【読書感想文】『ドゥームズデイ・ブック』コニー・ウィリス
先日読んだ、『ドゥームズデイ・ブック』(コニー・ウィリス/早川書房)がものすごく良かったので感想を書きます。
今のところ、今年度の上半期ベスト。
下半期もこれを超える読書体験をできそうか?と考えると怪しいです。
そのくらい良かったです!
ネタバレにならない程度にご紹介しますね。
物語は、キヴリンの訪れた中世パートと、予期せぬパンデミックに巻き込まれながらも生徒を連れ戻すため奔走するダンワージー教授の現代パートが並行して進みます。
前半はゆったりと進むのですが、後半第三部からが圧巻。
物語中には大小様々な「仕掛け」がなされているんですが、それが次々と回収され、立ち現われてくるタイミングの絶妙さに打ち震えます。
卓越した小説技巧を支えるのが、確かな筆力。
こういう人いるいる!と思わせる生き生きとした人物描写が鮮やかで、時代を超えた先でのリアリティを見事に生み出しています。
終章周辺は何度も何度も読んでしまいました。
なんて凄絶で、苦しくて、美しいんだろう。
素晴らしい物語でした。
物語が発表されたのも、私がこの本を読んだのも、今の疫病蔓延時代より遥か前のことです。でも、今この時代だからこそ、あの数年を経験したからこそ、胸を打ち感じ入るものがあるはずです。
もともとSF作家の小川一水さんがTwitterで絶賛されていたので気になって、図書館で借りてきて読んでみたのですが、素晴らしさのあまり、読了翌日に続編と合わせてポチってしまいましたよ……。
タイムトラベル×パンデミックSF長編小説ですが、いわゆる専門用語が飛び交うタイプのハードなSFではありませんので、SFに馴染みのない方にも構えずに読んでいただけるかと思います。
おすすめ。
あと個人的にですが、心配性なダンワージー教授(初老)と、優秀で真面目なキヴリン(超小柄で童顔)の、信頼と尊敬と愛情がミックスされた師弟愛が激しくツボリました。
最終行とかもう反則だよ。あああああ。大好き!!!
2016.07.08
(加筆修正 2023.04.17)
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