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【シベリア鉄道の旅】第6日目

ついに6日目まできました。あと1回寝ればモスクワに到着です。買い込んだ食料も残り少なくなって来ました。6日間も風呂に入っていないせいかフケも気になるようになって来ました。

今は早くモスクワに着いて、野菜を食べたい、下着を洗いたい、シャワーを浴びたい、広いベッドで寝たい、美味いコーヒーを飲みたいと、ひたすらに考えています。

この鉄道が欧州へ渡る主要ルートであった昔の人々の苦労が忍ばれます。きっと皆同じ気持ちになっていたのでしょう。飛行機が手ごろになり安く早く食べるようになった時代に、時代に逆行し、こんなに不便で、不健康で、しかしながら一昔前には正方向であったルートで欧州に向かうという経験はきっと一生の思い出話ですし、何かの糧になるでしょう。

とこんなエモい気分になっていますがあと24時間あります。しかしあと24時間でこの長い旅も終わるのです。

この1週間、車窓から見える風景は一面真っ白の銀世界です。一見単調にも見えますが、単調の中にも、日によって、少しずつ変化が見えて、飽きることはありませんでした。

ひたすらに続くツンドラの森、凍った大河、枝まで真っ白く染まった木々と真っ青に広がる空のコントラスト、雪化粧された広大な大地と遠くにそびえ立つ高い山、小さくまとまった茶色い家々の集落。

9300キロのシベリアの大地は毎日異なる景色を見せてくれました。写真や映像じゃ伝えられない、言葉でも十分に伝えられない、乗ってみないと分からない景色なのです。

シベリア鉄道に1週間も乗るような人は今の時代中々いません。停車駅に降りれば-20℃の世界を体験できます。

そんな貴重な体験と貴重な景色を見られただけで、1週間の風呂なしも、不健康な食事も、退屈も、言語の壁も、狭い部屋とベッドもどうでも良くなります。

シベリア鉄道の端から端まで乗ることは大学に入り旅にハマってから何となく考えていた夢でした。
1年間の留学の帰りにドイツからシベリア鉄道に乗って日本に帰ろうと思っていましたが、諸事情で素直に飛行機で帰ってきました。
それでずっと後悔していたのです。それで今回、たびにズッポリハマってしまった、学生生活の最後の締めくくりとしてシベリア鉄道に乗ってヨーロッパを横断しようと着想したのです。

モスクワに着いたら、東欧の諸国に寄り道しながらリスボンを目指します。コロナウイルス、事故、テロ。こんな事を考えると、ちゃんと到着できるか不安になりますが、行けるとこまでいってみようと思います。4年間旅の事ばかり考えていた学生生活の総仕上げです。

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