5月15日(金)から、学校再開!(ほぼ決定)
というのはフランダース側の報道である。
そもそも論としてお断りしておく。私はブリュッセル在住でブリュッセル政府の管理下にあり、公用語ではオランダ語話者の枠に入る。
ベルギーの公用語はフランス語、オランダ語、ドイツ語である(ただしドイツ語は地理的にはフランス語圏ワロンの一部と位置づけられ、国の公式伝達文書である官報にはドイツ語の記載はない)。
ブリュッセルは法律上、フランス語オランダ語のバイリンガルであることが定められているが、ブリュッセル独自のオランダ語放送局はコミュニティTV的なものしかなく、速報性をこととする報道番組は、事実上存在しない。
(ブリュッセル独自のフランス語放送局にしても、まあ同様と拝察(未確認))
つまりブリュッセル政府は、公的報道のチャンネルを持たない(厳密にはSNSならあるみたい?だが、私がそのチャンネルを持たないので接点がない)。
そんなの政府って呼んで良いの??とも思わなくもないこと山の如し、だが、
なんなら隣国ルクセンブルクは、ついこの間まで自前の大学がなかった。
それでここいらで一番の金持ち国家であり続けている。そら、大学みたいな金食い虫(^^;を持たんで済むなら金も貯まろうというもんだ。でも自前の大学がない国って、近代国家としてどうかなあ??
…というのと、五十歩百歩、ということかなあ。国としてリッチな分、あっちの方が勝ち組であるのは確かではある。
ともあれ。私のニュースソースは、上記の理由でオランダ語放送局であるフランダース国営放送にならざるを得ず、情報を得ても自分の生活には実は直接反映しない、ということがまま発生する。
教育再開、については、拙宅に当事者がいないので初手から蚊帳の外ではあるが、今般の発表について、フランダース教育大臣のベン・ウェイツ(Ben Weyts)は
「元来、明後日金曜日(4月24日)の、国家安全保障会議を経ての発表に合わせて詰めていた内容だったが、今朝方フランス語圏メディアに漏れて大騒ぎになったので、部分的にでも取りまとめて公表せざるを得なくなった」
と、難詰モードすれすれで愚痴っていた。この人N-VA(新フランダース同盟:フランダース分離主義、と、フランス語圏からは常に毛嫌いされる政党所属)だからねえ。
そうかリークはフランス語圏からでしたか。
…というか、人口1200万人、面積が四国と同程度で一国、なのにそこに地域政府3つ+連邦政府、という、不必要に関係当事者が多すぎる構造になっている以上、そら思惑の違いでリークも出ましょうや、という、お馴染みのベルギー政治あるある話の1バリエーションを、また見ることになりましたとさ、でしかなく。
とにかく。出口戦略の根幹を成すとも言える、学校教育再開のスケジュールを、現時点で分かる範囲で記載しておく:
・保育園・幼稚園は閉鎖のまま
・初等教育の低学年(1・2年次)は週4日、初等教育最終学年(6年次)は週2日
・中等教育(中学・高校に該当:大学進学を前提)は週1日
・技術 / 職業 / 芸術専攻中等教育(大学進学以外)は週2日
なぜ金曜に再開?という疑問について、ウェイツ教育大臣は、
「金曜日開始だと、それまでの週日を準備に充てられるし、金曜日やってみて実際にどうだったか、それを踏まえて週明けどうするか、という対策を練るために週末が使える。つまり5月15日は、《おためし再開》と位置づけて良い」
と語った。
先生方、その週末も働く前提で話が進んでいる。先週末も、イースター休暇明けの教材準備で日曜返上ですわ!というのが報道されてたんだよな。大変な仕事だ…。
ただまあ、5月15日学校再開、の第一報への街の声は、概ね好意的であった。
特に先生方は、ソーシャル・ディスタンスの確保というのが物理的に難しい以上、感染拡大の危険性についてどう対処するべきか、政府からの指針が欲しい、と訴えている。
小学校なのに、手洗い場水飲み場の設置ナシがデフォだったの!…と、日本人として愕然とするのは、まずはそこです。今から作れ、とも言えんけども。
2020/04/22(水)19時のニュースから
感染が判明し入院している人の数: 4.765(前日比+263)
のべ感染者数:41.889
新規感染者数:933
ICU収容患者数:1.020(前日比-59)
のべ退院者数:9.433(前日比+432)
のべ死亡者数: 6.262(+87が病院、+178がWZC:計+266)
日本では不安が先立って新学期の行事あれこれを自粛、した形になっていると拝察する。
ベルギーの場合、「現状維持にはもう限界だから、とにかく学校は再開して良いんじゃないかしら!」という一般の声と、感染者死亡者数の増加が頭打ちになったこととがシンクロしての、学校再開歓迎、という反応のように見える。
さはさりながら、こういうレポートが出ると「うーん大丈夫かなあ?」と思ってしまう:
アントワープ大学が17万人を対象に行なったアンケート結果。コロナ感染と思しき症状が出ても、特に何の対策もせず、つまり外出はし続けるしマスクも装着しない、と答えた人が、全体の半分に及んだと言う。
ただ一方で、コロナの空気感染を信じて疑わない人ら、というのも一定数存在していて、そういう家の子は学校が再開されても「通学自粛」を継続すると言い切っている。
アメリカほどではないにせよ、コミュニティの分断が顕在化しそうな悪寒がある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?