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中国ダブル11セールのデータ。衝撃の結果と大流行の“振る広告”ジャンプハラスメントとは

2023年で15年目のダブル11ビッグセールがひと段落しました。年々更新されてきていた記録発表はまだ鮮明に記憶に残っていますが、今年はかなり異質な感じ。ボクも周りの友達も「気づいたら今年のダブル11って終わってましたね」という感想でした。

こんな感想だし、あまり欲しいものないですと言いながらも、結局数千元は使っちゃいましたがね。

日本のメディアで多く報道されたように、メーカーや小売業者もみんな苦戦しています。ただ、経済がよくないからみんな消費しない、ダブル11に使うお金がない、というのは中国経済やばい煽りの誘導。実際のデータを見ればそうではないです。

↑ただ中国の若者の失業率が高いって書きたいだけの記事なのかな。その後の繋ぎがめちゃくちゃに感じました。

中国国家統計局のデータによるとEC販売は増えている。2023年1月〜9月の間、中国のEC販売総額は108198億元で、同比11.6%成長しました。内訳は実物消費のオンライン販売総額が8.9%増の90435億元、社会小売り消費総額の26.4%を占めます(もはや数字がデカすぎてよくわかりませんが)

一方で、ダブル11の注目度は明らかに弱まっています

ダブル11に関する検索量の推移のグラフ

百度指数から見れば、今年の検索量が前年比60%減。最も注目された2017年に比べ、雲泥の差と言っても過言ではないです。

Weiboのトレンド入りの推移

また、最も重要なバズり指標と社会認識されているWeiboのトレンドにおいても、ダブル11関連のタグは2019年の8時間弱のトレンド入りに比べ、今年は3時間未満でした。しかも、そのタグ名は「ダブル11は全然売れてないじゃないですか」。

つまり、「ダブル11」の魅力と影響力は大幅に低下。オンラインショッピングの規模は伸びている。という状況です。

以前のnoteにも書いたように、ダブル11は最初は11月11日にセールで買えるだけだったのですが、年々割引のルールが複雑になりました。毎年1番お得に買える方法が変わってますので、サクッと安く買いたい人にはうんざりと思う人が激増。

↑去年書いた2022年のダブル11セールのまとめ。ネット民からの文句が凄まじく、これで見切りをつけた人も多かったかもしれない。

また、割引前に値上げしてる業者が増えたり、ダブル11じゃない日も売れるようにいろんな買い物祭りが作られたり。ここが一番お得な時でなければ、わざわざダブル11に買う必要がなくなりますよね。

それを示す報道もたくさん出ています↓

記者の統計によると、Tmallだけでも過去1年間の約2/3の日はなんだかんだの買い物祭りでキャンペーンをやってました。多すぎますな…

ネット民の議論も、計算に計算を重ねて買ってもそんなに安くならない、1番安い時間帯は夜中、ずっとライブ中継を見なければならないなど、お得感のなさに関する意見が多いです。

一方、各プラットフォームがあまりにも頑張りすぎで、今年もまた面白い現象がありました。

とにかくECアプリに誘導しようという気持ちが強過ぎるのかな、スマホをいじれば、どのアプリからも様々なルートからいきなりタオバオやPDDなどの買い物アプリに跳转(ジャンプ)されます。ボクの周りではこれをジャンプハラスメントと呼んでます。

ちなみにボクがよくはめられたのはこのパターン↓

フォローしてないアカウントですが、タイトルも普通。面白そうな書き込みや画像をアップして、その画像にリンクが設定されていて、押すとすぐにタオバオにジャンプされます。

どうしても文字よりも画像が先に目に入るから、自分がフォローしてるアカウントが面白い画像をアップしたかと思って拡大したら結局タオバオに飛ばされます。「またかよ」と愚痴を言いながらも、こんな被害者がめちゃくちゃ多いらしいです。

さらにこういった“隠れジャンプ施策”以外にも日本にはなさそうなウザい広告の仕組みが話題に。それは“振る広告”

有名な警察インフルエンサーによる書き込みで、「ダブル11の前日は、ありとあらゆるアプリを開くとき、爆弾を持っているようにスマホを持たなければならない。スクリーン触っちゃだめ、スマホを揺ちゃだめ、絶対的な安定を5秒維持すれば、やっと危険解除ができる」

この書き込みは非常に大きな共感を得ました。

-すべての道はローマに通ずではなく、すべての道はタオバオに通ず

-(揺でジャンプされることを回避するため)スマホを机の上に置いて指で操作してる
-ソファに置いて使ったが、体勢変わっただけでジャンプした…

-朝急いで配車アプリを立ち上げたら、そのアプリ自体の表示が一切表示されず、そのままタオバオにいっちゃったよ。時間がないのに。。
-Weiboが数日前からそうだったよ、起動ページだけでなく、タイムラインもコメントページもすぐジャンプされる

-広告の閉めるボタンのxを押したのに、タオバオにジャンプしたんだけど

-ある日、“バランス爆弾”を持つ女性が無事に救出されました。SWATのみんながその女性の安定感に感服しています。なぜこんなにブレないことができるかと尋ねたら、「ブレるとタオバオに飛ばされる」と回答
-中国ネット民全員バランス爆弾対処できちゃうな

これには経緯があって、実は中国ではかつて、アプリの起動ページでの広告表示がえぐかったです。広告をアクセスしなければ起動できなかったり、広告の閉めるボタンが表示されてなかったり、利用者から絶大なクレームが来たわけです。

業界がより健康に発展するため、2021年11月に中国の工業と情報化部が「情報通信サービス感知向上行動に関するお知らせ」を出し、アプリの起動広告にわかりやすい「クローズ」ボタンの設置や、ユーザー許可なしのジャンプの禁止などが行政指導規定で示され改善されるかと期待されました。

しかし、抜け道を探すことでは世界一の中国のみなさんです。スマホの技術の向上に伴い、広告ページが表示されると「スマホを振って広告にジャンプする」という機能が多く現れました。振ったら=許可したとの設定で、本来は気つけば回避できますが、微動でも認識されるよう設定されたアプリが多く、“ジャンプハラスメント”の嵐となっています。これは日本のアプリでもありますか?

これに対しての中国ネット民の皆さんのいじりも最高のエンタメです

「振るかアクセスすれば第三者アプリにジャンプする」が多動症治療の一環になってもいいくらいと揶揄されてます

もちろん、HuaweiやXIAOMIなどのアンドロイドはシステム設定によってこのようなジャンプが回避できますが、iPhoneの場合どうすればいいかまだわからないです。Appleさんソリューション頼みます。

*11月15日追記
なんとアップルが降るジャンプ機能を使わせないように制限するという情報を発表。アプリは振動センサーの権限がなければこの機能が使えず、アップルがその権限を付与しないようにするとのこと!ありがとうAPPLE!!

ということで、違う方向にはかなり盛り上がっていた2023年のダブル11セールでした。また、EC業界にガチ参入してきたビック企業もいた話は後日アップします。ぜひフォローしてご期待ください!

(参考資料)


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