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43 自利と利他

今回は自利と利他という話です。もともと理系志向あるいは理系嗜好の私は、紙に図を描いて考えるのが性に合うのでこれまでもいくつか投稿しましたが今回も図をあげました。

あの人はジコチューだとかあの人は思いやりかあるとか、日常では「自己」「他者」を一本の線の対局に置いて一つの尺度を持って評価することが少なくないのではないでしょうか。
ジコチュー ☜=======☞ 思いやり
これは、自利と利他とはちょっと違います。これは、利己と利他です。
自分のことが大事ではない人なんて現実的ではないから、他への思いやりに対して己を低く置く必要は無いと思います。

ですから、見出しの図をあげたわけです。自分軸と相手軸がXYで交わっている図です。この図を考える時に「あのひとはどのあたり」「このひとは・・・」って思い浮かべてしまうと、それこそ自分がジコチューに走るので注意すべきなのですが、例えば一つの例として王貞治さん。
この図の斜め45度の坂道を登りつめられた感じがしないでしょうか。

自分を鍛えに鍛えて世界の王とさえ呼ばれ、日本球界では将来も破られないであろう生涯記録をお持ちです。その王さんがダイエーホークスの監督になられた時、まだ全然弱くて乗ったバスに卵を投げつけられたと報じられました。多くの人は卵を投げた人の行ないに眉をしかめたはずです。

でも王さんはそういう熱狂的なファンを喜ばせられていない自分を戒め、ファンのためにとより努力されたそうです。その姿勢が若い選手たちに強烈な刺激となり、彼の後姿を追いかけることになり、現在のソフトバンクホークスを築く土台になったとようです。私が今年の日本シリーズのあとに知った事実です。45度の坂道をほとんど登りつめておられる気がします。

現在のソフトバンクホークスが高く評価されているのは、単に技術や球団の資金力の話ではなく、王貞治という方のありかたが浸透している成果だと思います。言い換えると「be」の領域での王貞治さんの凄みです。そこにソフトバンクの孫さんが投資されているわけです。孫さんも間違いなく「be」が凄い偉人です。

このXとYの座標は他人の評価に使用せずに自分のあり方を確認することに使用すべきでしょう。
そして利を損得や都合の利益ではなく、Xは地に足をつける自分の誇り、Yを他人の尊厳を尊ぶ軸、
と考えるのが相応しいと思います。自利と利他が仏教の話だとすると、斜め45度の坂道の無限の彼方に「仏陀」=「覚った人」が居らっしゃると考えています。

私が信頼するお坊さんの法話に「阿弥陀如来の本願によって拓かれた自己肯定感に優るものはない」というのがありました。自分にとっては最高級の結論であると思っているのですが、ここでいう自己肯定感は斜め45度の坂道を登っていくことだと思います。そして自己満足感は、45度より浅いところでウロウロすることだと思いますし、45度より大きくなると自分を卑下することにもなるので注意が必要だと思います。