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『Beep21』セガ・アーケード メモリーズ by 元『ゲーメスト』ライター 豊臣和孝 -memory12- アーケード初を謳ったキーボード入力アクション「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」


セガのアーケードゲームが当時ゲームセンターでどのように盛り上がっていたのか、ゲーム史としてどのような位置づけとなるのか、1980年代から1990年代を中心に「あのころのセガ」についてつづる『Beep21』好評連載『セガ・アーケード メモリーズ』
今回は「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」を紹介します。キーボードを使ったタイピングゲームで、まさかこのジャンルがゲームセンターに登場するとは思ってもいませんでした。今回はタイピングゲームの歴史も交えつつ、本作がどのように親しまれたのかを元『ゲーメスト』ライターの豊臣和孝氏が語ります。

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今回の執筆者 : 豊臣和孝氏(元『ゲーメスト』ライター)

豊臣和孝(とよとみ かずたか):1970年生まれ。元『ゲーメスト』ライター。ゲーム雑誌やWeb媒体編集などを経て現在はフリー。都内デパート屋上やおもちゃ売り場、ボウリング場遊戯コーナーなどの幼少期ホビー体験がライター稼業の原点。'90年前後までの玩具、ボード(ウォー)ゲーム、PC関連も得意。初セガ体験は'70年代に出会った各種エレメカ。

ゲームセンターでタッチタイピングする「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」

今回ご紹介するのは、2000年にアーケード版がリリースされた“アミューズメント業界史上初”をうたうキーボード入力アクションゲーム「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」です。本校執筆(2024年4月)時点で約24年前の作品につき、「この世に生を受けていない」「その頃ゲームセンターで遊ぶことは親から許されていなかった」といった方々も当然おられるでしょう。そんな当時を知らない人にまずご覧いただきたいのが、アップライト筐体きょうたいのデザインです。ドリームキャスト用と同じ仕様のキーボードが2台設置されたコントロールパネル(コンパネ)はインパクト抜群! まあ当時ゲームセンターに通っていた我々も、同じように「なんだこれは?」と驚いたわけですが……。

ⒸSEGA キーボードが2つ設置されていた「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」の筐体
ⒸSEGA

本作の主なゲームパートは、同社のガンシューティング「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド 2」をベースにしています。「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド 2」はガンコントローラーを使って画面に向かってゾンビなどの敵を狙い撃ちしますが、「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」は“キーボード”が武器! ゾンビなどの敵が出現する際、それと重なるように四角いウィンドウが表示され、なかにある文章の通りにキーボード入力するとダメージが与えられる、といった具合。

もちろん正確かつ素早くタイピングする必要があり、モタモタしていると敵の攻撃を受けてライフが減り、なくなるとゲームオーバーとなってしまいます。ちなみに入力方式はかなとローマ字に対応。コンパネのキーボード2台からもわかるとおり、2人同時プレイが可能です。

ローマ字入力については、「ふ(FU/HU)」、「ち(TI/CHI)」、「ジョッキ(JOKKI/JYOKKI/ZYOKKI/JYOXTUKI/ZYOXTUKI/JYOLTUKI/ZYOLTUKI)」など一般的な入力方法はすべてOKとなっており、筆者は8bitホビーPCに始まり各社ワードプロセッサー(ワープロ)やPC-9801にX68000などをてきたので「配慮が行き届いているなあ」と素直に感心したものです。

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