『Beep21』 詳細公開! 宮路洋一氏最新作 その全貌に迫る!!
【お知らせ】宮路洋一氏からメッセージが更新されました(2023/03/24)
【2023/03/07】Kickstarterの募集開始とストレッチゴール詳細が公開!
3月1日にタイトルの詳細が明らかになった
宮路洋一氏の新作「Project MBR(コードネーム)。
本作はKickstarterを使い、ファンの声を聴きながら
ファンの実現したい内容を募集額によって実現する
形を目指している。
▼「Project MBR(コードネーム)」のKickstarterサイトURL
今回こちらで「ストレッチゴールの詳細」が明らかにされた!
※「ストッチゴール」とは支援者からの募集金額の達成によって、実現されていく内容のこと。ここでは、ファンからの要望の高い"シナリオモード"の実装なども計画されているという。なお、本作を開発しているジークゲームズSでは、今回すべてのストレッチゴールが達成されなくとも、「Project MBR(コードネーム)」については、長期に渡って進化をさせていきたいとのことだ。
支援金額によって、実装される予定の内容は以下の通り。
【New!】開発マイルストーンの詳細も明らかに!
開発のマイルストーンも明らかにされた。ジークゲームズでは、このスケジュールで開発を進めつつ、ファンの要望なども出来るだけ取り入れたいとのことだ。ファンと一緒に開発を進めるというコンセプトにより、4月からの開発スタートに向けてDiscodeなどの準備も進める予定だという。
【New!】プレッジの詳細も明らかに!
「Project MBR(コードネーム)」を応援してくれたファンへの返礼アイテムもいろいろと用意されている。これらは、支援金額により返礼され、プレッジはデジタルアイテムと物理アイテムの2種類が用意されている。
『Beep21』では今後も「Project MBR(コードネーム)」を応援していきます。ぜひ以下の記事もご覧ください。
宮路洋一氏がいきなり新作を発表!
『Beep21』読者の方には
おなじみの宮路洋一氏。
最近では、メガドライブミニ2に
収録された「LUNAR」シリーズや
「シルフィード」「ぎゅわんぶらあ自己中心派」
について当時の開発秘話を『Beep21』で
語ってもらったのは記憶に新しいところ。
パソコン黎明期にゲーム アーツを
立ち上げ、数々の名作を生み出し、
メガドライブ時代には、メガCDに
積極的に参入。
セガサターン時代には、複数のCPUを
使いこなすのが楽しかった、と語り
「グランディア」をはじめとした
名作を生み出してくれました。
現在も現役で活躍し続けている
宮路洋一氏がなんと新作を発表する
との情報をキャッチ!
『Beep21』では宮路洋一氏に
直撃インタビューを敢行しました!
宮路氏の注目の最新作について
今回は詳細な情報をお届けします!
※本記事はこちらから最後まで読むことができます(※下の「2023年間購読版」もかなりお得でオススメです)
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宮路洋一氏の新作はロボットアクション!その名は「Project MBR(コードネーム)」
『Beep21』でもおなじみの
宮路洋一氏の新作はロボットアクション!
コードネームは「Project MBR」だ。
自ら率いる株式会社ジークゲームズから
SteamとPlayStation®5用ソフトとしてリリース。
2023年3月7日から Kickstarterでブレッジ(※支援)
の募集を開始した。
▼「Project MBR(コードネーム)」のKickstarterはこちら!
こちらで開発サポートをするプレッジをすると、
さまざまな特典が入手できるのは、上記の通り!
ぜひみんなで参加しよう!
世界設定に井上幸一氏、音楽には岩垂徳行氏が参加予定!
本作はリアルな世界観のロボットだけでなく
日本のロボットアニメ的な変形ロボットも登場し、
「戦車形態」「飛行形態」「砲台形態」は、
それぞれゲーム内の戦略にも重要な意味を
持ってくるという。
そして本作の楽曲には「LUNAR」シリーズや
「ラングリッサー」シリーズ、
「グランディア」シリーズ、
「スーパースマッシュブラザーズX」などで
数々の名曲を創り出してきた
岩垂徳行氏が参加!
