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隣の出口は近い(?

「隣の芝生は青い」を言い換えようとしたんだけど、どうも上手くハマらなかった。すみません。

近隣諸国が、揃って「出口政策」を出してきた。そういうフェーズに至っているんだということを寿ぎつつ、何が言われているのかを検証しておきたいと思う。

ルクセンブルク

ソーシャル・ディスタンスを2mと設定、この距離が保てない場合はマスク装着を義務(スカーフで口を覆うのでも可)とした。国として6〜700万枚のマスク在庫があり、勤労者に一律配布する、という。ベルギーからは1時間に1本、ブリュッセルからの直通電車の他、国境を往来する複数の鈍行列車があるがベルギーはマスク装着を義務化していないので、ベルギー国鉄ではベルギー人向けに警告ポスターを掲示した。
学校については、ソーシャル・ディスタンスを理解し自主的に実施可能な中等教育後期(高校に相当)を5月4日から、中等教育前記(小学校高学年から中学校に該当)を5月11日から、小学校以下は5月25日から、それぞれ段階的に再開。
特に低学齢児童の教室での密集を避けるために、1クラスを2つに分け、1週間毎に1クラス分でスクーリング、1クラスは自宅でネットなどを援用して復習、という方式を採る。
何かもう全然、ベルギーよりシステマティックなのでため息が出る。

オランダ

学校について、現行措置(閉校、自宅学習)は4月いっぱい続くが、これを正常化するのを再優先課題とする。
ちなみにオランダでは、大規模店舗(H&M、Decatholonなど)チェーン店が自粛閉店を決めた以外は、個人経営ベースの書店や自転車屋、衣料品店などは営業を続けている店も少なからずあるんだと。ここいらがベルギーとかなり違っている。報道で聞いて、え、オランダってそれぐらい緩いんだ?と、結構驚くレベル。

フランス

5月11日までは現行のまま、というのはマクロンがこないだ言った通りで、それ以外に特に違いを意識するネタはない。というか、フランスみたいになっちゃなんねえ!というのがベルギー為政者が常に意識してるポイントなんではないかと穿っている。フランスをベンチマークにしてる、というか。
その文脈でいうと、フランスはワイン屋も「必須業務」としてスーパーや薬局と同列に置いてる、というところ、ビール販売業者は(まあそういう業態があまり一般的ではないにしろ)必須にされてないあたり、どうなんですかねベルギー当局。

WZC(老人介護施設)への訪問を、既に部分的に解禁している、というのは、もっと強力に報道されて良いんじゃなかろうか?フランス(とイタリアとスペイン)の方が、ベルギーよりもっとWZCエピセントラム化が激烈だったんじゃねえの?という印象が今以て強い、のにも拘らず、フランスのWZCには家族が訪問出来て、ベルギーでは認められない。それ、ちゃうんとちゃうん??

イタリア

本稿の元記事が冒頭に引用している写真が本屋さんの画であるが、つい引いてしまうぐらいの、え、本屋?ロックダウンの再開がそこから…?!という予期せぬ攻撃は、ここのところ日課化して見ている彼↓にとっても、嘆くしかない破壊力であったようだ。お気の毒に。

スペイン

EU内でも最も厳しい緊急措置が敷かれている一方で、建設業界、工場関係などは既に先週から、段階的な再開が許可された。ホテル・レストラン・カフェ(HoReCa業界と言い習わしている)、並びに公共施設(博物館、映画館、大規模小売店舗など)は、少なくとも4月26日までの閉鎖が確定している。
…スペインでさえ、もしかしたら4月中にHoReCaが復活出来るの??スペインがOKで、ベルギーが5月3日まではNG、という判断の分かれ目はどこ??

