遠藤正二朗 完全新作連載小説「秘密結社をつくろう!」第7話 ─バッタの力を借りてみよう!─ Chapter10 完結
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第7話 ─バッタの力を借りてみよう!─Chapter10 完結
伊達隼斗と知り合ったのは五月のことだった。歌舞伎町のヤミ金『カルルス金融』で共に脅され、理不尽とも言える暴力に晒され、そこからなんとか逃れた。
一方的な暴力の行使に心を蝕んでいたころ、彼はアパートを訪れ、顧問弁護士になることで秘密を共にし、おかげで心の重荷は随分と軽くなった。
それからしばらくして、彼の住む高級なマンションに連れてこられた。彼は力を世の中に役立てることを目的に、会社組織の起ち上げを提案してきた。
そして、この事務所で第一歩を踏み出した。机と棚を入れ、木村が薦めた金木犀の芳香剤が香る整然としたこの場所で。
だが、マサカズが足を踏み入れたそこは、これまでとは違った。金木犀のそれを打ち消すほど強烈な異臭が立ちこめている。これはおそらく鉄と汚物の臭いだ。電車の遅延があったので、予定より三十分ほど遅れてマサカズはここに戻ってきた。棚から床に落ちていた点けっ放しのテレビには、昼の情報バラエティ番組が映し出されていた。机のいくつかは所定の設置場所から位置が大きくずれ、椅子も何脚か倒れ、書類やファイルが床に散乱していた。一見すれば、それはいわゆるオフィス荒らしの現場のようでもあったが、それと大きく異なるのは、中央の床に蹲る、スーツの青年の姿だった。血だまりの中にあったそれは、間違いなく伊達隼斗の背中だった。マサカズは呼吸を乱しながら、鉄と汚物の臭いの源であるそれに、おそるおそる歩みを進めた。
「伊達さん?」
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