▼開発スタッフの動画メッセージはこちらから!
▼岩垂氏のこちらのコラムもあわせてどうぞ!
今回の新作にはゲーム制作のあるべき姿と
ファンと一緒に「共創」し、進化していくゲーム
を実現したい、という強い想いがそこにはある。
今回のインタビューは特別に
ほぼ全文を公開!
常に新たな時代の先を切り拓いてきた
宮路洋一氏による最新作
「Project MBR(コードネーム)」
の魅力について、余すところなくお届けします!
3年前から企画されていたロボットゲーム
──宮路さんがいきなりの新作発表するというお話にすごく驚きましたが、本作はいったいいつ頃から企画を?
宮路 企画自体はたぶん3年前ぐらい前ですね。結構前です。元々はゲーム アーツの代表をやっていて、そこではさまざまなゲームを作ってきたのはみなさんもご存じだと思いますが、10年前にジークゲームズという会社を新たに作りまして。今回は新たにロボットゲームを作ることになりました。
──ロボットゲームというと、「ガングリフォン」を思い出しますね。
宮路 非常に面白いゲームでしたよね、「ガングリフォン」は。ここにいる猪俣は当時「ガングリフォンⅡ」から参加してまして、今回の新作の発案者であり、企画もやっています。
宮路 日本だと、結構ロボゲーが好きな人っていっぱいいますよね。本作を企画した当時、ガンダムのアーケードゲームで「機動戦士ガンダム 戦場の絆」がありましたが、あれがかなり流行ってまして。「やっぱりコックピットに乗ってロボットを操縦したいよね」って思っても、そういうゲームって実は他になかなかなくて。ゲーム アーツで作った「ガングリフォン」も、コックピットに乗るタイプのロボットゲームでしたが、そういうロボットゲームを作りたいと、猪俣氏のほうから発案があったんです。実はその「戦場の絆」は、「大乱闘スマッシュブラザーズ(以下スマブラと略すことがあります)」を昔一緒に作らせてもらった際から接点のあった、桜井(政博)さんが、この猪俣とずっと一緒に遊んでまして。
仲間内で遊んでいた「戦場の絆」がきっかけに
──いきなり桜井さんが出てきましたね。
猪俣 私はゲーム アーツ時代にWiiの「スマブラ」に参加し、退社後も3DSの「新・光神話 パルテナの鏡」で桜井さんと一緒に仕事をしていまして。その頃から桜井さんを含むスタッフのみんなで「戦場の絆」をよく遊んでいたんです。最初はPSP版で遊んでいたのが、そのうち本物のコックピットに乗って遊びたいとなりまして。8台連結している筐体って、だんだん少なくなっていったので、8人で遊べるところを探して転戦して、時には入間まで行ったりして(笑)。毎月のようにそんな感じで遊びに行っていたんです。
──埼玉の入間まで転戦とか気合入ってますね。
猪俣 最初の「戦場の絆」はあの(コックピットに)乗り込む感じが良かったですよね。桜井さんはゲームもめちゃくちゃうまくて、指揮とか指示するのもすごく的確で、アーケード筐体では2時間ぐらい8台対戦して、そのあとは帰ってからまた、みんなでPSP版で対戦して、みたいな(笑)。どんだけ好きなの?みたいにやり込んでました。
宮路 そんな話をしていたら「何かロボゲーを作りたいな」ってなって。コックピットに乗って、自分が操縦しているやつを作りたい、みたいな感じで。企画の発端はそんな感じだったと思います。
──ゲームアーツ時代に手がけられた「ガングリフォン」は、1996年にセガサターンで発売されましたが、これは宮路洋一さんの弟の(故・)宮路武さんが作られたと記憶しています。
宮路 そうですね。うちの弟で「グランディア」とかも作った武でしたね。
──あの当時は1995年末に「電脳戦機バーチャロン」がアーケードで登場したりしていましたが、セガサターンで「ガングリフォン」が生れてきた経緯というのは、そもそもどんな感じで?
