見出し画像

中国ではネットいじめを防ぐためのオンライン証拠保全サービスが充実している

※「公证云」のキャプチャに不具合があり修正いたしました 2020年6月15日

先日書いた「オンライン裁判所」についてのnoteはたくさん方にアクセスいただきました。こういった分野は日本よりも中国の方が先行しているのかと思います。

中国でもオンラインでのいじめは度々問題となります。最近でもある書き込みに対して議論が起こっています。

画像1

このコメントの意味は

いかにネットいじめに対応するかは、今や子供の生存スキルの一つになりました。デジタル世代ではない親はまだ「ネットいじめ」の危険性を理解できていない、あるいはどう対応すればいいかわからないかもしれません

議論はとても興味深いものでした。なかでも「どのようにいじめの証拠を保持しておくか」についてたくさんのコメントがありました。

日本でもSNS(主にTwitter)での誹謗中傷の際に、いじめられた側が誹謗中傷を行ったアカウントや人物を特定して告発することは、技術的、金銭的にもハードルがあることが話題になってましたね。

中国ではこれを簡便に行うためのサービス(Webもアプリも)が存在しています。「オンラインでの証拠保全サービス」です。

代表的な「オンラインでの証拠保全サービス」は「移动公证」「公证云」「权证链」の3つ。主にオンラインまたは通話での証拠の保全を行うためのサービスです。それぞれのサービスを見ていきましょう。

■「移动公证」の場合

最も使われているオンライン証拠保全サービスです。

画像2

通話の録音や録画、ウェブ、メールやツイッター(ウェイボ)などのキャプチャ、データ証拠の代理保存などのサービスがあります。録音や録画、キャプチャの証拠保存は無料で、公証書を発行する場合は有料となります。

画像3

実際の裁判の際にも、このアプリが利用された実績があることが公開されています。

画像4

↑事故現場や金銭トラブル、商業交渉、消費者権利侵害、名誉毀損、知的財産権利主張などのケースに利用できます。

画像8

もちろんアプリもあります、4.9と超高評価。最大手なのでダウンロード数やコメント数もすごいです。

■「权证链」の場合

こちらも「移动公证」と概ね同様のサービスを提供している、そして全国の1301の公証機構と業務提携していて、公証書発行がすばやく可能。

画像6

また、北京のインターネット裁判所と業務提携しています。証拠保全以外にもデジタル契約書の利用を行うことも可能です。(デジタル契約についても以前noteで紹介しました、よかったら探してみてください)

画像9

こちらもアプリがありました。ブロックチェーン、データの暗号化、安全なクラウドストレージで電子証拠が改ざんされることを防ぐとのこと。

中国だけに限らないかもしれませんが、Webの情報は特に簡単に改ざんされてしまうことが多い。絶対に改ざん不可能なブロックチェーン技術は中国で積極活用されています。

「公证云」の場合

「公证云」はアモイの会社が開発・運営しています。(「移动公证」と「权证链」が北京の会社が開発・運営)

画像5

こちらもブロックチェーン技術を利用していて、ウェブとアプリで簡単な証拠保存は無料で提供されていました。

画像9

「保障隐私,绝对安全」とのことなので頼もしいです、でもコメントが一個しかついてなくちょっと心配...

オンライン裁判所を調べているときにも感じましたが、ネットでの誹謗中傷やいじめ対応については中国の方が進んでいるのではないでしょうか。

こういった仕組みや技術面はもちろん、SNSアプリ自体でもWeiboとTwitterでは予防するための機能にかなり差があります(日本企業が運営している大きなSNSって何があるんだろうか)。学ぶべき内容がたくさんあるように思います。

(参考資料)


よろしければサポートをお願いします。Twitterも良かったらどうぞ! https://twitter.com/bijingbball