしてる
広島産の牡蠣は美味かったマンションのパーティルームを借りてゼミ仲間他を呼びオイスターパーティになった
この部屋に入れる客は香織だけ 香織が牡蠣目当てに数日通って来た
19度の一升瓶が2本空いても牡蠣は2/3 6㎏以上残った
殻打ちをして剥き身に、2日かけてスモークし
100gずつ真空パック
スモークで重量は半減したから30パックのスモークオイスター
香織に5個強奪された 10個はアヤの実家に送った
学食でカレーを喰っていたら災難がやってきた
「俺の分は?」
五十嵐、こいつ頭逝ってる?
「なんの話だよ五十嵐」
「頼むよ涼次」
「ファーストネームで呼ぶ許可をした覚えは無いが」
「水臭いな、濱田も黒澤も俺も牡蠣好物なんだよ、分けてくれよ」
「ライフの水産コーナーに在るぞ、松島産でも広島産でも明石でも、ついでにスモークも5粒498円で売ってる」
「お願い阿玖吾くん友達じゃないか」
「拳で語り合う友達か? なんなら今から道場へ行く?」
「なんだよ」
諦めてくれたらしい、僕は学食カレーをやっつけにかかる
「ごめん、涼次」
香織が手を合わせて謝って来た、アヤと3人カフェテリア、僕はカップチーノ
「スモークドオイスター、美味し過ぎてさ、うんまぃってガールズトークしてたの、五十嵐に聞かれた」
「情報漏洩ルートは解ったけど(笑) 五十嵐、アヤの恋人妄想から、僕を含めた友人もーそーにチェンジか?」
「心理学で在るよね、都合の良い妄想を脳内に創って信じ込むパターン」
アヤはカフェオレ
「妄想性障害?」
僕のカプチーノ シナモンが足りない
「それだ、思い込みの内容は起こりうることの場合、より事実だと信じやすい、症状が悪化すると起こりえない事、傷を残さずに内臓を盗まれた等の例もある」
「こわっ」
「いや心理学は必修じゃん、香織さん」
「私、教授に取り入って単位貰っちゃったからさ」
「色仕掛けでもしたんかい?」
香織が頷く
「あ~エロ哲かぁ、心理学の講師なのに哲とはこれいかに、あいつ哲学より心理学の方が女の子に受けるって教科替えしたもんな」
「暫く警戒した方が良いかも、あの3人サークル抜けたけれど、まだつるんでいるみたいだから」
とアヤ
五十嵐、黒澤、濱田、僕にボコられてサークルに居づらくなったらしい
その夜、僕は伝手をたどって彼らを調べた、3人とも曲がりなりにも就職内定は出ているので、余りバカはしないだろうと放置に決定
ドアがノックされた
「はいよ」
アヤが入ってくる
「どうした?」
「えへへへっ」
「タウリンたっぷり摂ってるからな ベッドへ行こうか」
「うん」
なんて可愛い顔で頷くんだよ、僕は幸せのズンドコに居る
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