宮路 元々はうちのスタッフにミリタリーファンが多かったんですね。サバゲーとかもやってて。だけど、単なるミリタリーもののゲームじゃなくて、やっぱりロボットでミリタリーをやりたいっていう、そういう志向があって。それで作ってみようか、みたいな感じでしたね。
──1990年代前後には「バトルテック」とかがありましたが、あれもコックピットタイプのロボットゲーム対戦として流行りました。当時のスタッフの方たちは「バトルテック」も結構やり込んでいたという話を聞いていました。
宮路 そうですね。だけど、やっぱり人の(作った)ゲームを遊ぶよりは、自分たちで作ったゲームのほうが、もっとカスタマイズして面白くなるじゃないですか。そういうこともあって、今回の新作も自分たちで作ってしまおうと。
ロボットだから「初心者も楽しめる対戦ゲーム」ができる
猪俣 「戦場の絆」はアーケードで8人集まって、毎日のようにプレイして「対戦が楽しいな」っていうのがあって。「ガングリフォン」は別に対戦ゲームではなかったのですが、最近はFPSとか対戦するゲームはいっぱいあったりしますよね。ですが「人を操って対戦するゲーム」って、初心者にとってハードルが高いというか、キャラクターがスピーディーすぎて、一定数以上の人は付いていけない感じがすごくあって。もちろん、それを楽しんでいる人もたくさんいるんですけど、ついていけない人はついていけない、というか…。だけど、それが「ロボットとかの乗り物を動かす」っていうものになれば、少しプレイヤーのハードルを下げられる、と思ったんです。
──確かに最近の格闘ゲームは、何フレームの世界での戦いで、ついていけない人が多いかもしれないですね。
猪俣 そういうのに、ついていけないような人が結構多いというのをまずは考えて、自分の操るキャラが多少ゆっくりとしていても違和感がなくて、説得力もあって、それでいて楽しいっていうと、「大きいロボットみたいな乗り物を乗り回しながら撃ち合う」っていうものは、合っているんじゃないかなというのに、気づいたんです。
ロボットのスピードだからこそ、戦術やチーム戦が楽しめるようになる
宮路 あと、僕なんかが見ていても、(スピードが)速いゲームというのは、なかなか「共闘する」のが難しい。自分だけで精一杯になっちゃうんで。だけど、ロボットならば、少しだけスピードが遅いので、戦略や戦術を(他のプレイヤーと)一緒に組んでやるというのには、ちょうどいいと思うんですよね。定型文チャットとかを使いながら「よし、こっちから攻めよう」とか言いながら、ロボットを操る。それ(自機)があまりに速いと、みんな勝手に動いてしまうじゃないですか。そういう意味では、今回の作品はどちらかというと、戦術的なゲームになるんですよね。だからチーム力がすごく重要になる。こういうのは、ロボゲーがすごく向いていると思うんです。
猪俣 たとえばオーバーヒートするとか、ダッシュした後は一定時間だけバーストするとか...。人のキャラクターを操作している場合だと、あまりピンとこない部分も、ロボットの操縦だとすごくすんなり受け入れられますよね。現在はまだ開発中ですが、MOBA(※Multiplayer Online Battle Arena=マルチプレイオンラインバトルアリーナ)の要素として、レーダーとか攻撃施設とか拠点とかを押さえると、相手が不利になるといった感じで、ただの撃ち合いゲームじゃない要素を入れているので、そのへんもうまくバランスが取れていると思います。
▼【動画】「MBR」拠点の占拠(レーダーの起動)
──すると、今回の新作はMOBAということなんですね?
