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地球人の女子力

こんばんは。id_butterです。

地球人とは我が家の次女のことである。
わたしには長女と次女がおり、同じ父と母の子どもであるはずなのに、全く性格が違う。
以前その特性について書いたのはこちら↓。

今まで、わたしの中の地球人は、どちらかというと「目立たない方」であり「手がかかからない方」であった。
けれど、彼女を見誤っていたと最近気づいた。
彼女の初期設定が気になってたまらなくなり、書いてみることにした。

今までも、地球人は女子力高めだとは思っていた。
けれど、最近その女子力にものすごい磨きがかかっていると気づいたのがきっかけだった。

彼女地球人の関心ごとはいつも自分である。
その思考の中心には自分なりの美意識があるようだ。
人気者でありたい宇宙人長女が「人からどう見られるか」を気にしていることとは対照的である。
彼女地球人も「人からどう見えるか」を気にしてはいるが、それはあくまでも自分の市場価値を高めたいからであり、自分の価値観が中心であることは揺らがない。

なんというか、自分の子どもにこんなことを言うのも変だとは思うのだが、彼女地球人はあっぱれな女なのだった。

彼女地球人は乾燥肌なので、特に冬は痒そうにしている。
お風呂上がりに彼女の全身にクリームやら化粧水やらを塗りこむのはもはやわたしの習慣と化していた。
けれど、最近はもうわたしの手は必要ない。
彼女地球人はお風呂上がりかどうかに関わりなく、自分の気分に応じて自ら肌のお手入れをするからだ。
コットンの消費量が知らぬ間に増え、多めに買ってもいつの間にかなくなっている。夕ごはんを終え、慌てて薬局に走りながら、コットンに化粧水を浸してパタパタとお肌のお手入れをする保育園児の姿が脳裏に浮かび笑えてくる。

最近は、足の毛が濃いのを気にしている。
幼児用の7部丈のレギンスを履いてくれない、と気づいたのは夏ごろだった。転ぶと膝が傷だらけになるから、ショートパンツでも中にレギンスを履いてほしいなと彼女地球人に伝えたところ、夏用のレギンスは7部丈で足首の少し上あたりの肌が出てしまう、自分はそこに生えている毛が見えるのがいやだから履きたくない、と論理的に履きたくない理由を説明された。

母は言葉を失った。

そんなに気にしているならなんとかしてあげたいけれど、「わたしも永久脱毛に行こうと思ってたんだ、一緒に行く?」と保育園児に言えるわけもない。
カミソリで剃るのも、カサカサ肌が傷みそうだからいやだなぁ。
ワックス?保育園児に?…虐待と勘違いされそうだ。
しょうがないので、今度から7部丈のスパッツは買わないと彼女地球人に約束する。
わたしは足にほとんど毛が生えていないし、女子力も低いので、悩みをわかってあげられなかったのだ。至らない母でごめんね。

なんとなくだけれど、彼女地球人はお金がかかりそうな女である。
ということを母の脳内にある取扱説明書に追記する。

そのような数々のエピソードを積み重ね、彼女地球人の美意識はとどまるところを知らないようだと結論を出したのは半月前のことだった。
急に、黒いズボンを履いてくれるようになったのだ。
これまでの彼女地球人はピンクや淡い水色など女の子らしい色が好きで、黒や紺などの地味な色の洋服は着てくれないのが常だった。

「あ、黒いズボンしかない。でも、太ももが細く見えるからまぁいいや。」
という独り言を聞いて、内心びっくりした母であった。
太ももが太いということを気にしている、そこまでは知っていたけれど。
美意識とはこういうことか。子どもでも標準装備していることもあるのか。
太ももを細く見せるために、好きではない黒を選び服をコーディネートするというのは、大人のように思考し戦略を練っているということを意味する。

先日は、顔のパーツの気に入らないところを細かく説明された。
まつ毛が長いところは気に入っている。
けれど、目が少し小さいところが気に食わない。
ほっぺが少し丸くふくれているようなところも気になる。
…話は尽きない。
「あなたは世界一かわいい」と6年間繰り返してきたというのに、その努力はあまり実らなかったらしいと実感した瞬間だった。

大人のように論理的な思考回路を装備しためんどくさそうな女である。
これも、母の脳内にある取扱説明書に加筆する。

ふと振り返ると、宇宙人長女がこっちを見て笑っている。

最近の宇宙人長女の関心ごとは「おっぱい」である。
「おっぱいが大きいとモテるらしい」というどこから聞いてきたのか根拠のない真実をもとに毎日自分の胸を眺めている。
おっぱいという話題は女の子特有のものなのだけれど、その単純な思考回路は男の子のようで、子どもっぽいなと思う。
「チョロい」と思ってしまう自分を戒めつつ、思考を進める。

背中を反らして「ほら、昨日より大きくなったでしょ。」と、無邪気に毎日飽きもせず、真っ平らな胸をわたしに見せつけてくる姿は子どもらしい。
宇宙人長女には基本的に悩みはなく、欲望があるが、執着が少なく自分に甘い。

それを思うと、地球人次女はなんだか気苦労が多そうだなと感じる。
地球人次女は、欲望もあるが悩みも尽きないし、結果を重んじるので執着するし、自分にとんでもなく厳しい。
そういえば、優等生の子っていろんな荷物を背負って大変そうだったよな。

あごだけがなぜか乾燥して、もう角質化?ほどに硬くなってしまったことで、宇宙人長女はやっと重い腰を上げ、日々クリームを塗るという日課を身につけ始めた。基本宇宙人長女は肌トラブルと無縁なのだ。
少しでもよくなれば、「ほら、わたしががんばったからだよ」とすかさず宇宙人長女が母にアピールする後ろで、彼女地球人は地道にひたすら鏡に映る自分に向き合っている。

ストイック、その称号こそ彼女地球人にふさわしい。
保育園児に似つかわしくないが、彼女の標準装備なので仕方ない。
ちなみに、美意識は高いけれど、美的センスは今のところ皆無である。
今日もお気に入りのズボンにTシャツをしっかりとINして、胸のすぐ下あたりまでウエストのゴムを上げて、元気に登園した。
「そんなにズボン上でいいの?」と半笑いで声をかける先生に、彼女地球人は自信満々に頷く。
このあたりの隙は、保育園児として残しておいてほしいと願う母だった。

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