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我が家の宇宙人が自転車に乗れた日

こんばんは。id_butterです。

宇宙人長女が自転車に乗れるようになった日のことは、きっとずっと忘れないと思う。
この話は全然書こうと思ったことすらなかったけれど、宇宙人が自転車に乗る絵って、アレE.T.じゃんて思ったので書くことにしました。

遡ること半年くらい前のことになる。
小学校2年生ともなると、ほとんどの子たちが自転車に乗れるようになっている。
補助輪付きの自転車に乗るのが恥ずかしくなり始めた宇宙人長女は困っていた。

日に日に移動範囲は広くなっていく。
公園で出会ったお友だちとずっとそこで遊ぶとは限らない。
自転車で他の公園に移動しよう、そうなると彼女宇宙人はひとり走ってついていくことになる。
…大変。

乗れるようになりたい。
でも、練習するところを友だちに見られたくない。
それに、転んで怪我をするのはいやだ!

宇宙人の心のうち

そんな頑なな宇宙人
「乗れるようになったら、たのしいよ」
と声をかけ続けた。
夜に練習につきあってみるものの、怖がりの彼女宇宙人は肩から全身に力が入っていて、全然上達しない。
もう、完全にコンプレックスみたいになっていた。

しょうがないので、たまに近所にやってくる自転車教室に申し込んだ。
金額を忘れてしまったけれど、おひとり様5,000円くらいで2〜3時間くらいだったと思う。
申し込んだ時は、高いなと思ったけれど、終わってみたらお得に感じた。

最初は「左側に立つ」というような自転車の正しい乗り方から始まる。
交通ルールも一緒に教えてくれるのが嬉しい。
ペダルを漕がないで足をついて自転車を進めたり、補助のひとがついて漕いでみたり、とどんどん練習が進んでいき、数時間後にはひとりで自転車に乗れるようになった宇宙人長女地球人次女がいた。
ふたりとも誇らしげに笑い、「ママーみてー」と叫んでいたので、「宇宙一かっこいいじゃん。」と感想を述べた。

彼女宇宙人は嬉しいというより、ホッとしたような顔をしていた。
自分だけ自転車に一生乗れないのかもしれないとでも思っていたかのようだった。
それをみて、母も安心した。

最後に、貸してもらった自転車では乗れても、家の自転車は勝手が違うので、これから慣れるまで毎日練習に付き合ってあげてくださいね、という親へのアドバイスがあり、半日の自転車教室は終わった。

家に帰り、その晩から早速、練習をすることになった。
結論からすると、二日間でほぼ乗れるようになった。

初日は、まだ長い距離を乗ることができなかった。
これは自転車教室の先生から言われていて、最初はずっと漕ぎ続けることが怖いのだそうだ。
うちの宇宙人長女は他の子に比べても大層怖がりなので、結構ネックになった。

10mくらい漕ぐと、怖くなってストップしてしまう。
それをどうにかしようと、母は隣を並走し続けた。
「まだいける、だいじょうぶ、お前ならできる」
夜の公園に響き渡る母の声と、そのバックに流れるゼェゼェハァハァという息切れ。なぜか一番試されるのは母の体力らしい。なんて理不尽な。
宇宙人長女は余裕で、「もっと練習する」とやる気満々なので、やめるにやめられない。
「ママ、だいじょうぶ?」
そう言いながら冷静にブランコを漕ぐ地球人次女
「うん、いまお姉ちゃんの番だから、待っててね。」
…そうなんだよな、まだ半分も今日のノルマが終わってないんだよ。
「まだいける!あきらめんな〜。」
再びそう叫ぶと、公園の外を歩くカップルの視線が刺さった。半笑い。
わたしは、別に熱血コーチではない。そう言いたい。

こんな日々が数日続いた。
わたしの全身の疲れおよび腰痛と引き換えにではあるが、ふたりとも自走できるというリターンはきちんとやってきた。

さらに一週間後、わたしは、3人乗りの自転車から解放された。
3人乗りの自転車は、自転車本体+大人1名+子供2名で総重量100kgを超えるほどになっていた。
それを漕ぐのも大変だったし、自転車も限界が来ていた。

計2台で1km先の図書館くらいはいけるようになっていた。
交通ルールが怪しい地球人次女は近くの公園までにとどめておいた。
ふたりともこけられても、面倒を見られない。

約9年間がんばってきてくれた自転車が愛おしく思えた。

そこから半年経ち、今は地球人次女も図書館は自分の自転車で通えるようになった。ただし、危ないのは彼女次女の方だ。
坂で派手にすっ転んだり、自転車を謳歌して蛇行、壁に突っ込んだりするのは地球人次女の方なのだ。ブレーキを使わずに足でザザーっと自転車を止めたりするので、靴の消耗も半端ない。
正反対で痛がりの宇宙人長女はスピードも出さないし、危なければすぐに止まるので怪我は少ない。

あと半年もしたら、もうママチャリはいらなくなるのかな、と思うとちょっと寂しい母でした。

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