宮路 そうですね。占領するのを目的とするから、攻撃力は低いけど移動スピードが速いとか、それぞれのユニットにも違いを持たせていて、戦術とか戦略がすごく広がるゲームを目指しています。そこはたぶん、今までのMOBAとはちょっと違うものになっていくかな、とも思っています。今世の中にあるMOBAは、結構勝手にプレイできて、「右いけ、左いけ」ぐらいしかないですよね。
──「ここに行け」という指示が基本ですね。
宮路 MOBAは見ているだけの感じなんですけど、僕らの新作はコックピット視点なんですね。MOBAなんだけどコックピット視点なので、どちらかというと本当に「タクティクス(戦略)のあるゲーム」。自分で操縦してリアルに戦場で、チームとして戦うっていう感じです。そういうのって、意外と思った以上にないんですよ。今回はそういうのをやりたいんです。分隊長だから、スコードロンリーダーみたいなそういうゲームがなくて、今回はチーム戦だよね。やりたいのは。
今回の世界は30年後の近未来
──「ガングリフォン」の時の世界設定は、リアルなミリタリー世界で近年はロシアのウクライナ侵攻を予測したみたいなことも言われているほどですが、今回の作品の世界は今から30年後の近未来ということで?
宮路 今回の新作は「ガングリフォン」とはちょっと違っていて。コックピット視点でミリタリー的なロボットモノであることは間違いないんですが、リアリティというのをより持たせたいと思っているんです。ロボット自体は、そもそもがちょっと「ファンタジー」がかっているものじゃないですか。それで当時、「ガングリフォン」の時に何をやったかというと、実は時代考証とか兵器リアリティさというのをちゃんと考えて作る、という作業を最初にやっていて、今回もそれをさらに深くやろうと考えてます。要は「なんでロボットが兵器として必要なのか?」ということについて、「ガングリフォン」の時に考えたのが、戦車とヘリの関係だったんです。戦車っていうのは、第二次世界大戦が終わった直後ぐらいだと、ある意味「地上最強の兵器だった」わけですよね。ところが、その後ヘリが出てきたら、ヘリで上からミサイル攻撃されると弱くなってしまって、戦車は最強の兵器ではなくなったんですよね。でも、一方でヘリは空中に飛べるけど、装甲は薄いのですぐに撃ち落とされちゃうんですよ。そのへんは近年の実際の戦争でも明らかになってきてるところですよね。
──そこで”ロボット”が登場するわけですね。
宮路 そうです。ロボットっていうのはその両方。簡単に言うと、戦車みたいな性能と、ヘリみたいに機動性があって、上にポンと昇ってアタックするとかができる。こういう兵器は2023年現在、物理的にまだ作れないんですけど、「物理的に作れたとしたら強いよね」と。今でもそういう兵器があれば、戦い方が結構違うと思うんです。戦車は上からやられたら終わりなので。ヘリの役割ができる地上兵器というか、地上と空中の「あいのこ」みたいな設定なんですね。そもそも今回はいろんなロボットがいて、例えば変形が機能としてあって、(リアルな戦争でリアルな変形ロボットが登場するのは)これはなかなかないよね、という感じになってます。
宮路 日本のロボットアニメって変形合体が当たり前なんですけど、なかなかアメリカのアニメとかになると単なるロボットしかないですからね。僕らはやっぱりそこはこだわりたいなと思ってます。兵器体系から言うと、戦車とヘリの利点というところから出発しているんですが、そこには日本のアニメとしてのお約束のギミックはちゃんと載せていきたいっていう感じで作っています。
──それで(サンライズ社出身の)井上幸一さんを起用されているんですね。
宮路 サンライズ社は「ガンダム」シリーズとか「ボトムズ」「ダグラム」など、日本のリアル系ロボットアニメを作ってきた会社ですよね。ここで企画室室長をやっていた井上さんに世界設定とか兵器設定とかを手伝っていただいています。
──変形ロボというのは、日本のロボットアニメの定番ですよね。
宮路 元々ゲーム アーツの「テグザー」は変形ロボットですし。
──確かに! そこにも宮路さんらしいルーツがありそうですね。
変形だけでなく「合体」も?
