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食べても太らない人との共存と悩み

「5kgなんて、気を抜いたらすぐに減るで。そんなん、誤差みたいなもんやん」
ここのところ、痩せるべくダイエットに励んでいる私に向けて、夫がそう言った。
痩せたい人を全部敵に回すような発言を平気でしてくるので、イライラする。

「食べなきゃ痩せるで」
……分かってはいる。でも、それが上手くいかないから悩みながら試行錯誤しているわけで。

夫は、184㎝、65kgで、痩せている。体が変化してくると言われる35歳を超えても、学生時代から体型は一ミリも変化していない。
こう書くと、すごくストイックな人間で、食事制限や運動をしているように思うかもしれないけれど、全然違う。

夫は、よく食べる。とにかく食べる。
「朝は食欲がないから、食べられへんわ」と言いながら、食パン2枚を食べる。
一食につき、ご飯は0.8合~1合を食べ、出したおかずは全部食べる。ご飯を食べた後に「小腹がすいた」と言い何かを食べ、「腹が減って力が出ない」と、顔がぬれたアンパンマンみたいなことを言って、四六時中、お菓子やら菓子パンやら何かを食べている。飲み会では、残っている料理を全部たいらげ、ずっと食べているらしい。

職業柄、動いてはいるけれど、定期的な運動は気が向いた時にする筋トレと、年2回ぐらい行くゴルフと、その練習程度。

それなのに、ちっとも太らない。
夫曰く、「何を食べても太らないけど、食べないとすぐ痩せる」のだという。

……嫌味かよ。

と言いたいが、実際、体調が悪かったり忙しくて食べている間がないと、本当にすぐにげっそり痩せる。

これは、体質なのだと思う。夫の兄弟もこんな感じなのだ。
医学的なことは分からないけれど、この世には、食べても食べても太らないという体質の人が存在するのだと、夫を見ていると思う。

この夫の体質を、6歳の息子も受け継いでいる。

「お弁当箱が小さい」というので、大人の大盛のお弁当箱にオムライスを詰めたのに「足りひん。僕はお弁当二つがいい」と言う。
フードコートで大人用のうどんを食べて「ねぇ、これ食べて足りなかったら、もう一回食べてもいいの?」と真顔で聞いてくる。いや、そんなシステムではございませんが……。

それぐらい食べるのに、腕も足も棒のように細く、あばら骨も見えているという、がりがりの体型なのだ。

健康面でも問題がないし、食べ過ぎて吐くということもない。好き嫌いもきのこぐらいしかなく、出した料理もほとんど食べるので、何かに偏って食べることもない。なので、息子の食事に関しては、好きにさせていた。おかわりと言われれば出すし、外食の時に大人と同じぐらい食べたいと言われれば、そうさせていた。

でも、それが4歳の娘に悪影響を与えることとなった。

息子と同じように、食べたいだけ食べさせていたら、娘だけがまぁるくなってきたのだ。
いつまでたってもへっこまないおなかには、脂肪が……。
母子手帳の体重と身長のグラフを見ると、肥満には入らないし、病院でも問題ないといわれているのだけれど、これは体質の差だよなぁ……と思わずにはいられない。

なので、娘にはどれだけ食べさせるのか、悩んでいる。

よく噛むように促したりするぐらいで、おかわりを制限したりはしなくていいかなと思っているのだけれど、ひとつだけ言えるのは、息子と同じように食べていたら、確実に太るということだ。

人は一緒に生活してくると生活習慣が似てくると思うので「よく食べる人」と一緒に暮らしていると、こちらもよく食べるようになる気がする。それなのに、「よく食べるのに太らない」人と「食べたら太る人」に分かれてしまうのだ……。

なんとも、損しているような気がするけれど、仕方ない。
「食べても太らない人」と共存するには、努力が必要なのだ。
せっせとダイエットに励もう。そして、よく食べる人に惑わされない胃袋を手にするのだ。

「最近太ってきたから、痩せようと思って」

いつか夫がそう言いだしたら、めいいっぱい笑ってやろうと思っているのだけれど、今のところその兆しは見えない。


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