中国で急速に進むリモートワーク。各社の素晴らしい社会貢献がビジネスにつながる
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これから数回のnoteでは僕が体験して・観察した中国のリモート環境について書きます。(1回目はリモートワーク用ツールについて)
中国はコロナウイルスの影響によって春節休みが伸ばされ伸ばされもうすぐ一ヶ月、今でもまだ社会復帰してない人がたくさんいます。
そして、休みが終わったとは言え、多くの会社は在宅勤務政策に従っています。小中学校や大学も教育部(日本で言う文部省)の指示に従い、無期限の在宅講義モード中。
社会の半分以上はリモート状態だと言っても過言ではないかもしれません。
■大手インターネット各社のビジネスツール
いきなり普通の職場での仕事からリモートワークに転身するとき、最初に解決すべき問題はコミュニケーションと思います。
そして、中国のインターネット企業大手はどこもtoB向けのIM系ビジネスサービスを提供しています。
チャットやビデオ会議の機能はもちろん、カレンダーやファイルの共有、プロジェクト管理や目標の共有などたくさんの機能があって、もはやただのビジネスチャットツールではありません。その中でも強いTop3は
・Alibabaが運営している「钉钉」(DingTalk)
・Tencentが運営している「企業微信」(仕事向けWechat)
・ByteDanceが運営している「飛書」(Feishu)
それぞれに特徴があります
・「钉钉」は人員を管理しやすい。日常のコミュニケーションはもちろん、タイムカード機能やオンライン会議機能も優秀。
・「企業微信」は使い方はほぼ微信そのもの。たとえデジタルに詳しくない人でも簡単に利用可能。もちろん普通の微信をアップデートしていて、例えば微信だと最大9人しか同時にオンライン会議できないが、最大300人が利用可能、画質も一般の微信より優れている。
・「飛書」は特殊、もともとIM系のサービスでなかった。だからこそ他よりも近代的で、IM機能はもちろん、他にもカレンダーやオンライン会議、ファイルなどが全てIM機能と結ばれていて、画面遷移せずに操作できる。
特に注目してるのはByteDanceの「飛書」で、「钉钉」や「企業微信」よりもっと仕事のコミュニケーションを大事したいって感じを受けます。
Slackに近いのですが、デフォルトで用意された機能がSlackより充実していて、痒いところに手が届く感じ(もちろんAPI連携とかも可能)。
ByteDanceに転職していった元研究員も「飛書をいつも使っててとても素晴らしい」と自慢げに話してました。
■各社のCSRが素晴らしく利用者が拡大
各ツールの機能や利用者レポを見ましたが、どれも優秀。そしてこの3社は、大変な状況に直面している中国企業と在宅勤務者を救おうと社会にたくさんのGiveをしています。それぞれの取り組みは
・「钉钉」は利用ユーザーの急増を救うため、緊急で10万台のクラウドサーバーを増強(毎度規模が凄いよなAlibabaは...)。
・「企業微信」は最大100人の会議システムを最大300人利用可能まで拡大。
・「飛書」は100人未満の中小企業、学校、政府機関などに対して、月一人あたり50元利用料の商業バージョンを3年間の利用無料とした。
突然の国難の中、強制リモートワーク社会に突入し在宅勤務を強要されるみんなのために、各社ともこうした決断と行動を起こせるのが凄い。
もしかしたらこういう事態を想定してたのかもしれませんね。
みんながとても感謝しています。
そして不謹慎ではありますが、まさに今こそがtoB向けIM系ビジネスツールの王者を決定する争いとなるのかもしれません。
■「钉钉」の学校への普及と落とし穴
そんな中、アリババの「钉钉」が学校で積極的に使われるようになりました。冬休みが延長されたことは子供の教育へ大きな影響があり、教育といえばジャックマーですね。
学校に行けない生徒たちに向けて、教師たちが「钉钉」を使ってオンライン講義を始めるようになりました。
↑福建省だけでも2000以上の学校が「钉钉」で授業を。「企業微信」や「飛書」も使われているだろうが「钉钉」が目立ちました。
でも冬休みが長くなって喜んでいた子どもたちからしたらこれは地獄。「钉钉」への憎しみが溢れ、ストアに低評価書き込みして荒らしました。
その名も「5つ星あげるけど毎回1つ星を5回に分けてな!」、恐ろしすぎる。。
「钉钉」のAndroidストアでの評価は4点台から1.3に急落。(評価は気の毒ですが、この11億回ダウンロードってヤバイですね)
■しかしアリババはここでも超優秀なのです
それに対して钉钉も「どうかお許してください」という表情包がいっぱいのめっちゃ面白い動画を作りました。
↑ざっくり「みんな、悪いのはこのアプリでは無いよ、僕らハゲるまで残業して頑張ってるんだ、1点付けるのはご勘弁ください」って内容。
経験あるプロたちが子供たちへのアプローチを論理的に考えてたらしいけど、「子供の気持ちわかってない!」と一蹴して若手社員が考え打ち出したとか。この動画の大反響で評価を取り戻しました↓
また、一連の流れがバズったことで「钉钉」がすごく使われているってことを社会にアピールすることに繋がりました。動画はWeiboだけでも再生1330万回(2020年2月20日時点)、もはや強烈なプロモーションですね。恐るべしアリババ軍団。。
日本でのリモートワークでも、新たなサービスが登場したりするのでしょうかね、絶好のチャンスだと思います。みなさんの参考となるよう、今後も各社の取り組みをチェックして紹介したいと思います。
次回は、教育分野のリモートへの取り組みについてを書きます。
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(参考資料)
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