宮路 今回は変形する機体が出てくると思うんですけど、あとは合体を入れたいですね。まだ入れてないですけど、合体は難しいんですよね。
──チームの2人で操作とかできたら燃えますね。ロボットアニメみたいで。
宮路 二人乗り用の兵器とかも作りたいですよね。下は操縦して、上は撃ちまくるとか。そのかわり2人で一機なので、機体が減る分強くするとか、ゲームバランスをちょっと考えなきゃいけないですけど。そんなこともやりたいなとは思っているんですが、どこまでできるかは今後に期待ということで。でも変形はもうできてるんだよね?
猪俣 変形は実装していますので、後で実機でお見せしますよ。「ガングリフォン」の時はまだ現実的ではないかも、というところがあったかもしれないですが、今回の作品ではなるべく現実性のある変形というのを目指そうとしています。今、実機で動いているのだと、戦車形態になるとすごく低くなって、速く滑る形態になるやつとか、あとは「マクロス」っぽいんですけど、飛行機として長距離飛べるようになるっていうモードと、あとは固定砲台というか、ガチガチに固まっちゃう形態みたいな、そういう感じで今は3種類くらいがすでに変形機体として入ってます。
──固定砲台が飛行形態に変形したら最強ですね。飛行形態の機動力で戦線を上げて、有利なところで砲台になるとかできそうですか?
猪俣 さすがに一機ですべてはできないです。飛行形態になる機体があったり、戦車形態になる機体があったりという感じなので、2人で協力すれば、そういう戦い方もできるとかはあるでしょうね。
【動画】砲台形態に変形するロボ
宮路 兵器が違うことによって、先ほど言った「戦術」が生れてくるんですよ。守備に特化したとか、機動力を活かして裏に回り込むとか。敵の位置は最初わからないので。そこも楽しめると思います。
猪俣 そうですね。レーダー施設を確保して(レーダーを)オンにしないと。で、(レーダーが)破壊されると、また見えなくなるとかがあるので、自然と連係を考えるように、知らない人同士が集まってプレイしても、何かを察してお互い頑張れそうな仕組みをいっぱい用意しています。
プレイヤーが”ヒーロー感”を感じられるものに
宮路 そうすると、ヒーロー感が出ると思うんですよね。こういう対戦型のロボットゲームとかって、私も過去にもちょっとやったんですけど、とにかく1人だけがめちゃめちゃ強くなってることがあって。1対50でも、1人だけで50機を全滅させるとかね。そういうのだと、全滅させてるその人だけは面白いけど、他の人は面白くないじゃないですか。だから今回の新作は、1人のヒーローは出ないんです。要は他のプレイヤーとちゃんと連係をして遊んで、協力し合った結果として、「俺、ここで活躍したよね」というシーンを実感できるのが本作の醍醐味で、これは他のゲームでは味わえない面白さかなって思います。
──プレイする楽しみとかすごくありそうですね。
宮路 1人1人の価値や、ヒーロー感を出すために、今回は”ドローン”っていうアイデアを入れていて、やっぱり敵を多く倒せないと面白くないじゃないですか。本作ではドローンを呼んで、簡単な指示を出すことができるんですけど、このドローンは簡単に言うと「モブキャラ」みたいなもので、やられメカでもあるんですね。でも、そこそこ強いので、ドローンをいっぱい落とせると何となくヒーロー感、爽快感を実感できるようにもなってます。僕らが目指しているところは「自分自身もヒーローだってことをちゃんと実感できる」というのがあるので。そういうゲームは他にないので、僕らでそれを作ろうってこともありました。新しい形の「チーム戦をやろう」と。
【動画】飛行ドローンタイプ
【動画】地上ドローンタイプ
ガチャ課金のようなモデルはやらない
──チーム戦ということでしたら、いずれはeスポーツなども開催されそうですね?
