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中国Vtuberのレポートと今後の考察。ビリビリ動画で誰でもVtuberになれる世界

日本のみなさんが見ているYouTubeではVtuberの動画が上位を独占してきているではありませんか。そして中国でもビリビリ動画を中心にVtuberのコンテンツがどんどん伸びていることを以前紹介しました。

今日はその続編。Vtuberのなかでもバーチャルアイドル市場について中心です。中国のバーチャルアイドル市場規模はここ数年で飛躍的に成長していて、2022年で13億元に達すると目されています(艾瑞咨询の2022年の研究レポートより)。

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大手コンサル「艾瑞咨询」のレポートではコロナが市場を大きく成長させたこと、今後も同じペースで成長することは難しい理由、などが分析されていました。2022年で13億元の市場は3年後の2025年には3倍弱の34億元まで達するとの予想。

中国では2019年まではバーチャルシンガーが市場を牽引していましたが、2020年には在宅で消費されるエンタメ需要の高まりと、国内大手ネット企業でバーチャルコンテンツがプッシュされたこと、各社のプロモーション活動の強化などの要因で中国のバーチャルコンテンツの視聴者が急拡大、収益も急速に上昇。その後も成長は続き、2021年からはバーチャルアイドルのリアル化が進んでいる。

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↑描写も多様性を増している。2Dアニメ風ってもはやバーチャルヒューマンなのかはさておき、3Dになり、最近では実写に近い純CGの配信者もどんどん増えてきている。

ただ、中国でもVtuberコンテンツはまだまだ課題も多いのです。普及が進んでいるとはいえ完全なマス認知を得ているわけではないし、他コンテンツと相対的に比較すると2次利用コンテンツの量も質も高くない。また、Vtuberコンテンツは収益源が単一であることや「中の人」への依存度が高いという制約に直面しています。

ご存知のように、中国の動画プラットフォームはYouTubeのような再生回数によって広告収益を得るようなスタイルではないです。コンテンツの配信者はバーチャルではあるけど実際には顔出しの配信者と同様にメインの収益源はライブでの投げ銭。 そして、リアル配信者と違ってバーチャルコンテンツ配信者は企業向けや商業的な側面でのチャンスが少なく、一部のトップクラスのVtuberだけがスポンサード契約できているのが現状。

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結局、VtuberもVRコンテンツも表現方法の一つで、そういったコンテンツ配信者は実際に現実から切り離されているわけではなく、仮想の姿をリアルタイムで演じる「中の人」とリンクしている。人依存で「中の人」や「チーム」が悪い評判を出せばバーチャルコンテンツにも影響がある。本当の意味でリアルな世界(人間)から離れたコンテンツではないということ。

また、中国ではVtuberやVRコンテンツはまだまだニッチ。ポジティブに考えればまだまだ伸びしろがあるということで、レポートでは調査したうちの16%の人がバーチャルアイドルをフォローして視聴したことがある。 さらに、そのうちの78%が日本や韓国のバーチャルアイドルを、32%が欧米のバーチャルアイドルをフォロー。にじさんじの成功のように、日本のVtuberは中国でのチャンスがあるのかも。

ただ、現時点ではフォロワーの評価を中国の配信者と海外の配信者で比べるとすべての項目で50%以上のフォロワーが中国のものが優れていると評価していて、特に親和力、言語、容姿、人格、才能レベルの5つが顕著な強みとのこと。海外勢は中国を狙うなら“本土化”を考えないといけませんね。

そしてもう一つ気になることは、プラットフォームの推しです。

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↑例えば中国の二次元文化の代表的なプラットフォームであるBilibliでは、中継主向けのVtubeセットも販売しています。ほとんどUGCですが無料のものもあればなかなか高額なものもあります。つまり、これらを調達すれば運営社がなくても誰でも簡単に「中の人」になれるということ。

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↑3000元以上のLive 2Dを設定すると高めなものも結構あります。この4000元の「高精度、全身動ける」商品を見てみました。

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↑実際にどんな感じで動くか、簡単の操作も試すことができます。

こういうものがあれば、参入のハードルが一気に下がりますね(もちろん競争力を高めにするため有料の方がいいです)。そしてこれもいい商売になります。

そしてコンテンツの生産者にも消費者にも、このようなものが慣れて普及していくことでメタバース全体の普及がより進んでいくのだと思います。

また、言うまでもなく今後の発展には技術的な進歩とメタバースのさらなる発展に期待ですね。会話内容が自動生成され、さらに実際の人間に近い動きや声、抑揚やイントネーションでリアルタイムに対話する機能の向上次第では完全AIのVRコンテンツも夢ではないでしょう。この分野も先行する中国から何が出現するか楽しみです。

(参考資料)


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