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#31 前へ進め、といわれた日

こんにちわ。id_butterです。

人生で最高に不幸な時に恋に落ちた話 の31話目です。
#27から何回か重たい話とかを続けていて、完全にご報告し忘れていた。

実は、先々月末離婚した。
とても今更感があり、タイトルそっちのけで進んできてしまい、1ヶ月くらい経過していることになる。
私事ですが、と始めるところだが、noteは全部私事だと気づく。

離婚、という言葉のマイナスイメージは如何ともしがたい。
わたしひとりではそのマイナスイメージを覆せない。
けれど、わたしにとってはかけがえのない気づきを与えてくれた体験で、このnoteを読んでくださったみなさまにはご理解いただけると思って、書く。


離婚届を出した日のことは、一生忘れないと思う。

前日からわたしは緊張していた。
どうしても翌月に持ち込みたくなかった。
その日中に離婚届受理含めて手続きすべてを完全に終わらせたかった。
終わったら、仕事に行かなくてはいけないので、首尾よく進めたかった。

翌日。
決戦の日は快晴だった。
心配をよそに、すべてが完璧な一日だった。

天気だけでなく、心地よい気温でほどよく風が吹いていた。
対応していただいた役所の人は、親切かつシンプルでわかりやすい説明でわたしの不安を吹き飛ばしてくれる。
「待ち時間に子どもに関する手続きをしてきては?」と部署と階数まで教えてくれた。
時計にふと目をやったわたしに気を使ってくれたのか、この時間までに二人チェックを入れて終わるので、と正確な時間を教えてくれる。
それは、どの部署でもそうだった。
にこやかな笑顔で心地よく、次の部署へ送り出してくれるのだった。

待っていたのは決戦ではなく、拍子抜けした。
感謝に涙が出そうだった。
離婚を悲しんでいる人みたいに見えないよう、必死で平静を装った。

「前へすすめ」と背中を押されている、何度もそう思った。

離婚を決めるときはひとりぼっちだった。
家族を取るか、娘を取るか、をわたしは問われた。
家族を取ることは、過去で、欺瞞で、不幸せな平穏、自分を偽ること、でも娘たちはこちらを望んでいたかもしれない。
娘を取ることは、未来で、真実で、伸るか反るかの賭けで、わたしの尊厳と自由を守ることで、娘ふたりの人生を背負う責任だった。

わたしは、未来を選択した。
でも、ほんとうはずっと不安だった。
責任の重さにずっと押しつぶされそうだった。
だけど、離婚届を出した日に確信を得たのだ。

わたしの選択は祝福されている。


その祝福の日から、約1ヶ月が経過した。
わたしは、日和っている。
怖いのだ、記憶の洪水に襲われている。
先日書いた#27〜#30はどれも3000字を超えていて、中には6000字を超えるものもあったのだけど、どれも取り憑かれるみたいに一気に2時間くらいで書いた。
書いた後はものすごく疲れる。

ほんの一ヶ月前まで文章を書こうなんて思ってもいなかったのに。

離婚をすると決めてから、自分に素直になって、解放した感情を出していくこととか、それでたとえ傷つけられたとしても人を信じ続けるとか、自分なりに決意したことを実行してきた。
そうじゃないと、自分がだめになってしまう気がした。

そうしたら、いろんなものがわたしのところにやってくる。
よいもの、とんでもなくきれいなものとか、見たことないくらいやさしいものとか、時折嫉妬とかをぶつけられたりもするのだけれど。
昏い方とあかるい方、両方の感情が色濃くわたしの中に息づいている。
どちらにもかたむきすぎないように、自分をニュートラルに操縦することは、意外に難しい。
その操縦を、過去の記憶や感情に邪魔されるときがある。

どうやら、未来に向かう前に、過去を置いていかなくてはいけないらしい。
歩いてきた道にあったものをひとつひとつ拾い集めて、眺めて、観察して向き合って文章という形にすることが、わたしには必要らしい。
それが、なかなかにしんどい。
昔の感情に、どっぷりと溺れてしまう。今のだれかの優しさにすがりつきたくなる。

とはいえ前へ進めと言われたらしいので、進まなくてはいけない。

彼に会いたいなぁ、と思う気持ち、ひとりで耐える力をください、と願う気持ち、半々くらいで宙ぶらりんのよるを過ごす。

後悔はしていない。
そう思えるから、全てまあいいかと思う。
選択自体には、正しいとか間違っているとかはなくて、正しいということをこれから証明し続けていくしかないのだと思う。

目下の課題は、いつの日かの娘からの「なんで離婚したの?」という問いへどう答えるかということだ。
元夫のエピソードから使える部分はない。
できれば、わたしがカッコよくて自分勝手で自由な母親に見える答えがいいなと思っていて、それが決まるころには、全部書き終わっていることを願っている。

それと。
やっと、好きって言っていい。
それがうれしい。



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