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遠藤正二朗 完全新作連載小説「秘密結社をつくろう!」第7話 ─バッタの力を借りてみよう!─ Chapter10 完結


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【前回までのあらすじ】
ある日、手にした謎の「鍵」によって無敵の身体能力を手に入れた山田正一(やまだ まさかず・28歳)。彼はその大きな力に翻弄ほんろうされる中、気になる存在になりつつあった後輩を失うことになってしまう。最初の事件で縁ができた若き敏腕びんわん弁護士の伊達隼斗(だてはやと)に支えられながら、2人は「力」の有効な使い道について、決意を固め、会社を起業する。まるで秘密結社と思えるような新会社"ナッシングゼロ"に3年ぶりに会う、実の兄・山田雄大が入り込み、マサカズの秘密を知ってしまった彼はそれを暴露ばくろしようとし、最悪の結果を迎えることに。これからはとうな道を進もうとした伊達とマサカズはあるルートからその受注に成功し、新たなミッションをこなす中で、バスジャック犯を撃退する活躍も見せていた。そんな中、マサカズと伊達の元に非常に高い能力を持つホッパー剛という青年が現れる。ホッパーが活躍する中、伊達を凍り付かせる一報が入り、それをきっかけに伊達はマサカズに事業を辞めることを申し出る。そんな中、マサカズはホッパー剛に鍵の秘密と力をたくしてしまい、ゆがんだ暴走の矛先ほこさきは伊達に向けられた…。

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第7話 ─バッタの力を借りてみよう!─Chapter10 完結

 伊達隼斗だてはやとと知り合ったのは五月のことだった。歌舞伎町かぶきちょうのヤミ金『カルルス金融』で共におどされ、理不尽りふじんとも言える暴力にさらされ、そこからなんとか逃れた。
 一方的な暴力の行使に心をむしばんでいたころ、彼はアパートを訪れ、顧問弁護士になることで秘密を共にし、おかげで心の重荷は随分ずいぶんと軽くなった。
 それからしばらくして、彼の住む高級なマンションに連れてこられた。彼は力を世の中に役立てることを目的に、会社組織の起ち上げを提案してきた。
 そして、この事務所で第一歩を踏み出した。机とたなを入れ、木村がすすめた金木犀キンモクセイ芳香剤ほうこうざいが香る整然としたこの場所で。
 だが、マサカズが足を踏み入れたそこは、これまでとは違った。金木犀キンモクセイのそれを打ち消すほど強烈な異臭いしゅうが立ちこめている。これはおそらく鉄と汚物のにおいだ。電車の遅延があったので、予定より三十分ほど遅れてマサカズはここに戻ってきた。たなから床に落ちていたけっ放しのテレビには、昼の情報バラエティ番組が映し出されていた。机のいくつかは所定の設置場所から位置が大きくずれ、椅子いすも何脚か倒れ、書類やファイルが床に散乱していた。一見すれば、それはいわゆるオフィス荒らしの現場のようでもあったが、それと大きく異なるのは、中央の床にうずくまる、スーツの青年の姿だった。血だまりの中にあったそれは、間違いなく伊達隼斗の背中だった。マサカズは呼吸を乱しながら、鉄と汚物の臭いの源であるそれに、おそるおそる歩みを進めた。
「伊達さん?」

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