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世界中で物議を醸しているムーランに対する中国ネット民たちのリアルなコメント

週末、世界中で話題となっているディズニー映画「ムーラン」を観に行きました。

プロモーション映像が出た時から注目していた映画です。その後、撮影の遅れで公開が延期され、コロナの影響で上映が延期され、海外ではオンラインのみで公開されていて(各国のSNSで炎上やボイコットも呼びかけられている)、そしてついに中国で上映が開始されました。

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(↑3Dの上映でチケット代プラスオンライン手数料で51元でしたが、北京市政府の消費促進キャンペーンで20元のクーポンが使えるから31元(約470円)で観ることができました。Disney+だと30ドルでしたっけ。)

世界中で物議を醸してますが、中国のネットでも賛否両論が激しい。批判と期待はプロモーションビデオが公開されたときからありました。

↑このnoteで紹介したのが1年以上前です。

中国では公開されてからますます議論が白熱しています。その中で興味深い声を紹介しましょう。(念のためネタバレの部分から少額有料にします、有料の部分まではネタバレなしです。)

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↑「douban」という中国で最も影響力のある映画口コミSNSでは、公開されてからわずか10日間で約19万人も評価を投稿しました。その結果、10点満点中の4.9点。

ユーザーの賛同を最も集めた2つの口コミはそれぞれ

「主演女優もムーランも物語も大好きで楽しみにしてましたが、史上最悪のムーランでした」
「外国人の中国の物語についての理解と表現は訳がわからないです。理解しようと努力しても、あまりにもロジックがなさすぎて全く楽しめなかった」

とかなり辛口な内容でした。他の投稿を見ても、悪評は基本的には

「映画の表現も、ムーランの物語への理解も、中国人的には西側からの偏見を大きく感じるものだったので良くなかった」

に集中しています。外国人から中国への偏見を感じるときに中国人は攻撃的になりやすいです。これについては以前にもD&Gへのボイコットの際に紹介しました。

一方で好評は、大きく2種類の意見で

「中国要素があると言ってもディズニーのプリンセス映画だから、深く考えずに普通のハリウッド映画として観ればそれはそれで面白かった」
「ネットで散々叩かれたから面白くないという前提で観に行ったのだけど、意外と良かった」

となかなか消極的なものです。僕も事前にたくさん悪評を読んだのでとても心配でしたが、観たら普通に面白かったですけどね。

ということで、全体的に批判的な声の方が強いといったところ。この批判について理解できなくもないです。批判は化粧、CG技術、歴史の不整合、撮影までさまざま。まずは作品中の化粧が滑稽という点について。

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↑上の仲人役は中国のベテランの大女優で、年をとってますが美人です。でもさすがにこの化粧では美人どころか、ちょっと怖いほど。

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↑ちなみに中国の作品で二人が共演した時はこんな感じでした。唐の時代の化粧はそれが流行りだからしょうがないかもしれませんが、ちょっとやり過ぎな感じを受けます。

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↑ちなみにこれは、ちょっと前中国で流行った唐の時代のドラマの化粧と衣装です。

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↑左が「本当の唐の化粧と本当の芸者さん」、右が「アメリカ人が思う唐の化粧とアメリカ人が思う芸者さん」

敏感な中国の方々はアメリカからの偏見と傲慢が感じられたそうです(実際にはあったかどうかは別として)

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↑おまけでこんな遊び画像もあったのでついでに貼っておきます。

次に、CGのクオリティーがいまいちという評価がたくさんあったことについて。

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↑作品ではCGで作られたフェニックスが数回登場しますが、「薄っぺらの感じでまるで凧」だと突っ込まれました。「2億ドルも投資してるんだから、もっとうまく作れたでしょう」との意見も。

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↑ちなみに、これが最近流行っている中国のファンタジー系のネットドラマでのフェニックス。

また、時代と歴史背景も中国人の視聴者にはとても違和感との意見も多数ありました。

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↑ムーランは南北朝時代(西暦420-589)の人で、唐の時代(西暦618年-907年)の化粧をしていて、宋元時代(960-1368年)の建物に住んでいるという矛盾。「中国への配慮から一つの時代をテーマとしないことにした」との記事も見ました、ロジックがあまりに杜撰なように思います。

さらに撮影にも批判が。中国での撮影で、とても綺麗なところを使いたい気持ちはわかりますが、すごく広い国なので場所によって風景がかなり違います。作品ではそれらが凝縮されていて、中国人からしたら違和感だらけ。「まるでどこでもドアを使ってる感じ」とのこと。

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↑これらはほぼ一番南にある福建省。

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↑これは一番西側の新疆の砂漠

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↑西北エリアの一番東にある甘粛省。Danxia landformという非常に特徴ある場所。

もちろんこんなに歴史があって広い国の文化を理解して、みんなが納得する作品にするのは相当難しい。でも期待されていただけにショックも大きかったようで、なかには同じくハリウッドが作ったヒット作品「カンフーパンダ」と比較している人もいました。

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↑同じくdoubanでの点数が10点満点中の8.1点でかなりの高得点です。文化への理解や、戦うシーンやセリフにも満足しています。ムーランは、唯一の中国ディズニープリンセスとして、過剰に期待されたところがあるかもしれません。

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↑映画のオープンニングは上海のディズニーランドのお城でした。

これからは少額有料、ネタバレを含む内容へのツッコミと批判内容。

※中国のディープな視聴者のものも含みますので、日本の皆さんにはロジック的に理解できない部分があるかもしれません。

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