宮路 eスポーツについては、ユーザーさんたちが、そういうふうにとらえて遊ぶ分にはいいと思うんです。だけど、僕らが考えているのは、まずゲームバランスに関して言うと「F2P(フリートゥプレイ)」にはしたくない、と思ってます。なぜかというと、無料の課金モデルは、結局は「ガチャ(課金)」だったりするので。それだと課金アイテムで売れるようものを出さないといけなくなるので、アイテムを強くしなくちゃいけない。するとゲームバランスが崩れちゃうんですよね。だから今回は、むしろひとつのパッケージゲームというか、ダウンロードソフトとして完成させて、そこからゲームバランスを取ろうと思っています。もちろん新しい機体やステージなどは、ダウンロードで追加していく予定ですが、とにかくゲームバランスが良くないと、たぶんコンセプトにしている「チームワークで遊ぶ」とか、そういうのができないと思うんですよね。
──なるほど。それはプレイヤーも安心してプレイに専念できますね。
宮路 だからそういう意味では「スポーツ的」なんですけど、目指すところは「チームワークの上でのプレイヤーの活躍」なので。もちろんeスポーツ的に、プライベートで大会をみんながやってくれるなら非常に嬉しいし、場合によっては我々もコンテンツ自体は一度作り切ってパッケージで出してから、あとはみんな自由にプレイしてと。将来的にそこにステージを足したり、機体を足したりとかは当然やりたいと思っているので、たとえば「大会をやってほしい」という要望があれば、僕らもDiscordとかでファンとのつながりを直接持ってみようとは思っているので、そういう大会をこちらで考えることもあるかもしれないですね。
まずは2023年3月7日にKickstarterをやってアーリーアクセスからスタート!
──これはマーケット的には今回Kickstarterから?
宮路 そうですね。まずはそこから始めます。
──今回は日本だけでなく、海外のユーザーもかなり意識しているようですが?
宮路 海外ユーザーもかなり意識していますけど、やっぱり海外でこういう対戦ゲームとかロボットのゲームを望まれている人たちが結構いるので。特に日本のアニメってロボットアニメが多いじゃないですか。本当に海外の方って、日本のアニメについては、ロボットものが半分くらい、あと半分は美少女アニメなんじゃないかと思っているんですけど(笑)。その日本のアニメを元にした「日本からのオリジナルゲーム」ってないんですよ、ほとんど。だからこの間も、フロム・ソフトウェアさんが発表した「アーマード・コア」の最新作もすごい反応でしたよね。日本人からすると意外なんですよね、「ロボゲーってそんなに海外で反応あるの?」みたいな。でも僕はあると思ってたんで。そういう意味でも、今回の作品はワールドワイドで、楽しみにしているような皆さんが「日本のゲーム開発会社がようやくロボゲーをちゃんと作ってくれる」みたいな、その期待感に応えたいと思っています。
──日本発の本物がやってくるぞ、という感じですね。
宮路 期待に応える”本物”を出したいと思います。
ゲームの作り方の流れを変えたい──インディーズを日本のプロが作る時代へ
──家庭用ゲーム機向けではなく、Kickstarterから始めたいというあたりにも何か”意味”がありそうですが?
