古代祐三が訊く! めがてんサウンドの秘密【第2回】前編 細江慎治インタビュー(聞き手・古代祐三/文・鶴見六百)
古代祐三さんの「自分が読者だったらこんな記事が読みたい!」という想いから生まれた本企画。古代さん自らが、影響を受けたレジェンドコンポーザー達に話を訊いていくインタビューです。
今回お話を伺うのは、ナムコ出身のレジェンド・細江慎治さん。細江さんがゲーム音楽制作を始めたのは、アーケードゲームのサウンドがPSG系からFM音源系へと急速に切り替わっていった1980年代後半のことでした。当時のナムコは、FM音源チップを、コックピット筐体の『サンダーセプター』に続いてテーブル筐体向けのシステム基板「システムⅠ」にも搭載したばかり。そんな中、細江さんはシステムⅠ最初期の傑作『ドラゴンスピリット』を皮切りに、名曲を次々と生み出してゲーマーの胸を熱くしていきます。
さて、当時「胸を熱くさせられたゲーマー」の一人だった古代さんは、細江さんにどんな話を訊くのでしょうか? 今回もコアでディープな内容をお楽しみください。(2022年9月21日・古代氏のスタジオにて収録)
▼第1回のインタビューを含め、『Beep21』が初めてという方は、こちらの『Beep21』2021〜2022年分 超全部入りお得パックがオススメです!(※ご購入いただくと2021〜2022年に刊行された創刊1号・2号・3号・メガドライブミニ2臨時増刊号すべての記事を読むことができます!)
▼「中編」も公開されました!
どうしても最初に訊きたい『ドラゴンスピリット』
──前回のHiro師匠インタビューが、読者に忖度しないディープ過ぎる内容にもかかわらず大好評でしたので、今回も読者が付いてこれるかどうかは考えずに、深いところまでやっちゃってください(笑)。
一同 (笑)。
古代 細江さんと言えば、もう何度も何度もインタビューで話されていると思うんですけど、やっぱり最初に『ドラゴンスピリット』(以下『ドラスピ』と略)の話題を、どうしてもやりたくて。
細江 ずいぶん昔になっちゃったね(笑)。
古代 そう、ずいぶん昔になっちゃったんですけど、いまだに覚えてるんです。有楽町駅前のゲーセンで、友人のおにたま(オニオンソフト・武田寧氏)と一緒のときに、「すごいシューティングがある!」って遊んで。
最初はゲームに夢中だったんだけど、遊んでいくうちに「これ音楽すげえな」と、たちまち気に入ったんで、テープレコーダーで即行録音して、PC-88mkⅡSRでコピーしたんですよ。この流れは、『スペースハリアー』と全く一緒(笑)。
古代 それで……どういう経緯か覚えてないけど、おにたまが主宰するオニオンソフトがコミケで頒布していた「100円ディスク」というミニゲーム集に、私がコピーした『ドラスピ』のボス曲を使ったゲームが入って(笑)。堂々とやってたんですよ、当時は(笑)。
細江 『シューティングマスター』だったっけ?
古代 たしか『ウインクロリゼス』じゃなかったっけ。記憶違いかもしれないけど。
──おにたま(武田氏)に確認しておきますね。
古代 その100円ディスクが細江さんの手に渡って、曲がすごく高評価だったと聞いて、「え、マジ!?」と。それが最初のつながり。
細江 (笑)。
古代 実際に出会ったのは、おにたま経由の友人の誰かと一緒に、いきなり「細江さん家に遊びに行く」という話になって、調布のご自宅に遊びに行ったのが最初ですね。
で、細江さんからシンセを借りた、と(笑)。
一同 (笑)。
古代 自宅に行った日かどうかは覚えてないんですけど、知り合っていきなりS-330っていうローランドのサンプラーを借りたんです。快く貸していただけました(笑)。
まあ、すごいスピード感ですよね。すべて『ドラスピ』が縁で始まった、と。
──それなら最初に『ドラスピ』の話からやりたくなるのも当然ですね(笑)。
曲は「なんとなくできるもんだ」
古代 それで本題なんですけど、『ドラスピ』を作ったときってどんな感じだったんでしょうか?
ここから先は
21世紀に奇跡の復活を遂げた『Beep21』の2021年〜2022年の記事すべてを一気に読める超お得なパックがこちらです!『Beep21』…
好評発売中の『Beep21』の創刊1号・2号・3号の記事を全部収録した全部入りトリプルパックです。今から一気に創刊号から3号まで全部の記事…
『Beep21』創刊3号
伝説のゲーム誌『Beep』が2021年に21世紀仕様になって帰ってきた! 満を持して『Beep21』創刊3号が発売されました! 創刊1号が…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?