UK

集団感染理論に固執した結果(?)ロックダウン突入が遅れたため、ロックダウンの結果というか成果を評価する作業としての、緩和策のステージにはまだ至っていない。それ以上でも以下でもない、と、突き放すように記述(^^;
ノンシャランで行くと、こういう目に遭いますよ、という例示に、今後も使われるのであろうな…。

ドイツ

800㎡以下の中小規模店舗は、今日にでも再開OK。自転車、自動車、書店などは800㎡を越えていても(密集が予測されないため)再開してよし。ただし、州によりOKとNGの基準は異なり、国内一律、ではない。
これがドイツで実施された最初の緩和措置である。学校は閉鎖のまま。カフェ、レストランについても同様。
とは言え、本稿ヘッダ画像はドルトムントの繁華街のものらしいのであるが、この1ヶ月強、ロックダウン下のブリュッセルで生活してきた者としては、ギョッと目を剥く光景でしかない。

うっわーこんなに人がおる!マスクも大してしとらん!ありえへん!やだやだ止めてくださいー!
…という反応となるのだなあロックダウンを1ヶ月強経ると。

ポーランド

公園、ビーチ、森林などへの外出は自由化。13歳以上の年少者は勝手に遊びに出ても良い。スーパーマーケットでの入店可能者数も緩和、教会での宗教行事も基本的に全部緩和。
ポーランドは国内の緩和措置をこれからの2ヶ月間で段階的に実施し、6月には国境開放に持ち込むスケジュールを立てている。
…えらく楽観的じゃないか!それが、確たる数値的背景を持ってのことだったら良いんだけど、差別っぽいけどゴメンけど、旧東の国のやることって、そこらへんホントに信じて良いのかなあ…?感が抜き去り難く。

オーストリア

マスク着用を条件として、既に先週から相当数の店舗が再開している。来週にはヘアサロンと大規模小売店舗の再開が伝えられている。

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ヘアサロンて!ソーシャル・ディスタンスと使用器具の衛生保持という2点から、実はめっちゃ再開のハードル高くね??と言われている業態なんだが。
それにしてもオーストリアの首相、サンダーバードというか桑田真澄の息子というか、を彷彿させるであるね。

デンマーク

ヘアサロンも歯科医も先週から再開。4月15日から、初等教育期間も再開。ヨーロッパ内最速で、コロナ対策を終了した国がデンマークであるという。
あと残ってるのは、10人以上の集会禁止、というもので、これも5月10日に終了する予定だとか。

ノルウェー

保育園と幼稚園を本日再開、小学校は来週(4月27日)再開予定。
自宅でのテレワークは引き続き要請されているが、ヘアサロンは今週から再開が可能とされてもいる。

スウェーデン

この国の独自路線は、おっかなびっくりも含めて、出来るところまで続いて欲しいなあ、という、欧州他地域の祈りとやっかみも含めた思いの至るところとなっている。

例えばベルギーで、既に恐れられている「コロナ第2波襲来」が発生してしまった場合、そのタイミングはスウェーデンのような「未ロックダウン国」と、どうリンクするのかしないのか、ということが検証対象になるのかな?とぼんやり予想する。

元記事は、欧州外やアジアの短い分析を加えているが割愛する。

2020/04/20(月)19時のニュースから

感染が判明し入院している人の数: 4.871(前日比+265)
のべ感染者数:38.496
新規感染者数:1.313
ICU収容患者数:1.081(前日比-38)
のべ退院者数:8.757(前日比+409)
のべ死亡者数: 5.683(+76が病院、+154がWZC:計+230)

こういうまとめ記事を、フランダース国営放送VRTが出すことによって、コロナ禍そのものとは別の、国家危機管理体制や、そこからの出口政策を構想する為政者側の人材不足を、結構あからさまに見せられている気がする。

比べて見ると、何かベルギーって、ただおろおろしてるだけじゃね??という印象を得てしまうのだな。

まああの、国内政府が4つもあって、上意下達一気通貫!的な政策運営が運命的に出来ない国、というハンデはあるにせよ。

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