3ヶ国語を話す私が、4つ目に挑戦するワケ
「どうやって勉強したら英語が話せるようになるの?」
必修科目として日々英語と向き合うようになった頃から、28歳になった今でも、この質問は本当によく聞かれる。
そして私はいつも答えに困り、みんなの期待に応えられるような返しができない。
幼い頃の私を知っている人は、みんな納得するだろう。
私はただ、ひたすら好きな歌を熱唱していただけだから。
Disney作品から始まり、両親の影響でBilly Joel、Bette Midler、Madonna、Eric Clapton、そしてもちろんThe Beatles。
周りがモーニング娘に夢中だった小学3年生の頃、私は代わりにBritney Spearsにハマり、中学受験が終わると毎日のようにYouTubeで 、Miley Cyrusの出演番組を片っ端から観ていた。
今も昔もMileyは変わらず早口で、ただでさえ早いと聞き取りにくいのに、テネシー出身の彼女は南部訛りもあったので、初めは何も聞き取れなかったのを覚えている。
それでも、当時は彼女が楽しそうに話している姿を見てエネルギーを貰い、彼女の歌の歌詞を覚えて自分で歌詞カードを作り、母の運転する車中で熱唱する。それだけで十分楽しかった。
彼女が出演する番組やイベントを欠かさず見続けた結果、いつの間にかどんなに早口な人の英語でも、自然と聞き取れるようになっていったのだから慣れってすごい。
ある意味で、赤ちゃんが話せるようになるまでの過程と変わらない。誰にも、何にも強制されていないし、私はただ「Mileyが好き」だから動画を見ているだけなので、勉強しているつもりも全くない。
冒頭の質問にこう答えると、大抵みんなから「嘘だ、それだけのはずがない」と疑われる。本当にそれだけ、みんな言語習得を難しく考えすぎだ、なんて言った日には確実に嫌われると思う。
余談だが、母曰く私は元々耳が良く、音を真似るのが上手だったそう。そのため、毎日のようにMileyの喋りを聞いていた私は、Native English Speakerの友達から「アクセントがMileyになってきてるよ」と言われるくらい、当時のMileyのような隠しきれない南部訛りに自然と変わっていった。東京に住むティーンエイジャーが南部訛りで喋るなんて、相当面白かったと思う。
「好きこそ物の上手なれ」で上達した私の英語は、14歳で初めて挑んだ短期留学先のニュージーランドでも伝わり、母国語以外でコミュニケーションをとることで、新しい発見や学びを得られる喜びを感じた。
こうして同時期に、同じようにして興味を抱いたのがフランスだった。
理由はとっても単純で、3歳から習っていたクラシックバレエの共通用語がフランス語だったから。
当時The Royal Ballet(英国ロイヤル・バレエ団)のトップダンサーだったSylvie Guillem(シルヴィ・ギエム)の大ファンだった私は、偉大な彼女がレッスン中に受けるアドバイスはどんなにレベルの高いものなのか、無性に気になった。
そして中学2年生の時、貯めたお小遣いでフランス語学習教材を購入し勉強を始めた。この本が、私が私のために購入した初めての語学教材だった。
大好きなダンサーの話を聴き、並行して学習本で基礎を学んで気付いたことは、「勉強」しなくても他言語は聞き取れるようになるし、話せるようになるけれど、「勉強」することでよりボキャブラリーが増え、その言語で文章を読むようになり、さらに知識を増やせるということ。
フランス語が、まさにそうだった。
こうして、フランス語を通してフランスに関わる知識が増えた私は、la mode (ファッション)、la littérature française(フランス文学)へと興味を広げていった。
ここでフランス語を勉強しなければ、私の生き方、価値観を変えてくれたSimone de Beauvoir(「ボーヴォワール:「第二の性」の著者)とFrançoise Sagan(サガン:「悲しみよこんにちは」の著者)に出会うことがなかったかと思うと、中学2年の自分に感謝したい。
