見出し画像

中国のオンライン裁判所はネットでの誹謗中傷やいじめ問題をたくさん解決していました

ネットでの誹謗中傷による問題は度々話題になりますね。もちろん中国にも存在していて、「暴力」(ネット上での暴力)や「人肉搜索」(過剰に個人情報やプライベートを晒す)による被害は日本のものよりも過激かもしれません。

こうした被害を食い止めるため、中国ではたくさんの対応が行われています。中国のSNSの「Weibo」もTwitterにはない独自の機能を実装するなどの対策をしていることは以前紹介しました。

また、中国ではオンライン裁判が運用されていて、ECサイトでの問題解決でどのように活用されたかの例を先日noteに書きましたね↓

このオンライン裁判は、名誉毀損やいじめなども含めた人格侵害の防止にたくさん活用されているのです。

詳細なデータがいくつか公開されていました。

北京のオンライン裁判所が公開したデータによると、2019年1月1日から2019年11月30日まで、北京オンライン裁判所が処理した案件は合計41948件(うち33521件が結審)もありました。そのうち、ネット権利侵害責任案が3836件で、名誉毀損案が1075件

画像1

実際の侵害主体(被告)から見れば、30歳未満の被告が全体の70%を占めます↓

画像2

また、芸能人も積極的に権利主張してます。原告の中には34人の芸能人がいるそうです↓

画像3

権利侵害行為の内訳を見ると、侮辱的な言葉による書き込みや、事実の捏造などが多いです。また権利侵害行為が起きたプラットフォームの割合はWeiboが最も高く、その次はWechatの公衆アカウントでの発信、次いで豆瓣(Douban)でした↓

画像4

特に芸能人の場合では、訴訟することによる目的の多くは「捏造された事実の弁明」や「他の攻撃者への警告も含めての公開的な謝罪」が多いようです。以下に具体例を挙げますが

画像5

↑芸能人への侮辱の権利侵害をしたアカウントで30日間の詫び状公開と訴訟費用の全額負担の判決が下された。

画像6

↑実際の手書き謝罪文。ごめんなさい作文させられ晒されます。。

冒頭でも触れた、「网络暴力」(ネット上での暴力)や「人肉搜索」(過剰に個人情報やプライベートを晒す)による被害は中国のネット上にもよくあります。これらはネット環境の管理の一環として禁止されてます。

紹介してきたようなオンライン裁判までいかずとも、SNSなどには違反報告の機能が備わっています。

画像7

↑例えばWeiboでタオバオに対して「違反報告」しようとした場合、「私への人身攻撃」という選択肢を選べば、具体的にどんな侵害を受けたかを入力でき通報できる、その後プラットフォーム側が処理してくれます。

さらにWeiboの場合は各ユーザーには信用評価点数が定義されます。この点数によって利用可能な機能が定義されていて、頻繁に他人の権利を侵害する場合はサービスが利用できなくなる可能性もあります。

また「政务微博」(いわゆる政府系のアカウント)や公益系のアカウントなども積極的にネットいじめへの対応方法を発信してます。

画像8

↑こちらはネットでいじめに遭遇したら、どうやって身を護るべきか?についてのビデオ。

また、名誉毀損やいじめに遭遇した際にどのように対応し、利用可能な法律があるのかをまとめているサービスもあります↓

画像9

ちょっと長いですが簡単に説明すると

1.侵害された時の証拠保全対応
2.影響が拡散されないよう、素早く運営者に連絡するように。また、運営者が協力してくれない場合、連帯被告として訴えることも可能と提示
3.訴訟に当たって必要な被告情報や適用の法律提示
4.法的に支持できる訴求(民事の場合)
5.刑事裁判になる場合の紹介

こういった親切の説明があれば、弁護士と相談せずともどう対応すべきなのかもだいたい把握できますので、状況に応じて適切な対応ができる可能性が高まりますね。

ネットでの誹謗中傷やいじめ対応については中国の方が進んでいるのではないでしょうか。日本も多分に取り入れるべき内容があるように思います。

(参考資料)


よろしければサポートをお願いします。Twitterも良かったらどうぞ! https://twitter.com/bijingbball