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「町田忍の手書き看板百景」を読んで。

昭和に生まれている私には

明治、大正、昭和、平成と生きた祖母を

ひゃーおばあちゃん、4つも元号が変わった時代に生きてきたんだね!

なんて言ってきたが、じぶんも、

昭和、平成、令和。気が付けば、3つも元号が変わっている。

あと1つ元号が変わったら、祖母と同じになる。

将来、孫に「おばあちゃん、ひゃー、4つも元号変わってんじゃん」と言われかねない。

ところで、タイポグラフィーってご存知だろうか。ざっくりいうと文字のデザインと言うか。

文字の配置や、文章にあったもにデザインとか、そんな感じ。

本もたくさんでている。


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文字のデザインを学校で習う時には、いままではレタリング。

レタリングといえば、美術の時間に明朝体や、

ゴシックなんかの文字を描いていた。

私なんかは線引きを使って描いてもまっすぐな線のはずが曲がっちゃって、

いったいどうしたらこんな風に描けるのよと、

常に注意をいただいたものだ。

ポスターなんか、このレタリングにだけ時間がかかり絵がおろそかになる。

出来上がりは一体何を言いたいんだか、なんていうポスターだった。

平成に入ると私を苦しめたレタリングが

タイポグラフィーと名を変えた。

巷には、洒落たデザインの文字があふれだした。

私感ではあるが

これはおそらく、ポスターや掲示物を作る時、

ワード等の使用が広く一般化されたからか、

商品や紹介したいものの情報が、

良くも悪くも感情がぬかれ、誰にでも伝わりやすく、

見やすいものとなった。

平成以降の広告看板は、昭和の広告看板にみられた

作り手によって込められた生なましい体温や感情の一切を抜いた

文字になったと言うか、

描き手の感情ではなく伝えたい事がだれにでもすんなり伝わる?

宣伝看板、広告看板になった。

つまり、火の打ちどころがないというか

そつなく出来上がっていて、

誰が作ってもプロが作ったような伝わりやすい宣伝広告の看板。

手書きの文字が描かれている写真やイラストに添えられていて

邪魔にならないもの、

たとえば、ステーキに添えられたパセリのような文字のデザインに

なったと言うか。

反対に、タイポグラフィーは焦点を文字にあて、

美しく装飾された広告になったと言うか。。。。

悪くはない。

しかし、少し間抜けな温かさもないように思う。

昭和の時代、看板にしろなんにしろ、手書きがほとんどだった。

そしてそれは書き手の体温やむき出しの感情が、

伝えたいことに対する感情がある看板。

熱くて、なんだか少し間抜けのかんじがある面白さ。愛嬌というか。

昭和の看板には、妙な情感、感情であふれている。

すべてに描き手の感情がこもっている。


町田忍の手描き看板百景
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この本の中の看板には

昭和という時代の空気感とか作り手の感情、何としてでも

「お客様こちらに寄ってくださいよ!」という熱があふれている。

それが、いかにも人間味があふれていて面白い。なつかしい。

学校図書館のどのような学習でこの本が利用できるか。

まず美術。

ポスターや看板で、時代の移り変わりが見える。

もちろん、美術的な学びは大きい。

それから、社会の授業。歴史が見える。

人々の暮らしが見える。いわゆる、昔の暮らしだ。

と考えていくと、小学校で入れてもよいのかもしれない。

美しい看板だけでない、生々しい看板もある。あ、もちろん手書きだけれど。

さいごに

人間学。いや、もちろんそんな授業はないけれど、

人と言ういきものの真っ正直な欲が見える。


著者の、町田忍さんは庶民文化研究家であり、銭湯研究の第一人者である。

民俗風俗、レトロなものにかけては、

かなり造詣が深く、私自身は、銭湯と、戦後新聞広告図鑑は

読んでいる。残りの2作品も読んでみたいと思った。


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