改めて、自らの言語習得遍歴を見返してみると、共通して「理解したい人=興味」が原動力のメインであり、それがなければ、どちらの言語も身に付いていなかっただろう。
彼と出会って5年が経った今も、私がドイツ語を話さない理由はそこにある。決定的な理由、それは私が「理解したい人」たちはみんな英語を話すということ。
ドイツと日本のどちらにもアイデンティティを持つ彼と出会ったことは、奇跡に近い偶然の重なりであったし、彼と出会うまでドイツと私の間には一切共通点がなかった。ドイツの魅力を教えてくれたのは、言うまでもなく彼だし、彼を通して知り合ったドイツに住む多くの友人だ。
一方で、彼と話す時は日本語、彼の友人とは私は英語で話す。街中に出ても、私がドイツ語を話さないとわかると、老若男女問わず、みんなすぐに英語に切り替えてくれる。ドイツ語と英語は、どちらもゲルマン語を祖先に持つ言語だから、ドイツ語話者にとって英語は習得しやすい。
この生活を経験してしまうと、ドイツの文化に触れて、ドイツへの興味が膨らんでも、ドイツ語を身に付けたいという気持ちはどうしても一向に起きなかった。
そんな気持ちが一変し、2022年を迎えてから「1日最低30分ドイツ語学習」を続けている。
気持ちが変わるきっかけとなったのは、10月に彼のところへ遊びに行った時のこと。いつものように、彼の親友のDanielと彼と3人でたわいのない会話をしていた時のこと。いきなりDanielに「で、ドイツ語は勉強してる?」と聞かれた。
あ、私はドイツ語を勉強していると思われているんだ。
ギクッとした。
普段の会話は英語だからドイツ語で会話をする必要がない、と考えていたのは実は私だけだったのかも、と考えさせられた。
少なくともDanielは、みんながドイツ語で会話しているときにも、私に自然と会話に入ってほしいと思っているのかもしれない。
そう考えたら、なんだか自分がものすごく傲慢な人間に思えてきた。
正直、みんながドイツ語で話していると、少し寂しい気もしていた。しかしそういう時は、必ず誰かが私に「今みんなはこんな話してるよ」などと英語で説明してくれる。
完全に気を遣わせていた、みんなの優しさに甘えていただけだった、とちょっと反省した。
というわけで、大好きな人たちの母国語で大好きな人たちと会話するために、私は3つ目の外国語、ドイツ語を習得しようと心に決めた。
「必要だから勉強する」と言う考えは、私には合わない。隠れ不器用な私は、そこに興味がないと一向に自分のモノにできないし、身に付かないから。
ドイツ語を身に付ける上での興味を、音楽、文学、ファッションと様々な分野で必死に探してきたが、そもそも興味は探して見つかるモノじゃなかったなと、今更ながら、そんな当たり前のことにも気付いた。
当時、ドイツ初心者だった私を優しく迎え入れてくれたみんなへの感謝の気持ちも込めて、2022年からは今までと違う方法で、コツコツとドイツ語を習得していこうと思う。
ドイツ語を話す私を見る、みんなの驚いた顔が見たい。
私にとっては、十分な原動力だ。
そう思った途端に、胸の奥がやる気に満ち溢れてキラキラ光り始めてるのを感じた。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、本当にそんな感じ。
新しいことを学ぶことが、楽しみで仕方ない感じ。
きっと、他のみんなとドイツ語で話せるようになっても、肝心の彼だけは英語や日本語で返してくるんだろうな。
意地でも、ドイツ語で話しかけ続けてみるか。
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現在、基礎中の基礎を↑このYouTubeチャンネルの、フランス語⇄ドイツ語で学んでいます。
どちらの言語も名詞の性があるので、英語で学ぶよりフランス語で学ぶ方が頭に入りやすく感じます。
ドイツ語学習用のYouTubeチャンネルをお探しの方がいたら、ご参考までに!
もちろん、英語⇄ドイツ語もあります。Podcastも対応してるので、復習しやすくて、毎日聴くことが全く苦じゃないです!
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