宮路 今回こうして最初の発表をしましたが、このあとKickstarter自体は3月7日にやる予定です。現時点で、すでにアルファ版くらいのプレイアブルなゲームができているんですが、それをブラッシュアップして、Steamのアーリーアクセスに乗せていく、それが最初の段階ですね。とにかく僕が考えてるのは、今はゲームの作り方を変えたいと思っていて、一番大切なことは「ユーザーと共に作っていく」っていうのがすごく重要だと思うんですね。昔、セガのハードの専門誌を『Beep』の流れの『BEEP!メガドライブ』とか『セガサターンマガジン』さんとかがやっていた時って、やっぱり雑誌とファンのつながりとか熱気とかがものすごかったじゃないですか。読者の方とのパイプって、本当にアナログのハガキみたいな形でしたけど、そこにはみんな情熱を込めて想いを書いていて、そこからゲームとファンとの非常に濃いつながりがあったと本当に思うんです。今はどちらかというと、雑誌がちょっと厳しくなっちゃって、オンラインになって、マスに流れていっちゃってる感じがするんですが、ゲームの創り手からすると、ゲームを作って、あとは「お客さん買ってください」みたいな感じで、どこかユーザーと創り手との距離が遠くなってしまった感じがするんです。
──時代も変わりましたよね...。
宮路 だから、それを縮めるためにはどうしたらいいか?をずっと考えていたんですね。そしたら、「やっぱりインディーズっていうのが出てきたよね」と。そこでは「マインクラフト」とかがすごく流行っている。一方で、超大手のゲームメーカーさんはもうAAA(トリプル・エー)タイトルで、世界で1000万本級を狙ってるわけで。マスに対して、大量に広告を打って、ものすごく多くのユーザーに買ってもらう。この両者のゲームの作り方はまるっきり違うと思うんですよ。「AAA」の場合は、重要なのはもう予算がまず百億とかとんでもない金額ですし、開発人数もすごく多い。だからあまり失敗できない。でも、本来ゲームって、結構実験的なところで面白いものが出てくるべきだと思うんですよ。
──業界が二極化してしまいましたよね。
宮路 そうした実験的な、それでいて面白いゲームが出てくるためには、やっぱりインディーズってのが非常に重要なんですけど、インディーズは(特に日本の場合は)、個人でやっていることが多くて。インディーズだ、と言ってもやっぱり個人だと限界があるんですね。やっぱり我々中小系のゲーム会社が、こういうKickstarterとか、アーリーアクセスを使いながら、ユーザーとコミュニケーションを取りつつ、熱気あふれるゲームを作っていくっていう開発のスタイルが、海外では確立してるんですけども、日本でもそれを確立できれば、だいぶ面白いアイデアのゲームを、プロ達がちゃんと作るようになれると思うんです。インディーズをプロたちが作るっていうね。そういうことができるんじゃないかっていうことで、今回トライしようかなって思ってます。
──宮路さんは昔からゲーム制作に対してのアプローチをすごく考えて形にしてきてましたよね。セガサターン時代に「開発規模が中小メーカーでは作れないほどの規模になってきたからESP(エンターテインメント・ソフトウェア・パブリッシング)立ち上げたりしてましたが、その先見性と実際の行動力が本当にすごいですよね。今回も、そうした新しい流れが作れるといいですよね。
宮路 (そうした流を)作れたら日本の開発会社はすごくいい会社がいっぱいあるので。そういう優れたゲーム会社が、もっともっと「新しいゲーム」を単なる個人インディーズじゃなくて、ちゃんとミリオン(億単位)のお金を使ってビジネスが成立する。そういうようなちゃんとした開発人数と、ちゃんとした開発規模を投じて、ちゃんとしたゲームが出てくる。ただし、そこでは大手のゲームメーカーがちょっとトライしないような新しいアイデアのゲームが出てこないと、これからのゲーム業界自体が、やっぱり飽きられちゃうと思うんですよ。単に「手堅くいこう」といってIP(版権)ものの作品とかを出すのも、確かに魅力はあるんですけど、IPとか続編ばかりしか出るだけのゲームばっかりだと、やっぱりゲーム業界は縮小再生産にいくだけだなと思っていて。僕もずっとゲーム業界でこの40年間を見てきた中でも、「何だろうこれ、すごいなみたいな」、とにかく新しいアイデアのゲームがどんどん出てきたじゃないですか。そういうのがないと、やっぱりゲームは衰退するんじゃないかなっていうのをすごく危惧してて。
──確かに16ビットゲーム機からセガサターン、プレイステーション時代ぐらいのゲームって、すごくいろんなアイデアのゲームがあふれてましたよね。
宮路 「これは売れるの?」とか思いながら、めちゃめちゃ売れたり(笑)。「パラッパラッパー」とかを見た時も「僕らの発想じゃ絶対出ない」と思ったし。ああいう新しいタイプのゲームはゲーム業界の人には作れないですよね。
──いろんなアイデアがたくさん出てくるような"環境"は大事ですよね。
宮路 それが今ないんですよ。スマホだとみんなガチャゲーだし。もちろんガチャゲーが悪いとは言わないけど、どれも似たようなシステムで、ガチャを引かせるためのシステムがベースになってるというか。だから、もっと新しいことにチャレンジできないと、と本当に思って、今回の作品は手掛けているんです。ゲームの創り手が「本当にこういうことをやりたいんだ」っていう作品を作れるということがすごく重要かなと思っていて。今回の企画は猪俣がそれを実際にやっているので、彼のこれやりたい、これ面白いよねっていうのをぜひ形にして、皆さんにお届けしていきたいと思います。
──いやあ、これは本当に楽しみですね。ちなみに一応完成したものをリリースするというお話でしたが、大体それはいつぐらいに最終的な形に?
宮路 Kickstarterで始めるというのは、ゲームの完成度を上げていく形になるので、まずはアルファ版からベータ版に持っていって、まずは一面でいいからちゃんとしたバランスでちゃんと動くものができると、今度はアーリーアクセスになります。それでアーリーアクセスでもうちょっと幅広く、いろんな人たちに「遊びながらブラッシュアップしていって、より良くしていく」ことができて、そうしたらあとは面(ステージ)を作るだけだよね、という形で進めていきたいと思っています。もちろん、面(ステージ)もある程度、いろいろバラエティがあったほうがいいし、機体もいろいろ欲しいよね、っていうことも含めてやっていきます。あとは、日本の有名なアニメのロボとかを担当している(よく知られた)人たちにも、ちょっとメカデザインをやってもらうとか。いちおう今も、いろんな人たちに声をかけているので、結構みなさん乗ってきてくれそうな感じなんです。
ファンのみなさんの意見を大事にして創り上げていきたい
──それも楽しみですね。
宮路 みんなロボゲー好きなんですよね(笑)。僕らが本当に最終的にやりたいレベルでちゃんと作るんだったら、やっぱり(最終的な形には今から)1年ぐらいはかかると思うんです。ただ、今回はゼロから作るわけではないので。今の時点でプロトタイプではありますけど、それでも1年以上はかけてゲームのほうも作ってきましたから。本来Kickstarterって、ほとんど企画書レベルからのスタートじゃないですか。そういう企画書ベースのものではなくて、僕らはすでにアルファ版ができていて、ここからスタートします。Unreal Engineを使って1年以上作っているので、映像的にはかなりいいと思うんですよ。もちろん、このあと、映像のレベルはもっともっと上げられるかな、と思います。グラフィックのクオリティーとか、ゲームバランスとか、そういう部分は本当にファンとやりとりしながら仕上げていきたいと思っています。ただ単に普通に仕上げるだけだったら、たぶん来年の今頃くらいにはだいぶ完成してきていて、あとは調整次第でもうちょっとやるかとか、リリースしてアップデートしながら良くしていくっていう手もあるんですが、そこはファンのみなさんとのつながりを大事にして作っていきたいと思います。
──ユーザーやファンとのやりとりの中で、どのへんの声や意見などを期待したいとかありますか?
宮路 今回はワールドワイドでも考えていて、一応”コミュニケーター”を置こうと思ってます。日本語と英語がまず基本になって、あとはいちおう、フランス語とか中国語でも対応できるかを検討しています。うちには中国語とフランス語ができるスタッフもいるので。とりあえずは日本語と英語をまず基本にして、Discordで立ち上げてコミュニケーションを取っていくような感じになると思います。もちろん、ユーザーのみなさんからのご意見は『Beep21』を読んでいる方にも期待したいと思っています。
宮路 それではせっかくなので、実機の画面を見てもらいましょうか。
というわけで、いきなり宮路洋一氏から発表された新作。編集部メンバーも開発現場に入れてもらい、現在の実機画面を見せてもらうことができた。ぜひこちらからご覧ください。
『Beep21』読者に特別公開!実際のリアルタイムプレイ動画!
ここからは特別にジー苦ゲームズ内で
開発中の実機を使ったプレイ動画を
見せていただいた。
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